友達って、どうやって作るんだっけ…
こんにちはっ!汐音 月風です!
第2話を読みに来てくださって、ありがとうございます!
今回は、由奈に新しい出会いがありました。
少しずつ増えていく「友達」。
でも、由奈にとっては、その一つ一つが特別なものだったりします。
そして最後に少しだけ登場した女の子も……?
由奈の高校生活が、ここからどんなふうに変わっていくのか。
ぜひ最後まで楽しんでください!
それでは、第2話をどうぞ!
次の日。
私は、いつもより少し早く教室に着いた。
まだ教室には、数人しかいない。
窓の外を見ると、昨日まで満開だった桜が少しずつ散り始めていた。
(……昨日、本当に友達ができたのかな)
昨日のことを思い出す。
神谷美月。
席が隣だった女の子。
初対面なのに、普通に話しかけてくれた。
それだけなのに。
私は、昨日からずっと嬉しかった。
「……おはよう、由奈」
「えっ?」
振り返ると、美月が立っていた。
「お、おはよう!」
「早いね」
「うん。なんか、早く目が覚めちゃって」
「そっか」
美月はそう言って、自分の席に座った。
それから少しだけ私を見る。
「今日もその髪型、似合ってる」
「……え?」
「昨日も思ったけど」
「そ、そうかな……?」
「うん。可愛いと思う」
「…………」
いきなりだった。
顔が熱くなる。
(か、可愛いって……///)
「どうしたの?」
「な、なんでもない!」
私は慌てて前を向いた。
すると美月が、少しだけ笑った。
「変なの」
「変じゃないし……」
そんなやり取りをしているうちに、教室に人が増えていく。
昨日よりも少しだけ、教室が明るく感じた。
――でも。
休み時間になると、美月のところには何人かの女の子が集まってきた。
「神谷さん、昨日の課題やった?」
「うん」
「見せてー」
「自分でやりなよ」
「えー、冷たい!」
楽しそうな声。
私は自分の席に座ったまま、その様子を眺めていた。
(……そりゃそうだよね)
美月には、美月の友達がいる。
昨日話してくれたからって、ずっと私と一緒にいるわけじゃない。
当たり前のことなのに。
胸の奥が、少しだけ苦しくなった。
(また……一人になるのかな)
中学の頃も。
最初は、こんな感じだった。
普通に話して。
普通に笑って。
普通に一緒に帰って。
それが、少しずつ変わっていった。
だから私は――。
「ねえ」
「……え?」
突然、目の前に女の子が立っていた。
小柄で、ふわっとした雰囲気。
大きな瞳で私を見ている。
「小野寺さんだよね?」
「う、うん」
「私、水野莉奈!」
「……莉奈ちゃん?」
「そうそう!」
莉奈はニコッと笑った。
「昨日から気になってたんだよね!」
「私を?」
「うん!」
「なんで……?」
「だって、可愛いから!」
「…………」
まただ。
今日二回目。
「そ、そういうの……慣れてないんだけど」
「え? なんで?」
「なんでって……」
そんなことを言われた経験が、ほとんどないから。
でも、それを言うのは恥ずかしかった。
「まあいいや!」
莉奈はあっさり話題を変えた。
「小野寺さんって、好きな食べ物なに?」
「え?」
「好きな食べ物!」
「えっと……オムライス」
「えっ! 私も!」
「本当?」
「うん! じゃあもう仲間!」
「仲間……?」
「そう!」
莉奈は楽しそうに笑った。
その笑顔につられて。
私も、少しだけ笑った。
「……ふふ」
「ほら! 笑った!」
「え?」
「小野寺さん、さっきからちょっと緊張してたでしょ?」
「……バレた?」
「バレバレ!」
「恥ずかしい……///」
「大丈夫だよ!」
莉奈はそう言って、私の机に手をついた。
「私、いっぱい話しかけるから!」
「え?」
「だから、もう緊張しなくていいよ!」
その言葉を聞いた瞬間。
胸の奥が、少しだけ温かくなった。
「……ありがとう」
「うん!」
その時。
キーンコーンカーンコーン。
チャイムが鳴った。
「じゃあ、また休み時間ね!」
「うん」
莉奈が自分の席へ戻っていく。
私はその背中を見ながら、小さく息を吐いた。
(……なんだろう)
(昨日まで、知らなかった子なのに)
(もっと話してみたい)
そんなことを思った。
***
そして昼休み。
私は一人でお弁当を出そうとしていた。
すると。
「由奈ー!」
「……え?」
莉奈が走ってきた。
「一緒に食べよ!」
「私と?」
「うん!」
「でも……」
私はちらっと美月を見る。
美月はすでに別の女の子たちと話していた。
「……いいの?」
「もちろん!」
莉奈は当たり前みたいに言った。
「友達なんだから!」
「…………」
その言葉に、私は一瞬固まった。
友達。
その言葉を聞くのは、久しぶりだった。
「……うん」
私は笑った。
「一緒に食べよ」
「やった!」
莉奈が嬉しそうに笑う。
私たちは並んで席に座った。
「いただきます!」
「いただきます」
お弁当を食べながら、莉奈が次々と話しかけてくる。
好きな音楽。
好きな漫画。
昨日何時に寝たか。
朝ごはんは何を食べたか。
本当にどうでもいいような話ばかり。
だけど。
それが、楽しかった。
「由奈ってさ」
「うん?」
「中学どこだったの?」
「…………」
箸が止まった。
「……え?」
「だから、中学校!」
「……あ」
心臓が、一度だけ大きく鳴った。
頭の中に、あの教室が浮かぶ。
笑い声。
自分だけが入れない会話。
誰にも声をかけられない昼休み。
卒業式の日。
一人で帰った帰り道。
「由奈?」
「……あ、ごめん」
私は慌てて笑った。
「ちょっと考え事してた」
「そっか!」
莉奈は、それ以上聞かなかった。
「じゃあ私の中学の話するね!」
「うん」
莉奈が楽しそうに話し始める。
私はそれを聞きながら、少しだけ胸を撫で下ろした。
(……まだ、言わなくていいよね)
(私の過去なんて)
(今は――)
目の前にいる莉奈を見る。
楽しそうに笑っている。
そして、少し離れたところでは美月も笑っている。
(今は、この時間を大切にしたい)
そう思った。
***
放課後。
帰りの支度をしていると。
「由奈」
「美月?」
美月が私の机の横に立っていた。
「今日、莉奈と一緒だったね」
「うん」
「楽しそうだった」
「……楽しかった」
「そっか」
美月は少し笑った。
「よかったね」
「うん!」
昨日よりも。
少しだけ。
高校が楽しいと思えた。
そんな私たちを、教室の後ろから見ている女の子がいた。
長い髪を揺らしながら、静かにこちらを見る。
「……楽しそう」
その声に、別の女の子が振り返った。
「どうしたの?」
「ううん。なんでもない」
彼女はそう言って、窓の外へ視線を戻した。
桜の花びらが、一枚。
静かに舞い落ちる。
――私の高校生活は。
まだ、始まったばかりだった。
第2話、ここまで読んでくださってありがとうございます!
今回は、由奈と莉奈が少しずつ仲良くなっていくお話でした
『友達なんだから!』
莉奈のこの一言は、今の由奈にとってすごく大きな言葉だったと思います。
そして最後に少しだけ登場した女の子。
次回から、また新しい出会いが待っています。
由奈の周りに少しずつ増えていく女の子たちが、これからどんな関係になっていくのか。
ぜひ次のお話も読んでもらえたら嬉しいです!
汐音 月風




