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地の文「なんか私が見える小娘が主役みたいですよ?」  作者: 咏柩
第二章『咎人と断罪者』
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第二章第十一話「様々な能力」


 権能とは、誰でも持っている力なのか。


 そう聞かれたレティアは「ふむ」と、顎に手を当てて考えた後、何らかの幻影の術式により、可愛くデフォルメされた村人や魔術師の映像を掌の上に浮かべつつ、この世界の住人と異世界の住人の差を同じく幻影で作り出した記号を用いながら、わかりやすく説明しようとする。


「それは無いと思いますよ? 確かに常世界であれば、術式程度でも専門の魔術師や妖術師でなければ使えない所を、この世界の住人なら術式程度であればだいたい誰でも使える、という様な違いはありますが……」


 そう言いつつ、レティアは右手に出した村人っぽい服装の映像と、左手に出した魔術師っぽい服装の映像の間に不等号を置き、常世界においては魔術師の方が村人より強い事を示した後、魔術師の映像を右手に移動して村人と不等号を消し、左手に少し豪華な服装の村人を映し出して、右手の魔術師との間に等号の記号を置く。


 常世界の一般人<常世界の魔術師=創誓世界の一般人。


「流石に異能は限られた個人にしか使えませんし、権能となればその中でも極少数の更に限られた個人にしか使えません。そして、そういった異能や権能は玉石混交で、限られた局面にしか作用しないものも多く、得てして注意はすべきですけど、それ程気にする必要はないかと?」


 そう言いつつ、レティアは右手の魔術師と等号を消して、左手の豪華な一般人を右手に移動した後、超能力者らしき火を纏った映像を左手に展開し、右手の豪華な一般人の数を増やす。 


 どうやら、術式持ちは沢山いても、異能や権能の持ち主はそれ程いない様だ。


 そこまでを理解した瑠璃は、玉石混交と呼ばれた異能や権能に興味を示し、耳をピコピコと揺らせながら、レティアにその詳細を尋ねる。


「ほうほう(梟)。その異能や権能って具体的にはどんなものがあるんですか?」


 そんな先程の警戒心溢れる様子から打って変わって、興味津々に懐き始めた瑠璃に対し、レティアは逆に困惑と警戒を入り混じらせつつ、その質問に答える。


「え、そうですね。だいたい局所的過ぎて何処で使えばいいのかわからない異能や権能となりますと、『その辺の泥から限り無く真球に近い泥団子を作り出す異能』とか、『ボールペンを消しゴムに変える権能』とかでしょうか?」


「なんですかそのトンチキな能力は」


「私に聞かれましても……」


 詳しく聞いてみると、異能はまだ常世界法則と呼ばれる物理法則などの世界一般で変わらない基本的な世界法則を元に動いているが、権能はそうした常世界法則とは全く別の独自の法則で動いている為、物理法則もあったもんじゃない摩訶不思議な現象を引き起こすのだという。


「まぁ、動いているシステムが違うというだけなので、一見して術式と異能と権能を見分ける事は不可能ですけどね。ただ、往々にして異能や権能は、色々と応用の利く術式とは違い、定まった範囲のみでの発現になるので、そこさえ気を付ければ対抗も容易いかと。勿論、ピンポイントで弱点になる異能や権能に当たった場合はお察しですが……」


 その定まった範囲とやらが明らかにだだっ広い『消失』とかいう権能の持ち主に言われてもあれだが、少なくとも本来の異能や権能は極めて限定的なものであり、そこまで危険なものでもないのだろう。


「逆に、極めて強い権能としては、アリシアお嬢様の『超越』などでしょうか? お嬢様の『超越』はあらゆる能力を認識した時点で、それをその極限値で習得し、自在に使用出来る権能ですので、一部、私の『消失』を始めとしたお嬢様でも認識出来ない権能を除いて、その他の全ての術式と異能と権能が最高ランクで使用出来る形になります。なので、実質その辺りが最も強い権能になるかと」



 様々な力の説明ついでに、さらりと明かされたアリシアの権能。


 それは簡単に言えば、一部の例外を除いて常に相手を上回る形で同じ能力を使用出来る力であり、話によればこの世界では異能権能の複数所持も当たり前なので、実質アリシアは、その極一部の例外を除けば、この世の全ての権能と異能と術式を最高位で保有しているのだという。


 それも、レティアの『消失』などという凶悪な権能が例外なのであって、一般的な無効化スキルは全て最高位で保有して、である。



 と、そこまで説明しておいて、レティアはそのトンチキな能力と正真正銘最強に近い能力の温度差で、タオル一枚、破れた部屋着一枚の恰好も相まって、蒼い顔で風邪を引きそうになっている瑠璃と紅葉に気付き、何処から取り出したのか、二人をテーブルクロスの様な大きな布で包みつつ、安心させる様に結論を出す。


「と、とはいえ、そんな権能の持ち主はまず存在しませんので、瑠璃様の『幸運』の権能に対抗出来る者となると、それこそほとんどいない、程度になるかとー?」



 そのレティアのあやす様な笑顔からは、嘘は付いていない事は読み取れるものの、逆に言えば、紅葉が初めに驚愕したチート権能である瑠璃の『幸運』の権能にも対抗出来る相手が多少なりともいる、という事になる。


(それに、その多少に含まれるレティアさんやアリシアさんは何者なの……)


 そうして、紅葉の内心には先程の瑠璃に対する以上の警戒心がレティアに対して齎されるが、こちらについてはまず勝てる気がしないので、追及はしない。


 そして、レティアによって主にあやされていた瑠璃もまた、その多少に含まれる警戒対象の存在には気付いているらしく、言葉を濁す。


「う、うぅん……。安心した様なしないような……」


 そうした瑠璃と紅葉の反応にレティアは「あはは、ほんとにそれほど多いわけではない、と思うんですけど……」と、弁明しつつ、話題を変える。


「とはいえ、油断は禁物ですし、警戒するのは良い事かもしれませんね。なにせ、どれだけ優れた異能や権能を持っていたとしても、過信や慢心が原因で事故や事件を引き起こしてしまう場合もあるんですから」


 そう話したレティアは、何の事かと頭に疑問符を浮かべる瑠璃と紅葉から、一歩離れ、両手を広げて部屋全体を指し示し、その新たな話題を提示する。



「例えば、自分の力を過信して、借りた部屋をぶっ壊しちゃう! とか、ね?」


 瑠璃と紅葉にとって嫌な話題を。

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