主人公は追及される
(とても辛い思いをしていたのね)
フェシリアはベッドサイドに腰掛けてティアの寝顔を見ていた。
いつも、大人しくて、控えめで、優しくて…
フェシリアがティアを思い出すと笑顔のティアしか浮かばない。
そのティアが今は泣きつかれて憔悴し、眠っている。フェシリアはティアの憂いを全て取り去ってあげたい……と強く思い、しばらくの間眠るティアを見守っていた。
コンコン!
「フェシリア様、ヘンリーでございます」
あまりに長い時間戻らないフェシリアを心配したヘンリーが様子を見に来たようだ。
フェシリアは立ちあがり、扉まで歩いた。少しドアを開け、
「いま、やっと眠ったところよ。しばらくは部屋食にしてあげた方がいいと思うわ。少しずつ、落ち着くと思う。私もなるべく顔を出すようにするつもりよ。」
と伝えた。ヘンリーは少しホッとしたようで、
「そうですか。かしこまりました。では、後で果物でもお持ちしましょう」
と答えた。
「そうね、それがいいと思うわ。」
フェシリアはヘンリーを安心させようとにっこり笑った。
「あと、グレアム様がお呼びです」
次に続くヘンリーの言葉に、にっこり笑ったフェシリアの顔は固まりそのまま強張った。
「あ、あぁ…そう。今、行きます」
◆◆◆◆◆
「ティアの様子はどうだった?」
グレアムは書斎の椅子に座りながら聞いてきた。
フェシリアは右側の窓を見ながら答えた。
「今は泣きつかれて眠っています。しばらくは部屋食がいいかと。」
「そうか。少しは落ち着いただろうか?」
グレアムは立ちあがって聞いた。
フェシリアは左にある入り口のドアを見ながら答えた。
「言うだけ言って、スッキリはしたと思います。私もしばらくは顔を出してそばにいてあげるつもりです。」
「うん。それは助かるよ」
「で、君は何でさっきから僕の目を見て話さないんだ?」
気づくとグレアムはフェシリアの前に立ち、腕組みをしていた。その距離多めに見積もって2m。
「ひょっ!……あーいえ。そんな事はありません。気のせいでしょう。」
「そうかな?」
「えっええ。そうです。そうですとも。」
「そう?」
グレアムは微笑んだ。
フェシリアはこれ以上無いくらい何度も頷いた。
(このままだと首が折れそう……)
「では、早速ティアの所に行ってきますわ」
扉に向かって振り返ったフェシリアの右腕をグレアムが掴んだ。
フェシリアが恐る恐る振り返ると、
「嘘は良くないね?フェシリア?」
いつかのように瞳の色が変わったグレアムがフェシリアを見据えていた。




