3 試してみよう
俺は、畑の隅でにゅるにゅると動くでかいミミズを、しゃがんで見ていた。
昨日は、家についたら、、こまごまとした用事を片付け、夕ご飯を食べてすぐに眠った。
姉ちゃんと暮らしている家は、もともと小屋だったところを少しづつ改修して住んでいる。
店をやっていた両親が仕入れの旅の途中で事故で亡くなった後、俺たちは嵐のようにもまれ、そこからぽいっっと出された後に残されたのは、畑仕事の休憩所として使われていた、町外れにある小屋だった。
嵐の中で飛んでいたもののなかに、昨日の男もはいっている。まだ両親が生きていた頃に、真っ赤な顔をしながら、姉ちゃんの気を引こうとしていたのを覚えている。
まぁ、まったく相手にされていなかったが。
家の後ろに広めの庭程度の、土地があるから、俺たちはそこに畑を作って家計の足しにしていた。
土の中へ戻っていきたそうな、みみずを見て思う。
昨日、目覚めた時から分かっていた。
俺は、魔法が使える。
体に今まで、感じたことのなかった流れを感じていた。
それはゴーゴーと音をたてるほどの勢いにもできたし、ただ、糸のように細く流すこともできた。
この世界にぼんやりと、傍観者のようにただよっていた俺が、今は、この世界にただよっている全てのものを引き寄せることができるのが、分かっていた。
俺は物思いにふけそうな自分を首をぷるぷるとふってとめ
よし、実験をしよう、と気合をいれた。
俺は、細い木の棒で、つっついていたミミズの隣に四角い箱をイメージする、ちょっと地面から浮かせて。ミミズの形に合わせた、透明な細長い箱を。
俺は、その箱へ棒にくっつけたミミズを入れる。
もちろん、ミミズはいうことを聞かないから棒にくっついたまま離れない。俺は棒だけをとりだすとイメージを込めて、木の棒を引き抜く。ミミズは見えない壁にはばまれたように、ぽたんと棒から落ちる。
ここまでは、予想通りだ。なんせ、日の出と共に起きた俺は、もうすでに、いろいろな実験をしている。
最初は、お気に入りの石を浮かせてみた。それがうまくいくと、次は、石を火のついたかまどに入れてみた。火だからな、取り出すときはもちろん、手を使わずイメージした箱のまま動かして取り出した。
手に取った箱は、熱くもなく、とりだした石も、熱くもなかった。次はその石を桶の水に入れて濡れていないか試してみたけど、濡れているか濡れてないかいまいちわからなくて、次は乾いた布巾をいれて確かめた。
いよいよ生き物だ、俺が一番しなきゃいけないことは、姉ちゃんを守る力をつけることだと思う。
このミミズを敵だと考える。
自分が火魔法も、水魔法も使えないことはなんとなくわかっていた。
そのうち、丸まって落ちていたミミズは、また一本の線のように体をのばした。
まずは空間を切断してみよう。
スパっと切るイメージで箱をミミズの体もろとも2つに分ける。きれいに2つに分けれたけど、まだうねうねとミミズは動いている。
箱の中の空気を抜いてみよう、すぅーと真空をイメージして箱をつぶしていく、うん、真空パックのミミズができただけだった。
なんかちがうんだよな。
俺が想像するのは、一瞬で灰になって跡形もなく消えていくイメージ。
枝でちまちまとつっつきながら、とりあえず真空パックのミミズの水分も取ってみる。
そうすると干からびてはくれたけど、ないかが、ちがう…。
まぁ、とりあえず手段はいろいろあることはわかった。もう一つの方は、ぽいっと捨てる…
捨てるか…どこに捨てるか考えたら、一瞬で消せるんじゃないか。
よし、仕事をやりながらでも考えよう。
俺はじゃがいもの収穫にもどった。
中腰で作業し、かたまった腰を伸ばすように、空を見上げた。
昼にもなっていない空は一日の始まりをまだ残したようなお日様がのぼっている。
ふと思いつく。
目線をもとに戻し、埋まっているじゃがいもを持ちあげるイメージで力をいれると、じゃがいもは土からするっとぬけ、放物線を描いて、俺の手にぴたっと入ってきた。
いままで抜いてきた畑を振り返る。
頭上からは、越冬するために移動していく鳥の鳴き声が通り過ぎ…。
まぁ、何事も勉強だよな。
俺は、じゃがいもをお日さまにあててかわかそうと、また動き出した。




