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地の文「なんか私が見える小娘が主役みたいですよ?」  作者: 咏柩
第一章『異界からの来訪者』
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第十三話「役所手続き」


「その書類がどうかしたんですか? 紅葉さん」


 紅葉が一枚の書類を見て固まっているのが気に留まったのか、瑠璃が紅葉にそっと伸し掛かりつつその書類を覗き込む。近い。そんな瑠璃に紅葉は多少緊張しつつも小声でそっと耳打ちする。


「いや、この文字、さっき言ってた中空に浮かんでる文字と同じ文字なのよ」

「えぇ!? それ結構重要な発見じゃないですか!?」


 瑠璃が小声で叫びながら書類を確認する。しかしそれは瑠璃に読める文字ではなく、瑠璃にはそれが何処の文字なのかもわからなかった。そこで瑠璃は職員にその書類について尋ねる。


「すみません。この書類って何語で書かれてるんですか?」


 そうした質問を受けた職員は瑠璃の指さす書類を手に取って閲覧し、質問に答える。


「はいはい? えーと、これは外界語ですね。この言葉も読めるんですか?」

「あ、いえ。読めるわけではないんですけどちょっと気になって……」

「そうなんですか? その言葉は物質界の外宇宙周辺や時の狭間の空間などで話されている言葉ですので話者数自体は少なくないんですけど、この国ではそこまで浸透している言葉ではありませんね。よろしければ、この世界での主要言語一覧表をお渡ししましょうか?」

「あ、ありがとうございます」


 そうして、瑠璃に20種類の異なる言語でその言語名が書かれた一覧表を渡した職員は、その後、瑠璃と紅葉によって書き上げられた身分登録用紙を受け取ってから、身分登録を進める。


「それでは、こちらの装置の前にお立ちください。簡易な生体スキャンと生体登録を行います」


 そうして職員に促された先には巨大な青い鏡の様な機材が幾つか並んでおり、二人はその前に立って生体スキャンを受ける。


――――――――――――

認識鏡Ⅰ


認識対象:御研鉈 瑠璃

身長:158cm

体重:36kg

能力技能:認識阻害により判定不能

カテゴリ:Unknown

脅威度:不明

不穏指数:D

――――――――――――

認識鏡Ⅱ


認識対象:風祭 紅葉

身長:164cm

体重:860kg

能力技能:計測値不定により判定不能

カテゴリ:Unknown

脅威度:不明

不穏指数:D

――――――――――――


 が、そこで職員が「ん?」と首を傾げながらその機材と繋がっていると思われるコンピューターの画面を軽く凝視し、次に二人に向かって「申し訳ありませんが、機材トラブルの可能性がありますので、お二人共もう一度別の認識鏡を使用してください」と促す。


 そして、職員自身も別のコンピューターを使用して再度画面を確認するが、結果は変わらない。


『認識結果:Unknown(アンノウン)


 それはエラーでもなければ認識出来なかったわけでもない、「分類不明」に属する解析結果であった。しかも、それは瑠璃と紅葉のどちらか片方というわけでは無く、二人共が「Unknown」なのである。


 そして、その結果を受け取った職員はその事実を二人に告げ、代わりの情報提出を求める。


「うーん、非常に珍しいのですがお二人共認識結果がUnknownになってますね……。このままでも登録は完了出来ますがどうしましょう? 何か他に自身の情報になるようなものはありますか?」


 その職員によるスキャン結果を聞いた瑠璃は、よくある事なのか「あぁ」と頷いてスカートのポケットから薄い箱型の携帯端末を取り出して職員に渡す。


「こちらの端末は認識出来ますか? 無理そうなら私はこのまま登録完了って事で。紅葉さんは何かありますか?」


 そうして瑠璃に促された紅葉は思案しつつそうした物が無いか自身の身体を探り出す。


「えぇ、と言われても私記憶喪失だしなぁ……」


 その紅葉の言葉に職員は瑠璃から受け取った携帯端末を識別機にかけつつ、「あ、認識出来ますね。おっけーです」と返答しながら助け舟を出す。


「記憶喪失、ですか……。では身分証や端末でなくとも何か元の世界に関係しそうな品物をお持ちであれば多少は推測が立てられますが……」

「ええっと……」


 何かそういうものは無いだろうか? 紅葉は自分の着ている制服の中をまさぐり、ふと、太腿の辺りで何か手に当たる箱状の物を発見する。


「あ、これとか」


 そう言って紅葉はその手に当たったものを何の気なしに取り出して職員の目の前に置く。


――ゴトンッ――


 その瞬間、それは紅葉が予想していた携帯端末や情報デバイスの類が出す音とは似ても似つかない重厚な音が机に響いた。


 そして、すぐさま自らの手元を確認した紅葉の表情は見る見る内にサーっと蒼白に変わる。



 紅葉にとってはそれが自身の躰にあまりにもフィットしすぎていたが故に気付かなかった。




 取り出して見れば明らかに重々しく、平和なこの場所にあってはひどく不自然な代物。





 その紅葉の取り出した品物とは……






『銃』

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