庭園のリス
リックが帰ってから2日たった。
グレアムは相変わらず自分の部屋から出なかったが、ヘンリーとルークによると大分腕は良くなっているようだ。
明後日には城の仕事にも戻れるだろうと言っていた。
(グレアム様、良かったわ)
フェシリアは趣味の刺繍をしていた。ハワードが明日帰ると言うのでそれまでに間に合わせたかった。
「お嬢様、もう夜ですよ。まだやるんですか?」
「馬ってなかなか難しいのよね。でも、ほらもう終わり!出来たわ!間に合って良かった」
フェシリアはハンカチに縫った馬の刺繍をライラに見せた。
「お上手ですねぇ。ハワード様も喜びますよ!ところでお嬢様、最近、早朝に庭園にリスが出るんですよ!可愛くて!」
「リス!見てみたいわ」
「ここからなら、部屋から見えますよ。朝しか見れませんからね。早く寝た方がいいですよ!」
「分かったわ。今日はもう休むわ、どんなリスかしら?」
「まぁ……毛並みのきれいなリスでしたよ。おやすみなさいお嬢様。」
「おやすみ、ライラ」
フェシリアそのまま眠りについた。
朝起きるとまだライラは来ていなかった。
(朝、まだ早いのね…そうだ!リス!)
フェシリアは窓から庭園を見た。
(今日はリスいないわね……あっ!!)
フェシリアはリスは見つけられなかった。が、その変わりにグレアムを見つけた。
グレアムは愛馬ティティスを連れていた。
(これから走りに行くのだろうか)
フェシリアは寝巻の上に上着を羽織るとグレアムの元へ走った。
玄関を出て、前を見ると丁度グレアムはティティスに跨がり走ろうとする所だった。
「グレアム様!」
フェシリアは大きな声で呼んだ。自分でもこんな声出るんだと思う程の大きな声で。
出発しようとしていたティティスは足を止め、グレアムがゆっくり振り返った。
フェシリアは久しぶりに見るグレアムに緊張したが嬉しかった。そして、今気持を言おう!と決心した。
グレアムはティティスに乗ったまま、フェシリアの方へ近づいてきた。
「おはよう。あぁ、杖はもうとれたのか」
「おはようございます!私、その話があって」
フェシリアは勇気を振り絞って言った。
「話なら、私もある」
グレアムはそういうと、片手でフェシリアの体を持ち上げた。
そして、自分の前に乗せ、体制を整えるとフェシリアを乗せたままゆっくり走り始めた。
「あっあの…。」
「朝はティティスで走るのが日課だ。明日から仕事もあるし」
「そ、そうですか。じゃなくて、あの……」
「もうすぐだ」
少し走ってティティスは小高い丘に登り足を止めた。
「すごい……きれい」
美しい朝焼けを2人はティティスに乗って見ていた。




