喜べない再会
フェシリアとアリーは宿屋の裏口から出て、外に設置されたステージが見える椅子に腰を下ろした。
ステージでは、今度はでっぷりと太った男が民謡を歌っている。
「良かったね、フェシリア」
「うん。有難う、アリー。」
フェシリアは今迄あった出来事をアリーに全て話した。色々な事が沢山あり長い話になってしまったがアリーは嬉しそうに、うんうんと根気よく聞いてくれた。
「そっか、大変だったんだね。でも良かったよ。私もあの後気にはなっていたんだけど、あまり介入しない方がいいのかなって思ってたんだ」
「アリー、有難う。でもね、ひとまず仲直りはしたけど先の事は何も決まっていないの。不安も少しはあるけど今日は祭を楽しむ事に決めたわ!」
「それがいいよ。にしても、あれだね……」
突然、アリーが声を潜めた。
「こんな、何代もたって血が薄くなってもさ、そんななんだから。勇者ヴィンセントに愛された女性ってさー。さぞかし大変だったろうね!同情するよ!」
「アリーたらっ!ふふふっ面白い!」
飾り立てたれた勇者ヴィンセント像が「すいませーん」と言っているように気まずそうに見えた。
その横ででっぷりした男はまだ民謡を歌い続けていた。
一体何番まであるのだろう……
「で、アリーはルドルフとどうなの?」
「えっ?何が?」
「ルドルフと進展あったかなって?」
「な、何言ってんの!?ルドルフと私は20も歳が離れてるし、それにルドルフはまだ亡くなった奥さんを想ってるし!あと、」
アリーは突然真っ赤になり立ち上がった。
「ごめんね、ちょっと私無神経だったわ」
「いや、フェシリアは別に……まぁ、ルドルフはいい人だと思うわよ。こっちはゆっくりゆっくりよ。時間はたっぷりあるし」
「そっか…そうね。」
「進展あったら話すわよ。いーーっぱい聞いて貰うからね!」
「うん!」
女子トークに花を咲かせている2人に近づく人影があった。なんだか重く、暗い影だった。
「久しぶりね、フェシリア」
「本当に。もう会う事なんて無いと思っていたけれど、いやだわ」
フェシリアが声の方を見上げると、見覚えのある2人の女性がフェシリアを蔑んだ目で見下ろしていた。
クローディア・ウィルソンとアンナ・マルクス。
ヨークの別邸でよく一緒に刺繍をした子爵家の令嬢達だった。




