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第二章開幕第三話「主張と理解と共感と」


 紅葉が現状に対して抱く疑問。


 それは現在の状況そのものに対してなのだが、そのおかしさの原因の一つである瑠璃には、単におかしさだけを指摘されても理解は出来ない。


[そのおかしさの原因の一つである瑠璃には、単におかしさだけを指摘されても理解は出来ない。]


(原因の一つ……、ね。つまりこの状況は瑠璃だけが原因じゃないって事か……)


 それを中空の文章によって察した紅葉は、「はぁ……」と少しだけ肩を落とし、小さく溜息を付きながらに今回の疑念の元となる不自然な事象を話し出す。


「今日、私と貴女が出会ってから経過した時間は、朝から今までで約13時間。その内、私と貴女が一緒に行動して市民権を入手し、依頼所に出向いて依頼を受けそれをこなすまでにかかった時間は、全部合計しても朝の9時から夕方5時までのたった8時間しかない。…………それなのに私達はSランクと呼ばれる高難易度の依頼をこなして大金を手に入れ、今は高級な部屋でくつろいでいる。………………どう? おかしくない?」


 だが、ここまで説明しても瑠璃は首を傾げ続け、理解を示さない。


「……はぁ、それが? 良い事なのでは? 何がおかしいんですか?」


 とはいえ、これは別に瑠璃の頭が悪いわけではなく、この辺りが、瑠璃と紅葉で根本的に認識のすれ違っている所なのだ。


 そこで、紅葉はその話の根幹、紅葉が瑠璃を疑う理由となった部分を告げる。


「『出来過ぎてる』。そんな事はありえない」


「? ……!! あー、なるほど」


 そこまで来てようやく瑠璃は疑惑の意図を把握し、会話を進める。


 そう、紅葉の立場ではそんな出来過ぎた不自然な状況を怪しまずに放置出来る筈は無く、尚且つ、現状ではそうした状況を作り出せる相手として最も疑わしいのは瑠璃なのだ。


 そして、瑠璃自身、自身の行動を振り返ってみれば確かに怪しい。


「理解はしました。正解ですね。ちょっと私も失念してましたよ。そりゃそうですね。それはおかしい。どうも私も自分の力に頼り過ぎてたみたいです」


 だが、納得はしてもその能力については明かさず、更に紅葉に尋ねる。


「で、それがなんで私に銃突き付けて来る事になるんです?」


 だが、その多少相互理解に繋がりかけた質問に対し、紅葉は瑠璃の側では想定していなかった答えを提出する。


「うん? それは単純に貴女が一番怪しくて敵だった場合厄介だからだけど?」


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