第二章第六十五話「過負荷現象と高天原」
※注意!このお話に出て来る『高天原』は「穂の国」として知られる一般的な天照が治める「高天原」ではなく、それより上位の高次世界に当たります。
<イメージ図>
『高天原』
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「穂の国」(一般的な「高天原」。本来の『高天原』の一部)
「葦原中国」(葦の中間部分。地上界)
「根の国」(一般的な「黄泉國」。本来の『黄泉國』の一部)
※根之堅洲国とは、根の片隅の国という意味であり、大元の根は別。
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『黄泉國』
という感じですわ!いわゆる地上は古代に取り入れられていたのであろう、世界樹思想の葦版亜種なのでござるな!ちなみに当然ながら、登場国家や登場勢力の設定は大量の脚色や独自設定が組み込まれた永闇独自のものです!ではスタート!
金髪金瞳。整いながらに幼い顔立ち。
身体付きからすれば高等部か成人だと思われるが、その容貌は中等部、もしくは初等部程度であり、その妙なアンバランスさが、その相手を魔境の住人たらしめているが……、おかしな点はそれだけではない。
明らかに瞳孔がでかい。
それはパッと見てはそこまで違和感は無いものの、ジッと良く見れば、明らかにおかしい猛禽の様な瞳であり、更に言えば、服装もただの巫女服ではなく、何処となく豪華な金糸遣いのものであり、何かしらの白い宝玉煌めく細い首飾りや後ろに垂らした髪を一本に纏めた垂髪を留める髪飾りも、全て純金製の繊細で豪奢な代物となっている。
その出で立ちはまるで―
「そんなにじっと見つめられると照れますねー。てれてれ」
まるで、意図的に着飾られた装飾品の様に感じたが、その思考を遮る様に、その金髪巫女は茶々を入れ「そんなに私が気になりますか? 御狗さん。あ、御猫さんもですね。それに。御狗さんは私の瞳をじっと見て来るのに対して、御猫さんは主に胸の辺りを見て来ています。さては、御猫さんはえっちな方ですね? 嫌いじゃないですよ。そういうの」と、不敵に笑いつつ、自身の自己紹介を始める。
「それでは、ご期待にお応えしてー、私も名乗りましょうかー。私の名前は夙夜命。聖成伽様の世界、天上界『高天原』の世界核にして執政で御座います。常世界の名であれば、天之常立神、と呼ばれています。お見知りおきを」
そうして、天之常立神を名乗る彼女は座ったまま軽く会釈するが……、
…………天之常立神とは、天の永久性を象徴する独り神であり、天之御中主神と同じ別天津神と呼ばれる、世界創造の最初期に存在したとされる五柱の神の一人である。
その存在は、一説には天之御中主神自身と同一化される程のものであり、決してそんな簡単にホイホイ出て来て良い存在ではなかったりする。
……なかったりする。
するのだ。
……が、その相手は現に目の前に存在し、自己紹介をした後は最早自分の出番は終わったとばかりに、お茶請けの煎餅を手に取ってバリバリと齧っている。
そんな不思議ちゃんムーブをかまされた紅葉は、なぜか隣で「えっ脈ありですか!?」と立ち上がろうとする瑠璃をその更に隣のセラフィリアと一緒に「ないから座って」と静止しつつ、その自己紹介のおかしな点を指摘する。
「え、今回出席してるRランクって、確か七人の筈だよね? 天之常立神って私の知ってる限りバリバリ最高神格の一柱なんだけど……、え、命さん何ランク?」
「私は今はEXですよー。それに怨嗟ちゃんと黄昏ちゃんもEXです。Rランクは何か特別な裏技でも使えない限り、同じ場所にいるのには制限がありますからー」
「制限?」
「? 聞いてませんか? 過負荷現象って言うんですけどー……」
そうして聞く所によると、世界には元々、熱平衡の様に極端にエネルギーが集まっている場所があれば、それを周囲に分散させて均等化しようという力が働くのだという。
しかし、Rランクの様に、そのエネルギーが分散出来ず、均一化出来ない代物の場合、世界はそれでも均等を取ろうとして、その集中したエネルギーの回りにそれと同等のエネルギーを集め、一極集中状態から徐々に山なりにエネルギーの集中状態を作り、それによって世界に急激なエネルギー差が出ず、生態系が狂わない様に調整するらしい。
