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地の文「なんか私が見える小娘が主役みたいですよ?」  作者: 咏柩
第二章『咎人と断罪者』
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第二章第二十話「創誓世界の犯罪対処」


 警告灯で赤く染まる街中。


 けたたましいサイレンの音と共に、繰り返されるアナウンス。


 そして、そのアナウンスに従い、各自近くにいた者と共に陣形を組み、戦闘隊形を取りながらに、整然とシェルターへと避難していく市民達。


 更に、そうした市民達と入れ変わるかの様に、市民を護衛、誘導しつつ、各所の祠の様な見た目の交番から集結して来る、青い制服に銀の鎧を纏った警官。また、都市の各所に設置されていた防衛兵器達。


 元より、近くにいた警官や防衛兵器達は始めから戦線に加わっていたが、初めはまばらだったのが、今ではその流れる様な配置転換で、戦線の大部分が警官と防衛兵器達に置き換わり、兎への制圧攻撃を敢行している。



 そんな状況の中、戦線を防衛兵器主体に再構築していく警官達の凛とした声とは別に、なんだかその場にそぐわない、明るい、というよりは確実にやかましい類の変な声が、同じく変な音楽や角笛やチェーンソーの音や何かのテーマソングが一斉に流されている様な不協和音と共に、戦場となっている広場に上がり始める。


―ブォオオオオオオン!! ブォオオオオオオオオン―

―ギギギギィイイイイイインン!!!!―

――ディディディディーン!!!!―キラキラッ☆シャンシャンシャン☆――


「やぁやぁやぁ!! 我こそは泉醤油いずみじょうゆ垂雫たれしずくの露滴つゆしたたりなり! 警邏共~、加勢に来てやったでござるよ~。あぁ! 今宵も拙者の刃が煌めくぅ!! でござる!!」


「猛毒魔女テケル・エトリア参上!! あっは! あははははははは!! 楽しい祭りね!? でも狂気が足りないわ!! 狂わせてあげる!!!! あはははははははははははははは!!!!!! はははっ!! はっはぁ!!!!!」


「我等、正義の使者プロトメシア! ここに推参!! 汝を断罪せり!!!!」

「ミンチにしてあげるね☆」


 それは警報が変わると共に視界の端から湧いて出た色物集団の群れ。


 それが広場に集まり、逆境的雰囲気をぶち壊すかの如く各所で思い思いの名乗りを上げているのだ。


 それに対する民衆や警察の反応は、「げっ、そういえばここ魔女の縄張りだった……!」「醤油ネキの参戦は嬉しいけど、プロトメシアはいらねぇ……!」等と、様々だが、誰も驚いたりしてはいない所を見るに、これは非常時における一般的な様相なのだろう。…………………………、一般、とは。


(援軍……。そういえば、警報と一緒に緊急招集とか言ってたっけ……)


 そうして、紅葉は変わりゆく戦況を、ウェイトレスのお姉さんを守りながら観察していたが、遠くからアナウンスにあった機動警察のものと思われる別の警告音と多数の大型機械が轟かせる、砲撃と地響きの音が聞こえて来たあたりで、背後のウェイトレスのお姉さんと幾人かの他のウェイトレスのお姉さんが動き始める。


「さぁて、機動警察も出て来たみたいですしぃ、私もちょっと出撃して来ますねぇ?」


「ラジャー、援護しますー」

「まじ? あたしは行かないけど、適当に頑張って」


 そんな声が聞こえたかと思えば、始めに狙われた店長らしき気怠そうな白髪ツリ目で長身のウェイトレスのお姉さんと、部下らしき眠そうな赤髪アホ毛のウェイトレスのお姉さんは何時の間にか服の上から鎧を着て武装しており、それぞれ店長はガンブレードとガンランス、部下は先程その店長が使っていたロケットランチャーを構えて広場の方へ行き、残ったギャルっぽい色白薄水色髪のスノーエルフらしきウェイトレスのお姉さんは、元々ガンブレード二刀流だった店長と交換したガンブレードだけ担ぎ、見晴らしの良いビルの高台へと跳躍して、その場を後にする。


 そして、当たりを見回してみると、その場に残っているのは同じくウェイトレスのお姉さんを守っていた瑠璃だけであり、他のオーラナックルを放っていたOLのお姉さんや大盾の重装騎士、女子高生二人組などは、何時の間にか避難シェルターの方に移動していて、もうこの場にはいなかった。


 そうして、観察していたつもりが、何時の間にやら状況に取り残されてしまった紅葉は、手持ち無沙汰なのでナイフでお手玉しつつ、独り言ちる。


「………………統率力凄いなぁ」


 そんな紅葉の様子に、同じく展開の早さについていけなかった瑠璃は苦笑しつつも後ろから紅葉の肩を叩き、今後の行動を尋ねる。


「ですね。私としてはウェイトレスさん達が気になりますので、広場の戦闘に参加して来ますが、紅葉さんはどうします? 一緒に来ますか?」


 そう聞かれた紅葉は、内心瑠璃の気遣いに感謝しつつも、真顔で振り向き、この後の自身の行動を伝える。


「……そうする。このよくわからないやるせなさを兎にぶつけたい」


「八つ当たりですか!? え、まぁ、では、そういう事で」


 コールレッドの警報が鳴り響いてからおよそ30秒、60秒の筈の予定よりもずっと到着の早かった機動警察の迫り来る武装車両と防衛兵器の群れと共に、二人は兎への再度の戦闘に挑む。


 ……二人共、動機はかなり不純だけれども。


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