城下町のお洒落な飴屋
「見ました?あのお姿!素敵だったわ!」
「私のブレスレットをサッと買ってくれましたのよ!えぇ
、ティアのブローチも素敵だとは思いますけど。あらっ!フェシリアは何もプレゼントして貰えなかったのね?」
「でも、仕方なくてよ。あなたはあれだけグレアム様に迷惑をかけたのだから」
帰りの馬車の中でもエリザベスは饒舌だった。
ティアは終始困った顔をしていた。
フェシリアは慣れているので(ライラ、お土産喜んでくれるかな?)などと考えていた。
30分も走るとノーフォーク公邸が見えてきた。
馬車がスピードを緩め始め、門を通って中に入って行く。
見ると2人の男性が立って待っているのがわかった。
一人は服を着替えたグレアムだ。先程の蒼の軍服も素敵だったが、落ち着いたグレーと紺で紡がれた服もまた魅力的である。その横にいるのは、ルークだ。最近友人宅へ行っていた様だが今日戻ってきたようだ。エリザベスは2人の男性を獲物を見るようにジーっと見ている。
「ルークお兄様、帰ってきたのね!」
久々の兄との再開にティアも嬉しそうだ。
馬車の扉が開けられると、エリザベスが我先にと飛び出した。
「グレアム様、今、戻りましたわ!」
「そちらはルーク様ですわね!あのパーティーの日以来ですわね!お元気でしたかしら!?」
「……はい。元気です。そちらもお元気そうで何より」
一瞬の間をあけて、ルークは困った様に答えた。
それもそうだろう。あの婚約パーティーの事件以来、グレアムの前でこんなにはっきりパーティーに触れた人はいないのだから。
グレアムがルークの横で苦笑いしながら
「うん。皆おかえり」
と言った。
◆◆◆◆◆
その日のディナーは前回とは違い、いい意味で賑やかだった。ルークは話上手で、エリザベスは上機嫌だった。
「そうですの?今までお友達の家に?」
「ええ、そうなんです。普段は職場の近くに一人で住んでいるんです。今回、ヴィンセント勇者祭があるので少し長い休暇を貰って久々にノーフォーク邸に戻ってきたので、次々旧友の所を回っていたんですよ。」
「まぁ、それもいいですわね!ところで、ルーク様はお仕事は何を…?」
「国の植物研究所で働いていますよ」
「植物の…研究所。……意外ですわね。ルーク様は何かもっと、華やかな方が似合いそうですわ」
「ハハハ。良く言われるんですよ、それ。地味とか。でも、僕の見た目には似合わないらしいですけど、意外とそんな感じの落ち着いた仕事とか暮らしの方が好きなんですよ」
「だけど、りっぱな仕事ですわ。」
それまで、エリザベスとルークの話を黙って聞いていた
ティアが言った。
「まぁ、私、別にそんな意味で言った訳じゃなくてよ!
ね、ルーク様!」
エリザベスが慌てて言った。
「ええ、勿論わかっていますよ。エリザベス嬢は素直な方なだけです。すいません、妹はどうも兄びいきなんですよ」
「ティアも心配してくれて有難う」
ルークが2人に優しく言った。
◆◆◆◆◆
部屋に戻って城下町で買ったお土産を渡すとライラはとても喜んだ。
「わーー!!綺麗!!こんなに綺麗なのに食べれるんですかぁ!!嬉しい!!有難うございますお嬢様!」
ーーー飴屋に入ると色とりどりの飴があった。赤や青や白、べっ甲色。形や大きさも色々あり何だかフェシリアは楽しくなった。
「フェシリア、私、楽しいわ!皆の分を買うからあっちの大袋の方を見てくるわね!」
ティアもワクワクしているようだ。
「ええ、私はライラの分だからこの辺を見ているわ」
(ライラはどれが好きかしら…。この色々な色の飴が入っている瓶詰めにしようかしら。飴も瓶もかわいいし、飴を食べ終わっても瓶だけで使えそうだわ。)
フェシリアが考えていると、グレアムが横に来て話しかけてきた。
「ライラへのお土産は決まった?」
「これにしようかと思ってます。とてもかわいいし、ライラが喜びそうですから。」
「そう、そうだね。かわいいし、彩りも綺麗だ。ライラはきっと喜んでくれるよ。」
「そうですよね!」
フェシリアは自分の選んだものを認めて貰えた気がして嬉しくなった。
「じゃあ、これは私からフェシリアにお土産。皆には内緒だよ」
グレアムが小さな紙袋を渡してきた。そっと袋を除いてみると先程の露店で買ったのだろう、ネックレスが入っていた。持ち上げて見てみると、雪の結晶の形をした可愛らしいデザインのネックレスだった。
「まぁ、なんてかわいい……でも、いただく訳にはいきませんわ、グレアム様。」
フェシリアが言うと
「うーん。まだ様づけか。じゃあ、グレアムとは呼んでくれないお詫びとしてそのお土産を貰ってくれ」
といたずらっ子のように言った。
(ズルイ……)
そこまで言われると受け取らない訳には行かない。
「有難うございます」
フェシリアは今度は素直に受け取った。




