グレアムとライラの約束
「な、何の事ですかぁ〜グレアム様」
ライラは半分声を裏返えらせながら聞いた。
「いやね、今日フェシリアと馬に乗ってる時に、色々話をしたんだ。途中まで、ライラ有難うって思ってたんだけどね?」
「はいぃ…」
「途中であれ?って思ってね。フェシリアにハワードを勧めてるのかなぁ…って。まさかね、ライラ?」
「まっ、まさかぁ。ヤダなぁ、グレアム様」
ライラは明らかに挙動不審になった。もう目が泳ぎまくっている。
グレアムが、優しく聞いた。
「あの時、約束…したよね?今、正直に言うなら許してあげるよ」
「くぅぅ………………。」
しょうがないじゃん!
なんかグレアム様変になっちゃったし。比べてハワード様はいつも穏やかで優しいし!
ティア様は【グレアム兄様にしっとさせちゃおう作戦】を掲げてたけど……あれ?ハワード様でもフェシリア様幸せになれそじゃね?って思っちゃったんだもん!くぅぅ、でも、約束かー。
そう、ライラはグレアムと一つ大きな約束をしていた。
ーーライラは元々は田舎の村の産まれだった。7人兄弟の4番目、家は農家だったがとても貧しかった。
ライラはいつもお下がりの穴の空いた服を着てお腹をすかせている、そんな子供だった。
10歳のときにトリスタン男爵家に使用人として家を出された。口減らしだった。
男爵家では子供の使用人なんてライラしかおらず、仕事も中々覚えられなかった。
ライラが11歳になった時、トリスタン男爵家は財政が悪化し使用人を減らす事になった。執事、馬番、庭番、調理番、これ以外は家族1人に1人使用人をつけて、後は解雇と話があった。
次々と先輩の使用人名前が呼ばれライラは絶望した。こんな子供を選ぶ人なんていない。家に戻っても迷惑なだけだ。
(どうしよう……)
そんな不安に駆られてる時、
「私は、ライラがいいわ」
とフェシリア様が言った。皆は驚いた。エリザベス様は
「あんた、ばっかじゃないの?あんな子供を!」
と馬鹿にしたが、フェシリア様は、
「私はライラがいいのよ」
と、譲らなかった。
多分わかっていたのだと思う。他の使用人はトリスタン家がだめでも他に就職先がある。けれど、ライラはここを辞めたら行くところが無いという事を。
とても、思いやりがあり、優しい人なのだ。
その時、ライラはフェシリアに忠誠を誓った。【フェシリア様には幸せになって欲しい、そして一生付いていく】と!
婚約パーティーからフェシリアが逃げた時、トリスタン家はフェシリアだけ置いて使用人は全部引き上げるつもりだった。
眠っているフェシリアの横でライラが一人泣いているとグレアムが入ってきて聞いた。
「君はフェシリアの専属使用人なの?」と。
ライラは答えた。
「そうです。私はフェシリア様の側を離れません。フェシリア様を断罪するならどうか私も一緒にして下さい」と。
グレアムは美しい顔でうーん、と考えた後
「提案がある。君はこの舘に残る。そして、フェシリアが私の妻になるように手伝うんだ。内密にね。」
と言った。
ライラはフェシリアがグレアムを好きな事に気付いていた。そして、グレアムが婚約破棄をする気が無い事に安堵した。
「フェシリア様を必ず幸せにしてくれますか?」
グレアムを真っ直ぐ見て聞いた。
「必ず幸せにするよ、約束する。」
グレアムもライラを真っ直ぐ見て言った。
「グレアム様、私、ライラはフェシリア様がグレアム様の妻になるように陰ながら協力致します。約束します!」
それから、グレアムはトリスタン男爵を追い払いライラだけは置いていくように手筈をつけたーー




