妹では終われない!
フェシリアはベッドの中で眠ろうとしていた。
必死に目を瞑る。
ウトウトしては起きて時計を見る。まだ10分しか進んでないわ…よし、明日に備えて寝よう。それを何度も繰り返していた。
夜が明け始め、辺りが薄明るくなり、ノーフォーク公邸に陽が差してくる。
フェシリアは長い夜を越えやーーっと朝を向かえた。
ーー今日はヴィンセント勇者祭!!ーー
「おはようございます!お嬢様!」
「おはよう!ライラ」
「あれ!今日は早起きですねぇ」
「今日はヴィンセント勇者祭だもの。実はあんまり眠れなかった、ふふっ」
「楽しみすぎてってやつですね!」
昨日の内に用意も済ませたし、朝ご飯を食べたら着替えよう。朝は少なめにしようかな。
(でも、馬車の中でお腹なるかしら…)
フェシリアが食堂に向かっていると、ティアが歩いてくるのが見える。
「おはよう、ティア!」
「おはよう、フェシリア!あのね…」
ティアはウェーブのかかった髪を揺らし小走りに近づくと、フェシリアに耳打ちした。
「私ね、ルークの事もうちょっと頑張ってみようかと思うの」
ティアは手を組んだり離したり、落ち着かない様子だ。
「まぁ、そうなの?驚いたわ、大変な事もあるだろうけど、私に出来る事なら何でも協力する。ティア、何か心境の変化があったのね?」
「うん。昨日ハワードを見送った時ね、いつかルークを見送る日も来るのかな?って思っちゃって」
「うん」
「嫌だなって。何にもしないで、去っていくのを見送るのは嫌だなって思った。」
先程までもじもじしていたティアは目に強い意志を持って言った。
「恋に破れて、気まずくなってもう会えなくなったとしても、構わない。ルークが他の人と結婚して、妹の顔をして祝福するよりずっといい」
そう告げたティアはもう少女から大人の女性に変わり始めている様だった。フェシリアが勇気づけようと握ったティアの手は少し震えていた。
「ティア、尊敬するわ。良い結果になろうとも悪い結果になろうともあなたの勇気は素晴らしい事よ。でも、良い結果になる事を願っているわ」
ティアはフェシリアにギューっと力いっぱい抱きついた。
自分の覚悟を確かめるように。
「ありがとう、フェシリア。私、頑張る!といってもまだどうするかも決まって無いんだけど。グレアム兄様のように惨めでも最後まで足掻いてみるわ!」
「まぁ!」
二人が顔を見合わせて笑った時、後ろから声がした。
「私がどうかしたのか?朝から仲がいいな」
朝食の為に同じく部屋から出てきたグレアムが不思議そうに聞いた。
「グレアム兄様を尊敬してるって話よ!」
3人は仲良く階下にある食堂へと向かった。




