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こちらとしては婚約破棄をご希望です!?  作者: 鈴本奈緒
第4章 動きだした人々
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黒鹿毛の馬イルフォーバルはうなだれる

「さぁ、ノーフォーク公邸に帰ろう」 

「そうだな。」


 美しい渓谷の景色に別れを告げて、2人は馬を走らせた。


「ところで、フェシリアとは最近どうだ?」


 リックは馬が少し速くなったのを感じた。


「あぁ、まぁ。前よりはいいと思う。」

「なんだ!進展ありか?」


 ティティスがイルにスピードを合せた。


「前は怖がっているのが分かったから、少し様子を見ていた。だが、もうヴィンセント勇者祭まで1か月を切ったからな、遠慮するのは止めた。」

「そうか。上手くいきそうか?」


 イルはまたスピードを上げた。ティティスもすぐ追い付く。


「まぁ、上手くいっても、いかなくても。元々逃がしてあげる気は無いから。」

 グレアムが微笑を浮かべて行った。


(これだよー!ヴィンセントの血だよ!怖えよ!)

 リックは身震いした。にしても頬に当たる風が強い。

「まぁ、大事にしてやりなよ。いい娘そうだし。ところでさ、何でこんなに急いで帰るんだ?」


 2人は追手から逃げているかのごとく猛スピードで街道を突っ走っていた。


「いや、リックがスピードをあげるから、こちらは合わせてたんだが。」

「いや、グレアムから借りたこの馬がすごいんだよ。スピード狂なのかな?」


 イルフォーバルは下で聞いていてガックリした。

 スピード狂ってあんた。。。

 俺は精一杯頑張ってたんだぜっ。。負けまいと!

 イルはティティスの方をチラリと見た。

 フンッ と笑われた気がして、イルはスピードを弱めた。


「おっ丁度良くなった!いいぞ!えーっとイル!」


 おぉ、そうか、ありがとよ。

 けどな、俺は必ずティティスに勝って、そして告白すんだ。ティティスより遅いんじゃ言えねーからな。まだ、俺は諦めてないからなー!!


「ティティスも足取りを揃えたようだ。もうすぐ、ノーフォーク邸だな」

 グレアムが言った。2頭の馬は足どりを揃えてノーフォーク公邸に向かった。


 ティティスはイルって何でもムキになってかわいいのよね!と思っていた。


 こうして、グレアムとリックの遠乗りは馬達の恋愛事情もあったが、雨に打たれることも無く無事終わった。


 ◆◆◆◆◆


 グレアム達が無事ノーフォーク公邸に帰ってきた。

 雨が振らなくて良かったとフェシリアは思っていた。

 リックは戻るとすぐ馬車が迎えに来て帰ってしまった。


「思いがけず時間がかかってしまったから、もう帰るよ。皆、有難う。今日は久々に楽しかったよ!」

 最後まで笑顔で帰って行った。


 リックを見送るとグレアムは

「ディナーの前に着替えてくるよ」

 と言って2階へ上がっていった。

 グレアムは自分の部屋に戻り、汚れた服を脱いだ。洗いたての着替えを出して、袖を通しながら今日の事を思い出していた。


 リックは明るいが皇太子ともなると、責任も重く、色々な重責がある。友人と過ごす時間は本当の自分を出せる僅かな時間なのだろう。

 自分もそうだ。家族や他の人とは違う顔をリックには出せる。


 ……フェシリアはどうだろう?

 家族は論外だ。ライラの事は可愛がっているがライラはまだ幼い。相談なんてしないだろう。ティアにもしない。

 ……あのゼノーの娘か。アリーと言ったな、会わせてやりたいが、もう逃がす訳には行かない。

 何か考えてやらないとだな。


 グレアムは着替え終わると食堂へと降りて行った。


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