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こちらとしては婚約破棄をご希望です!?  作者: 鈴本奈緒
第6章 勇者ヴィンセントを讃えよう
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喜べない再会

 フェシリアとアリーは宿屋の裏口から出て、外に設置されたステージが見える椅子に腰を下ろした。

 ステージでは、今度はでっぷりと太った男が民謡を歌っている。


「良かったね、フェシリア」

「うん。有難う、アリー。」


 フェシリアは今迄あった出来事をアリーに全て話した。色々な事が沢山あり長い話になってしまったがアリーは嬉しそうに、うんうんと根気よく聞いてくれた。


「そっか、大変だったんだね。でも良かったよ。私もあの後気にはなっていたんだけど、あまり介入しない方がいいのかなって思ってたんだ」

「アリー、有難う。でもね、ひとまず仲直りはしたけど先の事は何も決まっていないの。不安も少しはあるけど今日は祭を楽しむ事に決めたわ!」

「それがいいよ。にしても、あれだね……」


 突然、アリーが声を潜めた。

「こんな、何代もたって血が薄くなってもさ、そんななんだから。勇者ヴィンセントに愛された女性ってさー。さぞかし大変だったろうね!同情するよ!」

「アリーたらっ!ふふふっ面白い!」


 飾り立てたれた勇者ヴィンセント像が「すいませーん」と言っているように気まずそうに見えた。

その横ででっぷりした男はまだ民謡を歌い続けていた。

一体何番まであるのだろう……



「で、アリーはルドルフとどうなの?」

「えっ?何が?」

「ルドルフと進展あったかなって?」

「な、何言ってんの!?ルドルフと私は20も歳が離れてるし、それにルドルフはまだ亡くなった奥さんを想ってるし!あと、」


 アリーは突然真っ赤になり立ち上がった。


「ごめんね、ちょっと私無神経だったわ」

「いや、フェシリアは別に……まぁ、ルドルフはいい人だと思うわよ。こっちはゆっくりゆっくりよ。時間はたっぷりあるし」

「そっか…そうね。」

「進展あったら話すわよ。いーーっぱい聞いて貰うからね!」

「うん!」


 女子トークに花を咲かせている2人に近づく人影があった。なんだか重く、暗い影だった。


「久しぶりね、フェシリア」

「本当に。もう会う事なんて無いと思っていたけれど、いやだわ」


 フェシリアが声の方を見上げると、見覚えのある2人の女性がフェシリアを蔑んだ目で見下ろしていた。

 クローディア・ウィルソンとアンナ・マルクス。

 ヨークの別邸でよく一緒に刺繍をした子爵家の令嬢達だった。

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