いざ、ゼノーの街へ!
今日はゼノーの街へ行く朝。フェシリアはいつもよりも早く起きてしまった。
ライラもまだ来ていない、薄暗い朝。フェシリアはアリーに会えるのが楽しみで楽しみで仕方が無かった。
(何故街に行くことを許してくれたのかわからないけれど、久々の外出は素直に嬉しい)
フェシリアはワクワクしていた。
明日にはドクターピートの診察がある。状態が良ければ車イスから杖に変えようと言われている。
(どうかな…。最近大分いい気がする)
フェシリアは以前のようにベッドからそっと右足を下ろしてみた。
(うん。全然大丈夫)
続けて包帯も薄くなった左足をそっと地面に下ろしてみた。
(痛い…けど、何とか我慢できそう。少しなら。杖になったらまた街に行けるかもしれないわ。)
フェシリアはライラが来るまでまたベッドに横になり少し眠った。
◆◆◆◆◆
「お嬢様、朝ですよー!」
少し眠るとフェシリアはライラに起こされた。
「おはよう、ライラ。さっきね、足…ううん。何でもない」
ライラがキョトンとしている。
(明日の診察まで黙っておいて、ライラをびっくりさせちゃおう)
「さぁ、用意をしてティアの所へ行きましょう!」
「はい!楽しみなんですね、お嬢様」
二人は急いで用意を始めた。
玄関ホールに着くと、ティアがもう待っていた。
ヘンリーが
「フェシリア様、今日は晴れていい天気になりそうです。楽しんできて下さい。」
と言った。
「有難う、ヘンリー。それでご迷惑お掛けしてしまうけれど、もう一人の方は…?」
ティアがそれに答えた。
「それなんだけど、お兄様がお休みだから来てくれるって」
「えっルークが?」
「ルークでは無い。悪かったな。」
振り返ると一目でわかる不機嫌オーラのグレアムが立っていた。
(……えっ)
「行くぞ」
グレアムは歩いてくると車イスからフェシリアを抱きかかえようとした。フェシリアは慌てて
「グレアム様、大丈夫です。そんな事していただく訳には行きません。街に行くのは諦めますわ」
と言った。するとグレアムは一呼吸おき冷たく
「あなたの為ではない。妹に頼まれたから。ただそれだけだ。」
と言い放ち、あっと言う間にフェシリアを馬車に乗せてしまった。
ポカーンと見ていたティアとライラが
「待って!待って!」
と馬車に飛び乗ってきた。何とも重苦しい雰囲気でゼノーに向かう馬車は走り始めたのだった。




