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この青春に、名前をつけるなら、なんて付ければいいのー!  作者: 汐音 月風


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2/22

友達って、どうやって作るんだっけ…

こんにちはっ!汐音(しおね) 月風(るか)です!


第2話を読みに来てくださって、ありがとうございます!


今回は、由奈に新しい出会いがありました。


少しずつ増えていく「友達」。


でも、由奈にとっては、その一つ一つが特別なものだったりします。


そして最後に少しだけ登場した女の子も……?


由奈の高校生活が、ここからどんなふうに変わっていくのか。


ぜひ最後まで楽しんでください!


それでは、第2話をどうぞ!

次の日。


私は、いつもより少し早く教室に着いた。


まだ教室には、数人しかいない。


窓の外を見ると、昨日まで満開だった桜が少しずつ散り始めていた。


(……昨日、本当に友達ができたのかな)


昨日のことを思い出す。


神谷美月。


席が隣だった女の子。


初対面なのに、普通に話しかけてくれた。


それだけなのに。


私は、昨日からずっと嬉しかった。


「……おはよう、由奈」


「えっ?」


振り返ると、美月が立っていた。


「お、おはよう!」


「早いね」


「うん。なんか、早く目が覚めちゃって」


「そっか」


美月はそう言って、自分の席に座った。


それから少しだけ私を見る。


「今日もその髪型、似合ってる」


「……え?」


「昨日も思ったけど」


「そ、そうかな……?」


「うん。可愛いと思う」


「…………」


いきなりだった。


顔が熱くなる。


(か、可愛いって……///)


「どうしたの?」


「な、なんでもない!」


私は慌てて前を向いた。


すると美月が、少しだけ笑った。


「変なの」


「変じゃないし……」


そんなやり取りをしているうちに、教室に人が増えていく。


昨日よりも少しだけ、教室が明るく感じた。


――でも。


休み時間になると、美月のところには何人かの女の子が集まってきた。


「神谷さん、昨日の課題やった?」


「うん」


「見せてー」


「自分でやりなよ」


「えー、冷たい!」


楽しそうな声。


私は自分の席に座ったまま、その様子を眺めていた。


(……そりゃそうだよね)


美月には、美月の友達がいる。


昨日話してくれたからって、ずっと私と一緒にいるわけじゃない。


当たり前のことなのに。


胸の奥が、少しだけ苦しくなった。


(また……一人になるのかな)


中学の頃も。


最初は、こんな感じだった。


普通に話して。


普通に笑って。


普通に一緒に帰って。


それが、少しずつ変わっていった。


だから私は――。


「ねえ」


「……え?」


突然、目の前に女の子が立っていた。


小柄で、ふわっとした雰囲気。


大きな瞳で私を見ている。


「小野寺さんだよね?」


「う、うん」


「私、水野莉奈!」


「……莉奈ちゃん?」


「そうそう!」


莉奈はニコッと笑った。


「昨日から気になってたんだよね!」


「私を?」


「うん!」


「なんで……?」


「だって、可愛いから!」


「…………」


まただ。


今日二回目。


「そ、そういうの……慣れてないんだけど」


「え? なんで?」


「なんでって……」


そんなことを言われた経験が、ほとんどないから。


でも、それを言うのは恥ずかしかった。


「まあいいや!」


莉奈はあっさり話題を変えた。


「小野寺さんって、好きな食べ物なに?」


「え?」


「好きな食べ物!」


「えっと……オムライス」


「えっ! 私も!」


「本当?」


「うん! じゃあもう仲間!」


「仲間……?」


「そう!」


莉奈は楽しそうに笑った。


その笑顔につられて。


私も、少しだけ笑った。


「……ふふ」


「ほら! 笑った!」


「え?」


「小野寺さん、さっきからちょっと緊張してたでしょ?」


「……バレた?」


「バレバレ!」


「恥ずかしい……///」


「大丈夫だよ!」


莉奈はそう言って、私の机に手をついた。


「私、いっぱい話しかけるから!」


「え?」


「だから、もう緊張しなくていいよ!」


その言葉を聞いた瞬間。


胸の奥が、少しだけ温かくなった。


「……ありがとう」


「うん!」


その時。


キーンコーンカーンコーン。


チャイムが鳴った。


「じゃあ、また休み時間ね!」


「うん」


莉奈が自分の席へ戻っていく。


私はその背中を見ながら、小さく息を吐いた。


(……なんだろう)


