ティアの友人
翌日のグレアムとルークは内心不機嫌だった。
二人共、さすが貴族の家に産まれただけあって全く顔には出さなかったが、不穏な雰囲気は漂っていた。
「いやー。本当にノーフォーク公爵家のディナーは美味しいな。美女が2人もいてまた華がある!」
ハワード・シャルンはワインを飲みながら上機嫌で言った。
「ハワードに会うのは久しぶりだな。今は何をしているんだ?」
グレアムもワインを一口飲み尋ねた。
「今は親父の領地管理の手伝いをしてるよ。まだまだ勉強中ってとこさ。今回はティアに誘って貰って嬉しいよ!」
ハワードは嬉しそうに言った。
「ううん。私も嬉しい!フェシリアにも会って欲しかったの!二人は私の大事な友人だもの!」
ティアもこれまた嬉しそうに言った。
グレアムは無言でワインを飲み干した。その様子をティアはチラ見した。
◆◆◆◆◆
ハワード・シャルンは公爵家の生まれだ。今は父親が公爵だがいずれは家督を継ぐ事になる。
昔からノーフォーク公爵家とも付き合いがあり、ルークと同じ20歳。金髪の髪に茶色の目、貴族だがとてもフレンドリーで愛嬌がある。
時は今日の昼過ぎに遡る。
ティアの友達が泊まりに来るという事で、皆で出迎えた。ヘンリーが「お客様がお着きになりました」というので玄関ホールに揃っていくと、ハワードがニコニコ顔で立っていた。
グレアムもルークもフェシリアも女の子だとばかり思っていたから大層驚いた。そんな皆の気を知ってか知らずか。
「やぁ、お招き有難う!お久しぶりだ」
とハワードは朗らかに言った。
「よく来てくれたわ!ハワード、楽しみに待ってたの!」
ティアはとても喜んでいた。元々、ティアとハワードは昔から仲が良い。人見知りのティアが異性で唯一友達なのがハワードなのだ。
だが、家に泊まりで招いたのは始めてで、グレアムもルークも困惑していた。
「これから、フェシリアとハワードと私でお茶しましょう。フェシリアを紹介したいの!」
ティアの提案にルークが
「じゃあ、僕も…」
と言ったが
「何でルーク兄様が?2人の事は良く知っているでしょう?紹介の必要ある?」
と、ピシャリとティアに断られた。
ーーーそして、話はディナーに戻る。
「そっかぁ、フェシリアは刺繍が好きなんだね」
「えぇ、そんなに上手な訳じゃないけど、大作が出来上がると達成感があるの」
人懐こいハワードはもうフェシリアとも仲良くなっていた。
「私もフェシリアに刺繍の入ったハンカチ貰ったのよ!とってもかわいいわ!ハワードも作って貰えば?」
「えぇっお願いしてもいいのかな?」
「ええ、もちろん。私が作ったもので良ければ。ハワードは何の模様が好きかしら?」
グレアムの右眉がピクリと動いた。ティアは見逃さなかった。
「馬とかいいな〜。」
「じゃあ、出来たら渡すわね」
和気あいあいと3人は話していた。だが、グレアムとルークは全く会話には入れなかった。いや、入れてもらえなかった。
ディナーの後ルークが男3人で飲まないか?と誘ったが、「ハワードは今日来たばかりで疲れてるの。明日もフェシリアと私と3人で朝から出かける用事が入ってるから遠慮して」とティアに断られた。
ハワードは片手を顔の前に出して「さっき、二人と約束したんだ。悪い!」のポーズをとっていた。




