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ミミック・ワールド ~宝箱の魔物は能力を喰らい、世界を喰らう~  作者: シンパチ
第一章 ダンジョンの王
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第十話 届かない願い

【エレナ視点】


私は冒険者ギルドの掲示板を見つめ、依頼書を一枚ずつ確認していく。


(日帰りでできる依頼は、あまりお金にならないわね……)


私の冒険者ランクはB級。


決して低くはない。


だが、弓と精霊魔法を得意とする支援型の私が、単独でこなせる高額依頼は限られていた。


また、ルシアを預けて長期間の依頼を受けようか……。


いや。


できることなら、少しでも長くルシアのそばにいてあげたい。


……いや。


私が、ルシアのそばにいたいんだ。


結局、私はCランクの討伐依頼を手に取った。


報酬は少ない。


それでも、この依頼なら夕方には帰れる。


そして、もう一つ。


私には毎日欠かさず確認していることがあった。


受付へ歩み寄る。


「ちょっと良い?私が出している依頼はどう?受けてくれそうな人はいないかしら?」


受付嬢は小さくため息をつく。


「エレナさん……毎日聞きに来られても状況は変わりませんよ」


「依頼を受ける方が現れたら、掲示板に伝言を残しています」


「そう……」


「でも、もし話だけでも聞いてくれそうな人がいたら教えてほしいの」


「今のところ、そのような方はいないですね・・・」


その時――


後ろから大きな笑い声が聞こえてきた。


「ガッハッハッ!」


「最下層にたどり着いた者すらいないS級ダンジョンだぞ!」


「そのダンジョンボス、ヒュドラの討伐なんて受ける奴は、アホか自殺志願者だけだ!」


「はっはっはっはっ!」


私は振り返る。


「いい加減な事を言うのはやめて」


「ヒュドラは最深部にいるダンジョンボスでは無い。それに、過去に何度か討伐された記録もあるわ」


「私も出来る限りの対策を準備してる。決して死ぬつもりなんて無いわ」


男は鼻で笑った。


「討伐された記録ぅぅ?」


「ギルドすら存在しなかった時代の話だろ?」


「そんなもん、デマかおとぎ話に決まってるだろ!」


「おとぎ話なんか信じてヒュドラ対策に大金使うなんて、ご苦労なこったなぁ!」


――ドガッ!!


気付けば、私は拳を振るっていた。


そこから先は、殴り合いだった。


そして――。


目を覚ますと、自宅のベッドで眠っていた。


ギルドの誰かが運んでくれたのだろう。


「私は……バカだ」


戦士相手に殴り勝てるわけがない。


怒りに任せて喧嘩を買ってしまった。


……きっと、ルシアにも心配をかけた。


無茶な依頼だということくらい、私だって分かっている。


おとぎ話だと言われても仕方がない。


それでも――


ヒュドラの心臓を手に入れる……


もう、この方法しか残されていないんだ。


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