いざ、クルルの街へ!
クルルの街は休日なのにも関わらず若い娘達で賑わっていた。
「じゃあ、行ってくるから。3時間後にまたこの店の前で待ち合わせよう」
ルークは片手を上げ、研究所へと向かって行った。
「まず、ドレスから見てみよう!フェシリア!」
ティアに手を引かれ、フェシリアは目の前にある店にそのまま引き込まれた。
「いらっしゃいませ。あら!ティア様!久々でございますね!」
どうやら、ここはノーフォーク公爵家御用達の店のようだ。外からはわかりづらかったが、白を基調にされた店内は広く、色々な色のドレスが色別に分けられて置かれている。ティアの姿を見ると3人の店員が店の端々から駆け寄ってきた。
「本日は何をお求めですか?新作のドレスが入ったんですよ」
「本日はお友達と来て頂いたんですね。有難うございます!」
「お兄様達はどちらに?」
次々と繰り出される質問にティアは慣れた様子で答えた。
「今日はフェシリアと来たのですわ。ヴィンセント勇者祭に来ていくドレスを揃えたくて。私達に合いそうな物を出していただけるかしら?」
「はい、それはもう。ご用意致します!」
3人の店員は次々と色々なドレスを持ってきた。
「これも、似合いますわ」
「あっ意外とこんな感じもよろしいかと」
「待って待ってまだ奥にも…」
「何でも着こなしちゃうわ」
ティアは慣れたものだったが、フェシリアはクルクルクルクル着替えさせられて目が回り(もう一生分のドレスを着たわ)なんて思っていた。
「うん!私はこれにする!」
ティアは白地に薄いブルーで段の入った可愛らしいドレスに決めた。
「フェシリアはそれね!」
と、突然今フェシリアの着ている蒼のドレスを指さした。
「えぇ!?これ派手すぎじゃない!?」
碧色のドレスはとても素敵だが、少しタイトで大人っぽい。フェシリアが今まで着た事の無いタイプだ。
「そんな事ないわ。フェシリアに良く似合ってる!うん!決めたわ。それにします!」
ティアの独壇場でフェシリアのドレスは決まった。
(似合うかしら?笑われない?)と考えながらフェシリアが試着室で着替えていると先に着替え終わったティアの声が聞こえる。
「あと、その2着と別にフェシリアの試着してたこれと、これと〜あっフォーマルなのも欲しいわ。うん、この10着下さい。いつも通りノーフォーク家のつけで」
「ちょっーちょちょちょ……ちょっと待って!!」
フェシリアは試着室から顔だけを出してティアを呼んだ。
「どうしたのフェシリア?顔だけ出して。ちょっと恥ずかしいわよ?」
「い、今支払いの話してたけど10着って何?」
「えっ?フェシリアの分だけど。今、うちにいるけどちょっとワードローブ少ないかなって」
「いやいやいやいや」
今だって舘にいる時はノーフォーク家から貰ったドレスを着ている。今日、ヴィンセント勇者祭用のドレスを買ってもらうだけでも申し訳ないのに、そういう訳にはいかない。
フェシリアは必死に訴えた。店員に聞こえないように小声で。
「ティア、そんなに買って頂く訳にはいかないわ。申し訳ないし。それに、私は後20日くらいしか舘にいないのよ?」
ティアはきょとんとした顔をして言った。
「じゃあ、舘にもっといればいいんじゃない?」
「お買い上げ有難うございまーーす!」
店員の声が響くとライラが両手一杯に紙袋を持っていた。
「お嬢様!なんか顔だけ出してますけど、私は一旦荷物を馬車に置いてきますから!」
「有難う、ライラ」
ティアはライラに言うと振り替えって
「グレアム兄様にも言われてるの。だから大丈夫よ!早く顔を閉まって!」
と笑った。
その後も靴屋、帽子屋、バッグの店とティアに連れ回された。全ての店がドレス店同様の大量買いでもう起業でもするんですか?と聞かれそうだ。
「やぁ、待ったかい?」
と待ちあわせ場所に現れたルークは
「何か、フェシリア顔がゲッソリしてるよ」
と心配した。




