楽しいランチ??
ルークに顔色を心配されたフェシリアは精一杯の笑顔を作った。
「大丈夫よルーク。お仕事、お疲れ様でしたわ。」
「そう?違うならいいんだけど。じゃあお昼にしようか」
心配そうなルークの後ろに1人の女性が寄り添うように立っている事に気づいた。亜麻色の髪で切れ長の目、ルークより少し歳上に見える。
「あっ!こちらは同じ研究所で働くシイラ。これから、妹達とランチをして帰るって話をしたら一緒に食べたいって話になってさ」
「お邪魔してごめんなさい!私も丁度仕事上がりだったものだからご一緒したくて。お兄様にはいつもお世話になっています」
「あ、いぇ。こちらこそお世話になってます。」
(私は妹じゃないんだけど……ティアの人見知りが発動して全然しゃべらないわ。困った。)
「じゃあ、行こうか!」
「いつものとこにする?」
「あこは量が少ないからなー」
「それはルークが食べすぎなのよ!ふふふっ」
何だか仲睦まじいルークとシイラの後ろを付いて歩いて行く。ティアは人見知りが止まらずフェシリアの右腕に掴まって歩く。
(くっ……右手にティア、左手に杖。なかなか大変だわ。ライラは馬車で待っているし)
ルークとシイラは後ろも見ずにグングン前に進んで行ってしまう。
フェシリアも急ごうとするが、ティアと杖というハンデもあり、距離は広がるばかりだ。
(ちょっ……ちょっとくらい後ろ見てくれてもバチは当たらないと思うわよ!?)
それまでゆっくりでも進んでいたティアの足がピタッと止まった。
「フェシリア、私もう帰りたい。」
(…………えっ?)
フェシリアは驚いてティアを見た。
下を向いて泣きそうな顔をしている。
(そりゃそうか。ティアは今日をとても楽しみにしていた。3人で美味しいもの食べて、お買い物して、おしゃべりも沢山したかったはずだ。それなのに、知らない女性は来るし、ルークは私達を置いていっちゃうし。)
「無理そう?」
「うん。ごめんね、フェシリア。もしだったら、私だけでも先に帰るわ。何か用事が出来た事にする」
「ティア、そんな事言わないの。一緒に帰りましょう、私も足が疲れて帰りたかったところよ」
フェシリアが言うとティアは少し笑った。
かなり先まで行って、やっと気づいたルーク達が道を引き返してきた。
ティアはフェシリアの後ろに隠れた。
「ごめん!フェシリアはまだ杖だったね。歩くの速すぎたかな?」
「私達ついつい話に夢中になってしまって進みすぎたみたい」
フェシリアはすぅーと心呼吸した。
「ごめんなさい。やっぱり私、足が痛くて先に帰るわね。」
「えっ大丈夫かい?じゃあ、もう帰ろうか?」
ルークは心配そうに言ったが、フェシリアは首を横に振った。
「ティアが付いて来てくれるって言うから大丈夫よ。馬車に戻ればライラもいるし。せっかくだもの、ルークはシイラとご飯を楽しんできて欲しいわ。」
「だが……」
「ルーク、せっかく妹さん達がそういってくださるんだもの。お言葉に甘えましょうよ。仕事の事で話したい事もあるの」
(私は妹ではありませんが。。ね)
ルークはまだ決めかねているようだ。
「ティア、任せてだいじょうぶかい?」
「えぇ」
フェシリアの後ろでティアが頷いた。
「わかった。じゃあティア、フェシリアを任せたよ。僕もなるべく早く帰るようにするから」
「じゃあ、妹さん達お気を付けてね」
ルークとシイラは踵を返して歩きだした。前へ前へと。
フェシリアは泣き出したティアを連れて反対方向の馬車へと向かった。




