皇太子の着眼点
「しかし、お前はちゃんと好きだってフェシリアに言ったんだろう?なのに、何でティアと恋仲って勘違いしたんだろうな…」
リックは不思議に思った。
「…………」
「…………無いかも」
グレアムが呟いた。
「…言ってないかも。いや、言ってない」
リックは真顔でグレアムに聞いた。
「え?言ってないのか?一度も?あんなに迫ったのに?」
グレアムは少し気まずそうに言った。
「最初は婚約してから距離を縮めようかと…。後は態度で伝わってるだろうと」
リックは気付いた。
グレアムは幼少からとてもモテた。放っておいても女性の方からガンガンきた。だから、自分からアプローチなんてした事も無いし、わからないのだ。
「はっハハハハハッ」
リックは思わず大笑いした。
「なんだよ。ひどいな。」
グレアムが言った。しかし、グレアムは何だか
前のグレアムに近づいてきた気がした。
「悪い悪い。フェシリアが何で勘違いしたかは分かんないけどさ、それが理由で逃げたんなら、いいんじゃないか?形だけの結婚は嫌だから逃げたんだろ?」
「えっ?」
「だから、隠れ蓑じゃ嫌だったんだろう。グレアムと本当の結婚がしたかったから耐えられず逃げたんだろ?」
グレアムは無言になって頭を掻いた。
「今は、頭が非常に混乱してる」
リックは立ちあがった。
「そろそろ行くよ。お前はまだ休みが3日ある。時間はあるからゆっくり考えてみろよ。それでも、フェシリアが好きだったら……最後と思って一度くらい気持ちを口に出してみたらどうだ?」
「……考える」
「おう!じゃあ、次会うときは城だな。髭くらいは剃れよ。じゃあまた!」
リックはグレアムの部屋を出て階段を降りた。
ルークが心配そうにしていたので「もう少し時間はかかりそうだが大丈夫だ」と伝えた。
(実際、最後の方は大分碧からスカイブルーに近づいていたしな。)
リックが館の外に出ると、フェシリア達がきた。
「あれ?ハワードも来てたのか?」
リックは今、ハワード・シャルンに気付いた。
「はい、リック皇太子殿下。ティアに招待されまして5日前よりノーフォーク公爵家に滞在させて頂いてます」
「そうか。久しぶりだな、元気そうで何よりだ」
(ん?5日前?グレアムが荒れたのは4日前、これも何か関係ありそうだな…)
リックがふとティアを見ると、
「反省してます。でも、まだ計画の半分もしてませんでした」
と答えた。
「本当ですぅー」
とライラも言った。
フェシリアとハワードは(なんの事?)という顔をしていた。
リックは(全くこの兄妹は)と思うと同時に(グレアム今も見てるんだろうなぁ)と察していた。
ーー勇者ヴィンセント祭まで残り6日となったーー




