両家への報告
「まったく、グレアム兄様には驚かされてばっかりだわ」
「本当だよ!でも、本当に本当に良かった!」
「私だって良かったって思ってる!けど!」
ティアとルークに責められてグレアムは苦笑いしていた。
「びっくりさせて悪かった。今日はこれから、フェシリアと共にヨーク別邸とトリスタン男爵家に挨拶に行ってくるから」
ティアが紅茶を一口飲んで言った。
「いよいよ、本当に結婚なのね。感慨深いわ、フェシリア」
「ティア、色々有難う。私もまだ実感がなくて。」
「そんなものよ、きっと。式が近づくに連れて実感が湧いてくるんじゃないかしら?」
「そうなのね、きっと」
「そうそう。何かあったらいつでも相談に乗るわ」
フェシリアとティアは顔を見合わせて微笑んだ。
もうすっかり姉妹に見える。
「フェシリア、そろそろ時間だ行こう。両家には予め手紙で知らせてあるから、待っているはずだ」
「はい、行きましょう。」
グレアムとフェシリアは立ち上がり玄関に向かった。
満面の笑みでヘンリーとライラが見送る。
「グレアム様、フェシリア様、お気をつけて行ってきて下さい!」
「お嬢様!ファイト!」
馬車でノーフォーク公邸を出ていく2人を窓から見ながらルークとティアは話していた。
「フェシリアがマリッジブルーにならない事だけを祈るわ」
「まったくだ、また大変な事になる。いい事言うね、ティア」
◆◆◆◆◆
以前はフェシリアに会うために何度も一人でティティスを走らせたヨーク別邸への道を、今日はフェシリアと一緒に馬車で向かっている。
グレアムは何度も通ったこの道の景色を今日は新たな気持ちで窓から見ていた。
ヨーク別邸ではウィリアム夫妻が待ち受けていて、それはそれは喜んで出迎えてくれた。
父ウィリアムは「良かった」を繰り返し、母アリツィアも「早く式を挙げましょう」と繰り返した。
1時間程滞在し、今度ウィリアム夫妻がノーフォーク公邸に行くから、細かい事はその時決めようと話は落ち着いた。
帰り際、ウィリアムがフェシリアに言った。
「最後に会った時、きつい事を言ってしまって申し訳無かったね。実はあの後アリツィアに叱られたんだ。これからは家族として仲良くしよう」
フェシリアはまさか謝罪を受けるとは思わず驚いた。
(この夫婦だから、子供も皆暖かく育っているのね)
「私が悪かったのですから当たり前です。これからはあの失態を取り戻し、皆さんに信用して貰えるよう頑張ります」
フェシリアが言うとグレアムがフェシリアの肩をそっと抱いた。
「もう、充分信用しているよ」
そんな二人の姿をウィリアム夫妻は微笑ましく見ていた。
◆◆◆◆◆
ウィリアム夫妻に報告を終えた二人は次にトリスタン男爵家に向けて馬車を走らせた。
一応、前もって手紙で知らせてはある。
トリスタン男爵からは【有難うございます、お待ちしております。】の様な内容の返事は来た。
しかし、エリザベスがいる。
揉めるんだろうなぁ……と二人共覚悟はしていたが、あの様な事態が巻き起こるなど誰にも想像は出来なかった。




