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ウイニングブラッド~近未来競馬物語~  作者: うーた。
第1章
62/130

サイレンススタートの長所


フォルスストレート…偽りの直線と言われるだけあり、ここでペースを上げてしまうと最後の直線で失速してしまうために注意が必要と言われている。


そのためここでペースを上げる騎手は稀だった。

しかしここでペースを上げるのが、圧倒的な総合力を誇るアブソルートのお決まりパターンだ!


昨年の凱旋門賞でも差し馬の有力馬が後ろで脚を溜めている中、ここでペースを上げて結局1度も影も踏まれることなく完勝していた。

しかし今年は有力馬の1頭が自分の前を走っている。


「ここでも捕まえに行っているのに差が縮まらない。かなりのハイペースだぞ?」


単騎逃げになったことを利用してそこからペースを落とす奇襲を使うことがたまにあるが、精密機械のジュニアにそれは通用しない。

確かにサイレンススタートはペースを落とすことなくハイペースで逃げている。


「世界の舞台でもやるんかアイツ…」

日本でテレビ観戦し応援中の小和田が呟いた。


ーー「さすが福山先輩ですね。」


「白浜…さすがとは?」


ーー「ええ、私は札幌記念でサイレンススタートと走ったゆですけど、普段より控えた競馬をしてて、案外伸びなかったのであの馬はハイペースで逃げないとダメなのかなと感じていたので…」


「…そうか、確かに俺とエスエムオペラオーも皐月賞で勝てたけど、風切とフラッシュフォワードを警戒してペースを落としてたからアレに助けられたのかも?」


ーー「いや…でも皐月賞は小和田さんの好騎乗ですよ…汗」


「気を使わなくていいわ…でもさすがにこのペースはあかんやろ?」


ーー「………」


サイレンススタートのハイペースに固唾を飲んで見守っているのは2人だけではない…深夜のテレビ中継にも関わらず日本中の競馬ファンが見守っている。

その中の誰よりも心配で見守っているのはもちろん父の祐一だ。


「本当に大丈夫か祐翠?」


事前の打ち合わせでハイペースの単騎逃げのレースをすることを話していた祐翠、それを信じて送り出した祐一ですらいざ本当にレースをすると気が気ではなかった。


フォルスストレートでペースを上げたアブソルートに差を縮められることなくサイレンススタートは逃げ続ける。


「予想外の展開で、内心焦ってるんじゃないのかジュニアさん?正直このペースで失速しない馬はいないと思うけど、もしかしたらサイレンスは…それに賭けるしかない!」


何かに意を決した覚悟でサイレンススタートと福山祐翠が飛ばし続ける!!!



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