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地の文「なんか私が見える小娘が主役みたいですよ?」  作者: 咏柩
第三章『戦争と宗教』
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第三章第百十六話「広域任務と通信不安」


 時刻は午前十一時十五分。


 紆余曲折あった気のする割にあっさりと別動隊の編成が決まった為、そこから先はその別動隊を派遣する国や地域同士で細部を詰めつつ、先程ミスティリアが提案してくれていた攻略の順序に沿って全体が軍の編成と侵攻の手順を整え……、


 それが、然程時間もかからぬ内に段取り良く終えられると、この意外と長かった会議もようやく終盤に差し掛かってくるが……、


 そこで最後に一つ、軍略に置いて非常に重要な、


 極めて大きな問題が、会議の中で浮上する。



「んー、ところでこれ……、通信手段はどうしましょうか? 私の精霊柱廊が封印されて使えない以上、通信手段として頼れるのは各地の都市間を繋ぐ外郭交通路内のケーブルを始めとした物理通信網だけな訳ですけど……」



 そうして、リディアが作戦会議を粗方終えた皆に問題として提起したのは、殆ど軍の要とも言える、通信環境の事であり……、


 実の所、このレグナ樹海は、本来であれば、リディアの本体である次元樹イグトフェルナスと、レインフィートの傘下に当たる八十の大国と区画を元にこのレグナ樹海全体に張り巡らされた森林大結界、『十重方陣デカグラムフォレスト』が樹海全体を覆う広域通信網として設置されていた為、その結界を通じて通信する事で、樹海全体が何処でも光速環境で通信できる状態になっていたらしいのだが、


 それが封じられた今となっては、この樹海の中で使用出来る都市間通信手段は、第一結界を構成する国の首都に当たる都市と都市を物理的に鉄道網で繋いだ、森林環状線と呼ばれる巨大森林鉄道の中に仕込まれた通信ケーブルと、主要な都市同士が幹線道路として繋いでいる都市間外郭交通路だけとなり……、


 それもまた、第三次総世界殲滅戦の際に、その大部分が寸断されてしまっていた為……、


 一応、それでも道路部分と線路部分だけは使えるので、その寸断箇所だけ迂回、または無理矢理踏破する事で、物資輸送自体は繋がっているものの……、通信の方は完全に断絶されており……、


 主要都市と、そこから繋がる傘下都市から出たが最後、遠距離系の通信は、都市や艦艇が独自に持つ通信システムで繋げられる、僅か数十光分先までしか届かない無線通信の類を除けば……、一切の通信が不可能になってしまうのだという。



 そして、当然ながら……、そんな状態では、これ程大規模な軍事作戦で、各軍が連携を取るのは極めて難しい、というか、不可能に近く……、今の状態では……、今作戦における各軍は、一度出撃したが最後、他の部隊との通信が全て遮断され、仮に何処かで何か予想外の事柄が起きたり、重要な情報を掴んだとしても、それを他の場所に伝える事が出来ない状態となってしまうらしい。



 ……うん。何を言っているんだお前は? と、言いたいところだが、創誓世界的なスケール感ではそうらしい。宇宙よりすげえや。


[宇宙よりすげえや。]



(ふむ……、今回の騒動が起きた直後、マギナトゥーアにいた筈のイレイスさんがレインフィートと通信が取れず、ティンクルさんに護衛して貰って、直接リディアさんのいるレインフィートまで来た……、っていうのは、そういう事か……。元々あった物理通信網はそれ以前の大戦で破断してたから、その時のレグナ樹海には、精霊柱廊っていう通信回線しか存在してなくて、それも陣形都市って所が陥落した際に切断されちゃって、都市を移動しないと連絡も取れなかった、と……)



 ちなみに、そうした通信の問題は深刻だった為、その後各所で物理通信網の復旧に尽力してはいたものの、この五十年間は粛清の方が忙しかったので、それも途中で中断されており、


 現在の基本的な都市間での連絡手段は、民間を始めとした通常連絡の方は、各種物流に乗せた形の手紙でのやりとりが主となり、それよりも重要な企業間などでの連絡の際には、そうした一般物流に使用される時速10万kmの輸送艦隊より高速な時速100万kmの亜雷速機動艇や時速1000万kmの雷速戦闘機が使用され、それよりも更に重要な国家間でのやりとりや、何かしらの重要連絡事項の際などには、時速1憶kmのAAAランク亜光速特使などが使用されるのが主だった様だが……、


 このレグナ樹海はとても広いので、そうした亜光速特使を使用しても、樹海の端から端までの連絡には1時間程掛かり、それも道中何も無い場合でそれである為、道中が撃墜の危険に晒される樹海の外では、この亜光速特使を使っても、更に時間がかかる事が予想されるのだという。


 なるほど、確かに、それでは連絡手段として心許ない。



 尚、純粋な速度の話で言えば、Aランクであれば光速が、Bランクであれば亜光速が出せる筈なのに、何故ここで特使はAAAランクなのかというと、ここでいう光速や亜光速が出せるというのは、あくまでも瞬間速度の話である為、それを持続的に出そうとすると、何かしらの異能や権能が無い限り、亜光速にはAAAランクぐらいのランクが必要になり、光速にはSSSランクぐらいのランクが必要になる、という事である。思ったよりも物理の壁は厳しいのだ。


[思ったよりも物理の壁は厳しいのだ。]


(ふむ。亜光速を持続的に出すには、AAAランクぐらいのランクが必要、か……、もしかして、私も亜光速ぐらいでなら走れたりするのかな……。やった事ないし、あんまりやりたいとも思わないけども……)



 そうして、紅葉はそんな皆の議論に耳を傾けつつ、自分でも何か方法が無いかと考えてみるが……、


 そうした議論が進む中、議員席側の紅葉の良く知る集団の中から、


 発言ボタンの音が鳴る。


―ぴぽーん―


「おっ、はい! ジオちゃん!!」


「ひ、ひひっ……、ひひひっ……、それでしたら……、陣形都市のパスを使用してみては如何ですか……? くひっ……」



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