ティアの決心
「お嬢様?」
ライラが見ていた。
フェシリアは頬を伝う涙を慌てて拭った。
じきにティアも来て、馬車は湖に向かった。
湖までは約30分。馬車に揺られ、景色を見ながら3人でお喋りを楽しんだ。フェシリアとティアは久々に外にでて、笑い、穏やかな時間を過ごしていた。
湖畔に着き、シートを広げランチを始める。
用意してもらった、バケットにチーズを挟んだパンは外で食べるとまたひときわ美味しかった。
パンを食べ、ハーブティーを飲み、のんびりしていた時、
「フェシリアも、何かあったの?」
不意にティアが聞いてきた。
「えっ?どうして?」
「わかるわよ、それくらい。おかしいなってずっと思ってた。私、自分が辛いからって、フェシリアに甘えていたわ。ごめんなさい。」
「ううん。何も聞かないティアに甘えていたのは、私よ。実はね……」
フェシリアはグレアムとの事を全てティアに打ち明けた。
「それ……完全に、私のせいじゃない。。。!!」
フェシリアがティアを見るとティアの顔は顔面蒼白だった。フェシリアは慌てた、そんなつもりで打ち明けた訳じゃない。
「ち、違うのよ!私が一人で勘違いしたから…それに、きっとご縁も無かったのよ。グレアム様の事、昔から憧れていたけど、ずっと上手くいかなかったわ。」
フェシリアは一呼吸おいた。
「だから、ティア、あなたのせいじゃないの」
フェシリアは必死だった。本当にティアのせいでは無い。何もかもが初めから上手く回らなかった。歯車が上手く合わさらなかったように…
「えっ?フェシリアってお兄様に憧れてたの?」
ティアは初めて聞いたというように目を見開いてフェシリアに聞いた。
「まぁ…恥ずかしいけど。こうなったら言っちゃうわ。初めてみた時から素敵な人だなぁって憧れてたのよ。ふふふ」
ティアはフェシリアをジーっとみて独り言をブツブツ言い始めた。
「知らなかった…ただ、兄様に捕まっちゃったんだと…。かわいそうにって…けど…それなら…まだ…」
ティアはフェシリアに滲りよってきた。
「ねぇ、フェシリア。私はルークが好きだけど、叶う事はないと思う。けど、フェシリアは違うわ!
今は兄様も怒っているけれど、元は私のせいだもの。私、何とかする!」
フェシリアはちょっと身を引いた。
「い、いいのよ。フェシリア。グレアム様は大分怒ってらっしゃるし。元々婚約パーティーで逃げ出すなんて、それだけでも有り得ない事だわ」
(何かティアの変なスイッチ押しちゃったみたい)
「愛し合う二人を私のせいで引き裂く訳にはいかないわ!!任せて私に!!」
気付くと、ティアはフェシリアの両手を握りしめていた。
「あ〜うん。無理はしないでね。有難う…」
(無理だと思うのだけど…大体グレアム様から好きなんて言われたことも無いし。)
帰りの馬車の中で、ティアは上機嫌だった。
「やっぱり外に出ると気分がいいわね。有難う!フェシリア、ライラ。」
「ティア様が楽しまれて良かったですぅ」
「新たな目標もうまれたし!もうジメジメしてられないわ。忙しくなりそう!」
「わお!」
フェシリアは二人を見ていた。
(まぁ、ティアが元気になって良かったわ。私もいつまでも落ち込んでいられないわね。グレアム様と結ばれる事はもう無いけれど、断罪の時までに自分の気持ちだけでもお伝え出来たらいいな……。どんなに冷たい瞳で見られようと。)
色々な気持ちを載せて馬車はノーフォーク公邸への帰り道を走って行く。




