第85話 ルール改変×ラブラブカップル
冬休み最終日。
他の生徒はまだ休みだが雅人達生徒会役員は制服で登校していた。
「生徒会なんて入らなきゃよかった」
「しかたないでしょう。毎年の恒例なの」
「まあ、毎年不評らしいけどな」
「真央年明けしょっぱなから動きたくなーい!」
「動かないと体が鈍ってしまいますよ?」
生徒会メンバーも嫌だというこの行事。なにに問題があるのか。
「競技はテニス、バレーボール、バスケットボール、ドッチボール、ハンドボールの5競技。男女混合で各部活に所属する生徒は出場禁止。それぞれ得意な競技に出てもいいということになってるわ」
「欠場者が出た場合は同学年の中でかつ先ほどの条件に当てはまらなければいいとなってましたね」
「そのなにに問題があるんだ?なにもないだろ」
「そうじゃないんだ赤嶺」
雅人の疑問に快斗が答えた。
「文面じゃそう見えるかもしれないが実際にやってみると地獄なんだ。考えてもみろ、運動出来ない奴らの球技大会を。そう奴は大抵ドッチボールに行くが投げても当たる前に地面につき外野から中に入っては出て入っては出ての繰り返し、全員運動出来ないからボールを取って反撃なんてこともない。あとな!男女混合だからってカップルで出るな!競技の邪魔だ!リア充死ねーい!」
快斗は雅人に向かって去年の惨状を力いっぱいに告げた。
「そういうことか。運動不足共が邪魔とリア充共が邪魔だと...運動不足共は仕方ないんじゃないか?」
「カップルは男女別にすれば済むことですし問題はグダグダな競技ですよね。決着がつくのが遅いと渋滞が起こるのと球技大会自体が詰まってしまうんですよね」
「その辺は時間制限だとか外野に出たらそれっきりとかで対処するしかない」
「いつになる真面目だな」
「さっさと終わらせたいだけだ」
雅人は紙に案を次々に書いていった。
「赤嶺はなにかスポーツとかしてたのか?」
「いやなにも。だが運動は好きだ」
「赤嶺さんを生徒会に入れておいてよかったですね会長。もし雅人さんがいなかったら誰も運動が出来ないのでまたグダグダな球技大会になるところでしたよ」
「少し考えれば出てくるもんだろうが」
「それくらいでしか役に立たないんだから働け後輩」
「ぶっ殺すぞ」
「やーん。お兄ちゃんこの人怖ーい」
雅人は真央を追い返すと紙にまた書き始めた。
結果として選ばれたのは、『男女別』と『時間設定』と『助っ人』の案だった。
「男女別と時間設定は分かるが助っ人てのは?」
「さっき競技の時間が伸びるって言ってただろうが。その対策だ」
「だけど助っ人って言ってすぐに来れるものなのかな...」
「仲いい奴が1人くらいは出てるだろ。それに、使うかどうかはそのクラス次第だ」
「それなら友達がいなくても問題ないわね」
球技大会の概要はこの程度。だが問題は山積みだった。
冬休みが終わった登校初日に生徒には球技大会の情報が開示された。
これには2、3年から猛反発。
「なにが彼女と出れないなら球技大会でないだよ。おれも彼女欲しいのにー!」
「私も言われてしまいました。あまり調子に乗るなと」
「なら言ってやれ。文句は赤嶺雅人にどうぞと」
「それで文句言って来たら?」
「殴る」
「根本的な解決になってないだろうが。やっぱルール変えない方が良かったのかねー」
雅人は溜息をついた。
「彼女と学校でいちゃつきたいなら別に球技大会の場でなくてもいいだろ。まあ、彼女にいい所を見せたいっていう浅はかな魂胆だろうけどそうはさせない。俺自身女子がいるとまともに動けないし」
「後輩はなにに出るんだ」
「バスケかテニス」
「バスケはなんとなく予想出来ますけどテニスも出来るんですね」
「やったことないけどな」
「なら出来ないでしょう?雅人の運動神経ならすぐに覚えそうではあるけど」
「よはアレだろ?相手の顔面目掛けて返せばいいんだろ?またはラケット」
「それが出来たら誰も苦労しないんだよ」
「真央は一年バスケかテニスの審判やろー」
「あまり邪魔するとボール飛ぶから気をつけろよ」
雅人が挑発すれば真央は兄貴の後ろからべーっと舌を出して挑発する。
「文句は俺まで以上」
「本当に来たらアタシを立会人にさせて頂戴。雅人なら丸め込まれそうだしアタシだけだと殴られたらなにも出来ないし」
「そういう意味では完璧だよな。水谷と赤嶺って。学年1位の学力に学校一の武力なんてどうやったら勝てるんだよ」
雅人と梓は目を合わせた。
雅人はそんなわけないという意味を込めて。
梓はやっぱりという意味を込めて。
「そうでしょう?アタシ達は無敵ですからね」
梓は得意気に雅人に抱き着いた。
雅人は机に肘をつきそっぽを向いた。
その様子を真央が写真に撮り生徒会メンバーが入っているグループに送った。
『ラブラブカップル』と文字を書いて。




