グレアムと親友
リック皇太子殿下を乗せた馬車はノーフォーク公邸の門をくぐり、館の前で止まった。
「リックだ」
そういうと、ルークは馬車の方へ走って行った。
中からリックが降り立った。
「やぁ、ルーク突然すまないね」
降り立ったリックはやはり皇太子、余裕と気品が感じられる。
「リック、待っていたよ。兄が…グレアムがリックだけは通してくれって」
リックはルークの肩に手を置いた。
「そうか。グレアムは私を待っていたんだな…。公務があり中々来れなかった。すまない。」
ルークは首を振った。
「いや、来てくれただけで嬉しい。有難う。」
リックはルークを優しい目で見た。
「ルークも私を待っていたんだな。一人で背負わせて悪かった。早速会ってみよう。」
リックは舘に入り、グレアムの部屋に向かった。
他の人々はリックを見送る事しか出来なかった。
◆◆◆◆◆
コンコン!
「グレアム様、リック様が着かれました。」
いつものようにヘンリーがグレアムの部屋まで案内してくれた。
「グレアム!入るぞ!」
リックはいつも通りに入ってみた。
しかし、そこに見える景色はいつもとは全く違っていた。
いつも整然と片付けられていた部屋は、そこら中に脱いだ服がおかれ、破いた紙と酒のボトルが散乱してた。
グレアムはベッドの脇に置いてある椅子に腰をかけていたが髭もそっておらず、ひどい有り様だった。
「4日振りだな、グレアム。悪い遅くなった。」
リックが話しかけると、グレアムはリックを見た。
(まだ、あの碧い目だ。何なんだ…)
「あぁ、リック、来てくれたんだな。」
リックは部屋にあるソファに腰をかけた。
(これは重症だぞ。何があった)
「今日はお前の話を聞きに来た。時間もとってある。言いにくい事もあるだろう…話せる事だけでも話して見ないか?」
「あ…あ。自分でもよくわからない」
ポツリポツリとグレアムは話し始めた。
「フェシリアが…勘違いしてたんだ。ティアと俺ができてるって。」
「えっ?」
あんなにフェシリア一筋だったのに?
「それで……自分はその為の隠れ蓑?としての婚約者だと…それで、パーティーから逃げたって…」
「そ、そうなのか。」
それは、辛いな。あんなに頑張って待って待って、やっと婚約までこぎつけたのに、自分の気持ちが伝わらないどころか、妹といい仲だと思われ、逃げられる…辛い。
「なんでそんな勘違いしちゃったんだろうな?」
「さぁ……知らない。聞いたらすごい腹が立ったというか裏切られたというか……すごい感情が押し寄せてきて…理由は聞いてない」
「そうか。その後、特に話はして無いんだな?」
間があってからグレアムは言った。
「話してない。部屋からもすぐに出した。今の俺はフェシリアに何をするか、わからない」
リックは鳥肌が立った。立ち上がりグレアムの座っている椅子に近づいた。
そして気付いた。
グレアムが座っている椅子からは庭園が見えた。
そこにはティアやルーク達と話しているフェシリアの姿が見えた。
こんなに、部屋が荒れて、自分の身なりも構えない程になっても、お前はまだフェシリアを諦められないんだな。
「グレアム大丈夫だ。今は突然の事で頭が混乱してるんだ。良い方向に向かうように一緒に考えよう」
「あぁ……。」
グレアムの目が少し潤んでいるように見えた。




