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地の文「なんか私が見える小娘が主役みたいですよ?」  作者: 咏柩
第二章『咎人と断罪者』
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第二章第四話「天上の諍い」


[次元術師ディメンジョンマンサーなのである。]


(次元術師……。聞いた事の無い能力だけど……、なるほど、空間系、か……)


 その中空の文章による瑠璃の解説を横目に読みながら、紅葉は再び瞬間移動によって接近してきた瑠璃の攻撃を回避しつつ、電光銃で反撃し、ついでに中空の文章の裏付けを取る為、銀鎖によって瑠璃を絡め取ろうとしてみる。


 が、当然ながら、それらの銀鎖は瑠璃の不可視の剣によって、いとも容易く切断され、それどころか何時の間にか先程よりも長くなっていたそれによって、幾つかの振動砲までが両断された上、紅葉の放った電光銃の光線までもが、こちらも何時の間にか、枚数の増えていた不可視の盾を経由して紅葉に撃ち込まれる。


(…………! 単純に素通りさせるだけじゃなくて盾同士を経由した疑似的な反射もできるのかあの盾……。……しかし、『空間ごと切り裂く防御不可能な剣』に『空間を歪めて攻撃を通り抜けさせる絶対防御の盾』。そして『空間を超えて瞬間移動してくる瑠璃本人』、ね……)


 この時点で脅威以外の何物でもないが、それに加えて紅葉には、もう一つ瑠璃に対する懸念事項があった。


 いや、むしろこれこそが一番の問題とも言える。


 それは、『何らかの力の干渉』による『瑠璃からの攻撃は絶対に致命的な部位に飛んでくる』という補正と『瑠璃には絶対回避不可能な攻撃以外は当たらず、絶対回避不可能な攻撃を当てたとしても、そのダメージが極限まで減らされる』という理不尽極まりない補正である。


 この『謎の補正』に対する対策が出来ない限り、紅葉がこの劣勢から抜け出す事は出来ない。


 そう、一見拮抗して見えるものの、実はかなり相性が悪いのである。


(相手は会心の一撃を連発してくるのに対して、こっちは回避不可能な範囲攻撃でしかダメージ出せないんだから当たり前か……)


 また、瑠璃自体の頭も相当に良く、それらの力を駆使しながらも一切慢心せず、様々な種類の魔法を使用しては相手の弱点を探り、それを悪辣な程、執拗に突いて来ようとする所も、紅葉にとっては非常に嫌な所だったりする。


 現在、それでも紅葉が瑠璃に拮抗出来ているのは、単純にその差をナノマシンで埋めているだけなのである。


(やっぱり長期戦は不味い、か……。なら……!)


「---銀装変換ぎんそうへんかん銀龍牙ぎんりゅうが---! 機動砲展開きどうほうてんかい! ---荷電粒子砲かでんりゅうしほう---! 放て!!」


「なっ!? 今度は使い魔アガシオンですか!? 小癪こしゃくな真似を……!」


 執拗に追跡して来る雷を纏った水針の雨によって、じりじりとナノマシンが蒸発ないし、融解させられ、総量が削られていく事に危機感を覚えた紅葉は、空気中のナノマシンの粒子を『銀龍牙』と呼ばれる龍の牙の様な形状の銃剣に変化させて、荷電粒子砲によるビーム戦術に切り替える。


 これであれば、エネルギー同士の衝突なのでナノマシンの損耗は抑えられる。


 紅葉は、瞬時に精製したその銀龍牙を、他の振動砲と共に遠隔誘導して、瑠璃を囲い込む様に攻撃するが、ブラストロアと呼ばれる瑠璃の初めの一撃によって部屋が破壊されていて、瑠璃の行動範囲が広くなっている為に捉えきれず、無理に追い込んでもやはり瞬間移動で逃げられてしまう。


(だめか……、やっぱり瞬間移動が厄介だな……)


 勿論、展開しているナノマシンの一部は秘密裏に周辺元素の摂食と増産に回し、周囲の構造物を吸収しながら、逐次追加でナノマシンの補充も行っているが、如何いかんせん、瑠璃の破壊速度の方がまだ早い。


(くっ、場所も悪かったかな……。ここの構造物、金属骨格と外装以外はほとんどがキチンとリン酸カルシウムの生物外殻だ……。土壁とかじゃないから珪素の補充が出来ないな……)


 紅葉の使用しているナノマシンは窒化珪素製である為、本来ならば空気中の窒素と土壌中の珪素から幾らでも作成できるのだが、この場所には珪素の元となる物質が硝子や陶磁器ぐらいしか無い為、増産もままならない。


 場合によっては珪素と炭素の混合生物である紅葉自身の身体を材料にナノマシンを生成し、紅葉自身は代謝を上げつつ光合成と体内元素融合で肉体を補充再生するという方法もあるが……、流石に瑠璃のこの火力の前には焼け石に水である。


(謎の補正が無くても厄介過ぎる……!)


 とはいえ、それを思っているのは何も紅葉だけではなく、瑠璃の側もそうであり、特に頭は冷静でも身体と感情的には暴走しやすい瑠璃はまたもぶちギレて、その大魔力にものを言わせて新たな大規模広域術式を展開し始める。


「あーもうっ! 数が多い!! ---クリエイト・ティンクトゥラ---!!!!」


 そうして、瑠璃が何らかの言葉を叫んだ直後、血の様な赤い結晶が瑠璃の周囲に幾つも現れ、瑠璃の周囲を旋回する様に包み始める。


 その数は、先程から紅葉を追跡している水針の雨程多くは無いものの、その一つ一つに得も言われぬ不吉な力を感じ、紅葉は編み込んだ銀鎖で水針の雨を叩き落としながらも、自然と目を奪われて息を呑む。


(なに……、あれ……?)


[視覚解析:ティンクトゥラ

結果:断定、伝説に唄われる高エネルギー結晶体。通称、賢者の石の完全体であると判明。総数、約二百。一つ辺りのエネルギー量、大小の差が大きく不明。最低でも白色矮星複数個分に相当。高エネルギー反応に注意。]


(……賢者の、石?)

 

「術式多重展開起動!! 吹き飛びなさい! ---ヴェリアブル・エクスプロード---!!」


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