R18G守護霊
やがてある一室の前でスノウが立ち止まった。
ここも前に来たことがある。フラックスと一緒に、殿下からアネモネやフラックスの父親について真実を聞き出した部屋だ。
「お父様、戻りました。グレイ、開けてくださる?」
私を抱えているせいで両手が塞がっているスノウが声をかける。
ややあってから扉が開くと、そこには見慣れた軍服姿のグレイの姿があった。
良かった。元気そうだ。
ほっとする私とは対象に、グレイはやや警戒したように私を見る。
それはそうだ。この姿の私とグレイは初対面なんだから。
スノウは精神世界で出会っているから例外として、まずは挨拶をしないと。
しかし私が口を開く前に、グレイがぎょっとしたような顔で私の背後に目を向けた。そして再度、困惑したような顔で私に目を向ける。
「嬢ちゃん……?」
「そうですけど……え? なんですか? なんかいるんですか?」
慌てて背後を見るも、いるのは私を抱えているスノウだけだ。
でもグレイが見ていたのはスノウの身長より上、何か巨大な物を見て驚いているようだった。
グレイはやや気まずそうに顔で頬を掻いた。
「あの時の肉塊が後ろにいたから驚いただけだ。二人に見えてないなら良いんだ」
「良くないですけど!?」
再度後ろを見てもやっぱり私には何も見えない。
そういえば院長をぶん殴るときに出てきた白い杖から『俺達が守ってあげる』って声が聞こえてきていた。
リアル背後霊―――いや、守護霊って事?
グレイみたいに霊が見える人には、私がいるだけで強制的にグロい肉塊を見せてしまうじゃないか。
守ってくれてありがたいんだけどさ。
クロッカス殿下はリリーさんが守護霊になってくれたのに、私のは歩くR18G守護霊なのはどうなのよ。
後で白い杖の件も含めて肉塊の皆さんと話し合わないと。
思わず渋い顔をしていたら、グレイがふっと表情を緩めた。
「変わってねぇな。見た目が変わってても、確かに嬢ちゃんだ」
何故かこの短いやり取りで納得してくれたらしい。
まぁ背後の人(?)がいるから認めてくれたんだろう。
私は改めてグレイに向けて笑みを浮かべた。
「もう嬢ちゃんなんて呼ばれる年齢じゃありませんよ。名前で呼んでくれませんか? グレイ隊長」
「そうだな。――――サクラ」
久しぶりの再会に、グレイ隊長とお互いに微笑み合っていると突然低い声が響いた。
「なんで良い雰囲気になってるわけ?」
院長だ。
無事、地下から生還したらしい。




