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後日談

 スノウに抱えられたまま、暗い階段を上る。


「スノウ、重くない? ごめんね。今、私歩けなくて……」

「まぁ、お姉さまは羽のように軽いですわ。それにお姉さまには散々守って頂いたんですもの。今度は私が守ります」


 そう言って微笑むスノウは、少し大人っぽくなった気がする。

 見た目もそうだし、話し方もお嬢様らしくなっている。

 それに言葉通り、私を抱えていても全く苦ではなさそうだ。こちらで私がスノウの肉体を使って鍛えていたのもあるが、私が元の世界に戻っても欠かさず鍛錬をしていたのだろう。

 久しぶりに逢った親戚の子が立派になっていた時の感情が沸いてしまう。しみじみと感慨深い。


「ありがとう、スノウ」


 笑顔で伝えるとスノウも笑顔を返してくれた。

 うん、可愛い。

 私が中身だと目つきが悪くて可愛げがなかったのに、元の人格であるスノウが反映されて可愛く見える。

 見た目に中身が反映されるって本当なんだな。

 そんなことを考えている内に、階段が終わった。

 階段の外は廊下だ。

 どうにも見覚えしかない―――クロッカス殿下の別荘だ。

 ただ、こんな地下室があるなんて知らなかった。


 院長が勝手に作ったんじゃないだろうな?


 私があらぬ邪推をしている中、スノウは軽やかな足取りを変えずに語り掛けてきた。


「お父様もお待ちでしてよ。お父様もお姉さまを心配していらしたの。もちろんグレイもね」


 懐かしい名前を聞いて、思わず笑みが零れる。


「皆、元気にしてるんだ。良かった」

「ええ、お姉さまのおかげです。それなのに感謝も伝えられず、いきなり離れ離れになって……寂しかったです」


 スノウが潤んだ目で私を見つめてくる。

 とても胸が痛い。

 もう幼女じゃないかもしれないけど、私にとってはいつまでも小さくて可愛いスノウに見えてしまう。


「ごめんね、スノウ。私も不可抗力で……」

「いいのです。お姉さまのせいではありません。それにお姉さまも帰ってから大変だったのでしょう? 『虹の女神』に抗議しようにも、あの儀式は長年城に蓄えられたウィスタリアの血族の魔力が不可欠。あと数千年は呼び出せなくなってしまいましたし……」

「私の為に最高神を呼び出して抗議しようとしないで」


 真顔でスノウを注意するも、スノウはにこやかにそれを聞き流した。

 もっと世界の危機とかに呼び出さないと、『虹の女神』だって困惑するだろう。

 それに前回だって『虹の女神』の子どもであるウィスタリアの為に来てくれたのだ。

 たかが人間一人、私個人の為に呼び出されるはずがない。


 神様ってそういうものだ。基本的に助けてくれない。


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