(昨日まで、知らなかった子なのに)


(もっと話してみたい)


そんなことを思った。


***


そして昼休み。


私は一人でお弁当を出そうとしていた。


すると。


「由奈ー!」


「……え?」


莉奈が走ってきた。


「一緒に食べよ!」


「私と?」


「うん!」


「でも……」


私はちらっと美月を見る。


美月はすでに別の女の子たちと話していた。


「……いいの?」


「もちろん!」


莉奈は当たり前みたいに言った。


「友達なんだから!」


「…………」


その言葉に、私は一瞬固まった。


友達。


その言葉を聞くのは、久しぶりだった。


「……うん」


私は笑った。


「一緒に食べよ」


「やった!」


莉奈が嬉しそうに笑う。


私たちは並んで席に座った。


「いただきます!」


「いただきます」


お弁当を食べながら、莉奈が次々と話しかけてくる。


好きな音楽。


好きな漫画。


昨日何時に寝たか。


朝ごはんは何を食べたか。


本当にどうでもいいような話ばかり。


だけど。


それが、楽しかった。


「由奈ってさ」


「うん?」


「中学どこだったの?」


「…………」


箸が止まった。


「……え?」


「だから、中学校!」


「……あ」


心臓が、一度だけ大きく鳴った。


頭の中に、あの教室が浮かぶ。


笑い声。


自分だけが入れない会話。


誰にも声をかけられない昼休み。


卒業式の日。


一人で帰った帰り道。


「由奈?」


「……あ、ごめん」


私は慌てて笑った。


「ちょっと考え事してた」


「そっか!」


莉奈は、それ以上聞かなかった。


「じゃあ私の中学の話するね!」


「うん」


莉奈が楽しそうに話し始める。


私はそれを聞きながら、少しだけ胸を撫で下ろした。


(……まだ、言わなくていいよね)


(私の過去なんて)


(今は――)


目の前にいる莉奈を見る。


楽しそうに笑っている。


そして、少し離れたところでは美月も笑っている。


(今は、この時間を大切にしたい)


そう思った。


***


放課後。


帰りの支度をしていると。


「由奈」


「美月?」


美月が私の机の横に立っていた。


「今日、莉奈と一緒だったね」


「うん」


「楽しそうだった」


「……楽しかった」


「そっか」


美月は少し笑った。


「よかったね」


「うん!」


昨日よりも。


少しだけ。


高校が楽しいと思えた。


そんな私たちを、教室の後ろから見ている女の子がいた。


長い髪を揺らしながら、静かにこちらを見る。


「……楽しそう」


その声に、別の女の子が振り返った。


「どうしたの?」


「ううん。なんでもない」


彼女はそう言って、窓の外へ視線を戻した。


桜の花びらが、一枚。


静かに舞い落ちる。


――私の高校生活は。


まだ、始まったばかりだった。

第2話、ここまで読んでくださってありがとうございます!


今回は、由奈と莉奈が少しずつ仲良くなっていくお話でした


『友達なんだから!』


莉奈のこの一言は、今の由奈にとってすごく大きな言葉だったと思います。


そして最後に少しだけ登場した女の子。


次回から、また新しい出会いが待っています。


由奈の周りに少しずつ増えていく女の子たちが、これからどんな関係になっていくのか。


ぜひ次のお話も読んでもらえたら嬉しいです!


汐音(しおね) 月風(るか)

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