ティアとお茶会
それからの日々は割と穏やかに過ぎた。
フェシリアはノーフォーク公爵邸の中なら自由に動いていいとグレアムから許可がおり、天気のいい日にはライラと車イスで庭園を散策したり、ティアとお茶を飲んだり、時々ルークも加わって3人で楽しく過ごしたりした。
夕食のみだが皆と一緒に食べるようになった。
しかし、グレアムが話に加わってくる事は無かったし、あの夜以来グレアムとまともに話す事は無かった。
(まぁ…それは、そうよね)
フェシリアは納得したような、悲しいような何とも言い難い気持だった。
「フェシリア、どうしたの?」
ティアが不安そうにフェシリアの顔をのぞき込んできた。
(いけないっ 今はティアとお茶会の途中だったわ)
「何でも無いのよ。ごめんなさい。ただ…」
「どうしたの?話してみて」
フェシリアはティアの汚れをしらないような瞳にすいよせられるように話しだした。
「ゼノーの街にね、アリーっていう親友がいるの。私の事をとても心配していて…いぇ 会いたいなぁって」
話す内にフェシリアの目は涙でいっぱいになってしまった。
「まぁ、泣かないで。じゃあ、ゼノーの街まで馬車で行きましょう。私が付いていくわ。ヘンリーに誰か手配してもらって車イスに乗せてくれる人とライラを連れて行けば大丈夫よ!ね?」
「ティア、有難う。でもきっとグレアム様が許してはくれないわ。」
許してはくれないだろう。グレアムは決してノーフォーク公邸からフェシリアを出そうとしない。お前が罪を償うまでは置いておくとばかりに。
その時丁度グレアムが城の仕事から戻り馬を馬舎につないでいた。グレアムの姿を見つけるとティアは走って行ってしまい、2人でしばらく話し込んでいた。
(こんな場所からみても何と美しい兄妹でしょう)
「めっちゃ絵になりますね。絵画みたい。」
自分の声が漏れたかと焦ったがライラだった。
話が終わると、グレアムはこちらに一瞥をくれて声もかけずに館へ戻って行った。
「怖え~~」
(うん、これも私じゃない。ライラの声だ。焦るわ。)
ティアが小走りで戻ってくる。
「ティア、聞いてくれてありがとう。でもいいの。」
「いいって」
「えっ?」
「グレアムお兄様に聞いたら、いいって言ってたわよ。ゼノーの街も後一月でヴィンセント勇者祭だから街も準備を始めて活気があるわ。気晴らしにもなるだろうって」
(……ええ?あのグレアム様が?閉じ込めて、足掴んで、ろくに話しかけてこないのに…気晴らしなる?えぇ?)
「善は急げ!明日行きましょう!」
フェシリアが泣いてしまったからだろうか、珍しくティアが積極的だ。勢いに押されて、
「うん。行く。」
とフェシリアは子供のようにうなずいた。




