いよいよ迎えるヴィンセント勇者祭
「有難う。長々お世話になったよ。今度は是非シャルン家に皆で遊びに来てほしい」
ハワードは向かえに来た馬車の前で笑顔で別れを告げた。
「あまり、もてなせなくて悪かったな」
グレアムはバツが悪そうに自分の頭に手をやった。
ハワードはグレアムの方を見ると
「いや、普段みれない君の姿を見るのも大変有意義だったさ」
と微笑み、二人は笑いあった。
フェシリアは用意していた馬の刺繍を施したハンカチをハワードに差し出した。
「これ、馬が難しくてあんまり上手じゃないんだけど、良かったら貰ってくれるかしら?ハワード、会えて良かったわ」
ハワードはハンカチを両手で受取ると広げて見た。
「わぁ!上手だよ、フェシリア。馬だって躍動感があってすごくいい!有難う、大切にするよ!」
と、とても喜んでくれた。
その時、グレアムはジーッとライラを見ていた。
ライラはグレアムと眼が合わないように細心の注意を払っていた。
ひとしきり皆に挨拶を済まし
「じゃあ、行くよ!また会おう!」
ハワードは元気に帰っていった。
皆で手を振って見送った。馬車が走り出し門を出て見えなくなると、
「行っちゃったなぁ…」
ティアが寂しそうに言った。
◆◆◆◆◆
その日、ティアとフェシリアはヴィンセント勇者祭の準備をしていた。いよいよ勇者祭が迫ってきた!
ライラに用意して貰って、二人でファッションショーをしたり、合わせるバックを選んだり、今年はグレアムとルークも一緒に来るというので盛り上がっていた。
「やっぱり、フェシリアにはその碧のドレスが似合うわ!アクセサリーはどれを付けて行く?私はどうしようかなぁ?」
クルルの街で買った宝石をテーブルの上に並べてティアが悩んでいる。
「この青い石にする?あっ、でもこの銀の鎖のモチーフも素敵ね!私は腕輪にしようかなー。」
(こんなに楽しい事初めてかも!)
フェシリアも勇者祭に向けてウキウキしていた。
ライラがニヤニヤしながら、フェシリアを見た。
「お嬢様はもう何をつけるか決まってるんじゃないですかぁ?」
「ま、まぁ。あれにしようかな?って言うのはあるのよ」
と不自然だか何とか濁した。ティアは「えー?何々?」と粘っていたが、聞き出す事は出来なかった。
「まぁ、いいわ。当日のお楽しみって事ね!」
「ふふっそうね。明日までのお楽しみ!」
ーー明日はいよいよヴィンセント勇者祭!ーー




