この青春に、名前をつけるなら、なんて付ければいいのー!
はじめまして!
汐音 月風です。
この作品を見つけてくださって、ありがとうございます。
『この青春に、名前をつけるなら、なんて付ければいいのー!』
というタイトルの通り、青春って、楽しいことだけじゃなくて。
友達のことだったり、誰かを好きになる気持ちだったり。
自分でもよく分からない感情だったり。
そんなものを抱えながら、少しずつ変わっていく女の子たちのお話です。
主人公の由奈は、過去にちょっとだけ苦い経験があります。
だからこそ、高校では変わりたい。
今度こそ、ちゃんと友達を作りたい。
そんな由奈の高校生活を、ぜひ一緒に見守ってもらえたら嬉しいです。
それでは――
『この青春に、名前をつけるなら、なんて付ければいいのー!』
最後まで楽しんでいってください!
四月。
桜が散り始めた頃。
私は高校の校門の前で、何度も深呼吸をしていた。
(大丈夫)
(今日から変わる)
スマホの黒い画面を鏡代わりにして、自分の顔を見る。
少しだけ巻いた髪。
コンタクトに変えた目。
薄く施したメイク。
昨日、何度も練習した。
アイライン。
リップ。
眉毛。
どれも中学生の頃の私にはなかったもの。
(……これなら)
少しくらい、かわいく見えるかな。
そう思ってしまう自分が、少し恥ずかしかった。
でも。
それでもいい。
私は変わりたかった。
中学一年生の頃。
私は普通に友達がいた。
休み時間に話したり。
一緒に帰ったり。
休日に遊んだり。
何も問題なんてなかった。
――最初は。
いつからか、私の知らないところで何かが変わった。
『今日、一緒に帰らない?』
『ごめん。今日は無理』
次の日も。
『今日こそ帰ろ』
『……今日は他の子と帰るから』
また次の日も。
気づけば、私だけが誘われなくなっていた。
昼休み。
それまで一緒に食べていた子たちは、別の場所で食べるようになった。
私が近づくと、会話が止まる。
話しかけても、返事だけ。
理由は分からなかった。
誰かに嫌われたのかもしれない。
何かしてしまったのかもしれない。
でも。
誰も教えてくれなかった。
そして、私は一人になった。
最初は、すぐ戻れると思っていた。
そのうちまた話しかけてもらえる。
そう思っていた。
でも。
一週間経っても。
一ヶ月経っても。
何も変わらなかった。
私は自分から話しかけることもできなくなった。
どうせ迷惑だと思われる。
どうせ嫌がられる。
そう考えてしまうようになった。
昼休みは図書室。
放課後は真っ直ぐ帰宅。
休日も一人。
誕生日にメッセージをくれる友達もいない。
卒業式の日。
周りでは写真を撮ったり、泣いたり、笑ったりしている。
私はその輪の中に入れなかった。
誰とも写真を撮らないまま。
誰にも見送られないまま。
中学校を卒業した。
――それが、私の三年間だった。
だから。
高校では変わる。
誰も私を知らない。
誰も中学時代の私を知らない。
だったら。
今度こそ。
ちゃんと笑える自分になりたい。
そう思って。
私は高校デビューを決めた。
そして今日。
高校生活が始まる。
⸻
教室の扉を開けた。
知らない顔ばかり。
胸が苦しくなる。
(大丈夫)
(中学とは違う)
自分に言い聞かせながら、自分の席へ向かった。
窓側。
前から三番目。
椅子を引いて座る。
周りでは、もう何人かが話を始めていた。
楽しそうな笑い声。
私はそれを聞きながら、机の上に手を置く。
(……また一人になったらどうしよう)
その瞬間。
『ねえ』
後ろから声がした。
振り返る。
そこには、綺麗な女の子が立っていた。
長い黒髪。
整った顔。
少しクールな雰囲気。
『ここ、隣の席だよね?』
『……うん』
『神谷美月。よろしく』
『小野寺由奈。よろしく……』
『由奈って呼んでいい?』
一瞬。
答えに迷った。
こんなふうに、自然に名前を呼ばれるのは久しぶりだった。
『……うん』
『じゃあ、よろしく。由奈』
その言葉だけで。
胸の奥が少しだけ温かくなった。
私は笑った。
今度は。
この笑顔を失いたくない。
そう思った。
心の底から久しぶりに笑えた。
この日から。
私の高校生活が始まった。
ここまで読んでくださって、ありがとうございます!
まずは、由奈の高校生活が始まりました。
中学生の頃に一人になってしまった由奈が、
高校では少しずつ変わっていけるのか。
そして、これからどんな女の子たちと出会って、
どんな青春を過ごしていくのか。
由奈たちの距離が少しずつ近づいていく様子を、
楽しんでもらえたら嬉しいです。
まだまだ始まったばかりのお話ですが、
これからも温かく見守ってください!
それでは、次のお話でお会いしましょう!
近日中に2話公開予定です!




