13 依頼完了
手続きの間に、すっかり日は落ちた。
問題なく王都に入れた。
俺の隣で、手綱を握るボーガンさんは心なしかほっとした顔で馬を走らせている、これまで通り、三台の馬車は一列に走る。
門外での騒々しさはうすれ、日常の音が耳に入ってくる。
広い道は、歩道と馬車道を分け整理されて、両側には立派な石造りの建物が並び、等間隔に魔道灯がつき、人々の顔を照らす。
どこからか、弦楽器の音が流れ、買い物帰りの人たちは、楽しそうに華やかだ。
「我々は、荷物もありますので、このまま商会へと行かせていただきたいと思っております。皆さまは、ギルドに寄った方がいいのでしょうから、そこで降ろしますね。道案内も兼ねて、うちの護衛を残しますので、その者にギルドで手続きしている間、馬車を任せるといいと思います。」
そうこう、言っているうちに、馬車はギルドに止まった。すでに、姉ちゃん達は降りていて、俺を待っている。
俺たちの馬車は、と探すと、ギルドの馬車止めにある、何台かの馬車のうちの一台にしれっと混ざっていて、顔見知りの護衛が御者台に座っていた。
王都では、盗難も多いと言う、これなら安心だ。
ボーガンさんも、すでに集まっていた皆に、挨拶をする為、わざわざ馬車から降りる。
「ぜひ、宿くらいは用意させてください。あの馬車は、家の馬車です。ギルドでの手続きが終わりましたら、乗ってくだされば、お連れいたしますので」
手で示された方を、見ると確かに俺たちの馬車の隣に同じ服をきた人が御者台に乗っている。
もうすでに準備は終えていたようだ。
「いえ、それはー」
シルヴァン様は、遠慮するように口を開こうとしたが、
「もう、全て段取り済みなのです。商人が不義理をしたら、信用にかかわりますからね。うちの助けになると思って、使ってくださいませ」
そう言うと、ささっと馬車に乗り込み、俺に
「ではまた、後ほど、お待ちしておりますねー」
と言いながら、去っていく。
全てが考える間もなく、進んでいった。
やっぱり、のんびりしてそうに見えて商人なんだなぁと、俺は、変に感心してしまった。
俺たちは、ボーガンさんの勢いにのまれたまま、ギルドへ入る。
これまた、顔見知りの護衛が、ギルドの中を案内してくれるようで一緒に入る。
至れり尽くせりだ。
さすが、王都のギルドだけあって、入り口は、他にもあるようで、俺たちは、馬車があったから倉庫もある方向から入っていったが、反対側には、正面出入り口があるようで、そちらの方も人の出入りが見えた。
ギルドの造りは、街と似ているが、大きさが広さが全く違った。
俺は、あっけにとられつつも、そこにいる人達が、街では全く見かけなかった、剣を背中に担いでいる女冒険者や、耳が細長くとがっているエルフ族や、そして獣人も、ごちゃまぜにいて、俺は、ドリスのことを考えると、うれしくなる。
歩けないことはないけれど、流れに乗らないと、目的の場所にはたどり着けそうもない、そして俺はどの流れに乗ればいいのかも、さっぱり分からないそんな状態だったが、さりげなく後ろにいる俺を確認しながら進む護衛は、
「依頼成立の報告はこちらです」
と、スムーズに案内してくれる。
カウンターに着くと依頼完了の手続きを、ドリスがやってくれ、無事に俺たちは手続きを終えたのだった。
本当に、ボーガンさんと会えてよかったと、しみじみ思った。
俺たちは、ギルドの前で別れた、姉ちゃんは、きちんとお礼の挨拶をしていたけれど、俺は、それが終わると、ドリスに飛びつき、
「王都にいる間、合おうね」と、つぶやく。
シルヴァン様は、俺に、
「くれぐれも、気を付けるように」
と、微笑みながら言われ、俺は、こくりとうなずくしかなかった。
今夜、寝る時も、明日、起きた時も、二人がいないのを、なんとなく受け入れられないまま、シルヴァン様とドリスが乗った馬車を見送る。
今まで、姉ちゃんさえいれば、俺の世界は、まるく完結されていたというのに、ささくれができたような違和感がある。
「そんなに、唇をとがらせて、まだ赤ちゃんみたいねー」
姉ちゃんはそう言いながら、俺のほっぺをつっつく。
「なんだか、嫌な気分だ」
そう俺は、不機嫌に言ったのに、ますます姉ちゃんは笑い。
「それは、寂しいって言うんじゃないかしら」
と言う。ほら、馬車に乗って、俺は言われるがままに乗る。
俺は、荷車に乗りながら、考える。
この感情が、寂しいっていうのなら、それを知ったことは、いいことなのか、悪いことなのか、どちらなのだろう




