第二章第四十四話「I have good news and bad news!!」
澄み渡る森の匂いと、湖からの涼し気な冷気の中。
一行はさっそく登録を済ませた廃校舎の中に入り、内部の教室を確認してみる。
その内部は、清掃機能などが働いていないせいで、元々あった入り口や廊下などは、かなりの塵や落ち葉が積もっており、はっきりと言って汚いが、それより先の、先程瑠璃が魔力で再生させた部分は、まるで新品の様に綺麗で整っている。
(いや、実際新品なんだろうけど……)
勿論、神経配線に異常があった所もあるらしく、幾つか不自然に壊れたり融合した形で再生されている机や椅子があったり、再生後に再崩落したと思われる所もあるにはあるが、全体としては概ね良い為、拠点としては快適に住めそうでもある。
そんな中、真っ先に階段を駆け上がって先行していたアレックスが、二階の破損や汚損の少ない教室に入り、おもむろに黒板脇のレバーを引く。
「お! ここはかなり状態が良いですね! 授業機能も使えるみたいですよ!」
そうして、アレックスがレバーを引いた事により枠組みから外れて反転した黒板の裏面には、黎明学園の校証の映し出された画面が展開し、次いでパソコンの画面と同じ様な、白い壁紙に幾つかのフォルダが並んだ画面が映し出される。
「へぇ、黒板が丸ごと画面に切り替わるんだ……。えっと、操作は……」
その画面に並ぶフォルダアイコンは、常世界でよく見るものとは少し違う、本型のアイコンだが、その表紙とフォルダ名から、それがどのようなフォルダなのかは一目でわかる。
(拡張子が『.画像』とか『.動画』とかなのが気になるけど……、これはシステムからして、冥府語か深淵語対応って事? この『暁-零-』っていうのはブラウザなんだろうけど……、私や瑠璃の携帯端末に入れられてた『エーテルフィールド』や『緋影』ってブラウザとはまた違う……)
そうして、映し出された画面に興味を持った紅葉が、黒板の下にチョーク入れや黒板消し入れと並んで取り付けられていた無線キーボードとレーザーポイントの先にカーソルが移動するタイプの指示棒型ポインティングデバイスを使用して画面を弄り始めると、検索ホームを開くと同時に大画面でニュースが流し出される。
――ザザ……ザ……ザザ……ビ……ビー! ビビー!! ビビー! ビビー!! 緊急速報をお知らせいたします。緊急速報をお知らせいたします――
「あ、ニュースもみれるんだ。って緊急速報?」
「おや? 禊祓で緊急速報とは珍しいですね」
――現在時刻より数分前、ザザ……通りにて国際指名賞金首『観測知性』が出現……、傷害事件を起こし……逃走……付近の軍とルリィーアが急行した為、死亡者は出ておりませんが、各自警戒を……――
そうして流れるニュースは、ほんの少し前までの話題の中心にして、現在、紅葉や瑠璃、そしてライベリーなどが避難する事となった根本的な原因。
『観測知性』に関する、三度目の襲撃ニュースである。




