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この青春に、名前をつけるなら、なんて付ければいいのー!  作者: 汐音 月風


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15/22

日曜日…何着ていこう。

土曜日の夜。


私はベッドの上に服を広げていた。


白いトップス。


薄い色のスカート。


その隣には、昨日買ったばかりのカーディガン。


『……どれにしよう』


明日はみんなで出かける。


ただそれだけなのに、服を選ぶのにこんなに時間がかかっている。


鏡の前で合わせてみる。


悪くない。


でも、少し気合いを入れすぎている気もする。


(別にデートじゃないんだから……)


そう思って、すぐに首を振る。


『何考えてるんだろ、私』


結局、白いトップスとスカートに決めた。


スマホを見ると、グループのメッセージが届いていた。


『明日10時に駅集合ね!』


莉奈からだ。


そのあとに結衣が、


『遅刻しないようにね』


と送っている。


美月は、


『了解』


玲奈は、


『分かった』


透子は、


『10時なら問題ない』


それぞれらしい返信だった。


私は少し考えてから、


『楽しみ』


と送った。


すぐに莉奈から、


『私もー!』


と返ってくる。


それを見て、私はスマホを胸元に置いた。


明日が楽しみ。


そう思えること自体が、少し不思議だった。


***


日曜日。


駅前に着くと、すでに莉奈と結衣が待っていた。


『由奈ー!』


莉奈が手を振る。


『おはよう』


『おはよ! 今日かわいい!』


『えっ』


いきなり言われて、少し戸惑う。


『普通だよ』


『普通じゃないよ!』


結衣も笑いながら、


『似合ってるよ』


と言ってくれた。


『ありがとう……』


そこへ美月がやってくる。


『おはよう』


『おはよー!』


『由奈、その服いいね』


『美月まで……』


今日はなんだか恥ずかしい。


最後に玲奈と透子が来た。


『おはよう』


玲奈がこちらを見る。


ほんの一瞬、目が止まった。


『……似合ってる』


『ありがとう』


玲奈はそれだけ言って、視線を逸らした。


その隣で透子が、


『今日はいつもより少し雰囲気が違うね』


『そうかな?』


『うん』


『変?』


『逆』


透子は少し考えて、


『似合ってる』


と言った。


『……ありがとう』


なんだか今日は、朝から落ち着かない。


『じゃあ行こー!』


莉奈の声で、みんな歩き始めた。


駅を出て、目的のカフェへ向かう。


途中、莉奈が私の隣に来た。


『由奈』


『ん?』


『今日、楽しそう』


『そう?』


『うん』


莉奈は笑った。


『前より笑うようになったよね』


『……そうかも』


『最初の頃、ちょっと緊張してたもんね』


その言葉に、私は少しだけ考えた。


確かにそうだった。


この人たちに嫌われたくない。


変に思われたくない。


一人になりたくない。


そんなことばかり考えていた。


でも今は。


『……今は、あんまり緊張しないかも』


そう言うと、莉奈が嬉しそうに笑った。


『よかった』


カフェに着く。


六人で席に座ると、自然と会話が始まった。


莉奈が注文に迷い、結衣がメニューを覗き込み、美月が先に決めて、透子が静かにそれを見ている。


玲奈は窓の外を眺めていた。


『玲奈、何見てるの?』


私が聞くと、


『……なんでもない』


そう言って、こちらを向いた。


『由奈は?』


『え?』


『何頼むの』


『あ、これ』


メニューを指差す。


『じゃあ私もそれにしようかな』


『同じのでいいの?』


『うん』


そんな小さなやり取りが、なぜか楽しかった。


その後、カフェを出て買い物をしたり、ゲームセンターに寄ったりしているうちに、時間はあっという間に過ぎていった。


夕方。


駅へ戻る途中。


莉奈が、


『今日は楽しかったー!』


と伸びをする。


『また行こうね』


結衣が言う。


『うん』


みんなが答える。


私はその輪の中で笑っていた。


そのとき、玲奈が少し後ろから私の隣に来た。


『由奈』


『うん?』


『……今日、楽しかった?』


『うん。すごく』


『そっか』


玲奈は少しだけ笑った。


それから、


『じゃあ、今度は二人で――』


そこまで言ったところで、前から莉奈の声が飛んできた。


『二人ともー! 早くー!』


玲奈は言葉を止める。


『……うん。行こう』


二人で前を歩くみんなのところへ戻る。


私は歩きながら、玲奈が言いかけた言葉を考えていた。


今度は二人で。


その続きは、何だったんだろう。


でも、不思議と焦らなかった。


いつか聞ける。


そんな気がしていた。


そして今は――。


六人で歩くこの帰り道が、ただ楽しかった。

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