また、そんな膨大なエネルギーが突然一ヶ所に集中すると、その場所には周囲のエネルギーとの高低差が出来る為、その高低差は気圧の差の様に周囲に変調を齎し、先程の世界の調整機能とも相まって、場合によっては颱風の様な大災害を発生させるという。
通常、都市ではそういった過負荷現象に対抗する為、大都市、中都市、小都市と初めからエネルギーの比率がなだらかな山となる様に都市の配置を構築してあり、そのエネルギーのバランスを保ってあるのだが、それでもRランクの滞在となると都市の工業や人口配置で保っていた比率が崩れる為、工業を停止し、人員を疎開させるなどしてRランクが滞在出来るだけの容量を開けなければ、災害が起きる。
「この禊祓は極めて巨大な都市なので、住民の大半を疎開させて、街の機能を停止させれば最大八人までRが滞在できますけどー、普通の国の都市だと中核都市でもR一人の滞在が限界ですねー」
そして、禊祓は現在、大規模な疎開と遠征による人口調整は行っているものの、工業地帯を始めとする都市機能そのものは通常通り運行している為、都市に滞在できるRの数は本来の八人より一人少なく、七人までとなるらしい。
とはいえ、聖域や魔境と言った、元々エネルギーが高い状態で安定している場所ならば、その土地の地力によって受け入れ人数もかなり嵩増しされており、元より冥府との門に当たる場所で、極めて高い地力を持つ聖域である禊祓であれば、普段から5、6人程度のRの滞在も可能だとは言う。
以下は通常の都市における、平常時の限界滞在人数。
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中核都市 Rランク 1体
主要都市 EXランク 1体
大都市 SSSランク 1体
中都市 SSランク 1体
小都市 Sランク 1体
大規模聖域 Rランク +1体
中規模聖域 EXランク +1体
小規模聖域 SSSランク +1体
Sランク以下では密集していない限り、何処にいようと過負荷現象は発生しない。
また、これらの限界滞在人数から、上記の平均数を超えるものはR2都市やEX3都市という様に、特殊な都市としてカウントされる。
禊祓は平常時は最大でRランク六名が滞在可能なのでR6都市。
]
「それで、この大会議ではRランク七人までな訳ですねー。後、これは形式上の奴ですが、この大会議に出席できるのはそのR七人と、その七人が指定した一名づつの合計十四名までになってたりもしますー。今回、お二人を入れて十二人なのは、アリシアちゃんとレティアちゃんがお二人の分を開けていたからですねー」
「「いや、そういうのは言わなくて良い(です)から」」
「おやおやおやー? 赤くなって可愛いですねー♡」
そうして、過負荷現象と呼ばれる世界の現象や、この世界の都市の事情と共に、アリシアとレティアが裏で手を回してくれていたルートがあった事を聞き、瑠璃が「にゃんと!? そっちのフラグも立ってたって事ですか!? ちょっとそれ詳しく、もがっ!?」と、また立ち上がろうとしたので紅葉が速攻で背後から足払いを掛けつつ口を塞いで、無理矢理正座で座らせ、「なるほど。なんか微妙に聞いた事あった気がする」とだけ、瑠璃に伸し掛かりつついつもの真顔で返答し、自己紹介を次に移す。
それを見た命は「あらー大胆ー……♡」と、口元を袖で隠しつつにやりと笑い、話を振られていたアリシアとレティア、そして紹介順を回された聖成伽は、「あ、あはは……」と、苦笑した後、「むー!」と紅葉の方を見ながら膨れる瑠璃を紅葉が放したのを見てから、自己紹介を始める。
「んじゃ、次、あたしね。私は統神聖成伽。常世界だと天之御中主神って呼ばれてるよ! 持ってる世界は『高天原』で、持ってる国は『天津神國』! 一応、王様なんだけど、政治は全部命に任せてるからわかんない! こんなところかな?」
……いや、こんなところかな? じゃないが。
変なのが終わったら、また変なの。
そんなお洒落なコーデを紹介するかの如く持ってる国や世界を紹介して来る辺り、ちょっとどころでなく、かなりアタオカなインフレ臭が漂って来るが、今までのメンバーのヤバヤバっぷりから、これもまた普通に見える不思議。
そうした、ちょっと頭がぐんにょりなって来そうな、聖成伽の世界観がおかしい感じの自己紹介に対し、少しでも理解出来る所を見出そうと、紅葉はその高天原の政治体制に対して質問する。
「えっと、つまり『高天原』っていう世界とその世界の中にある『天津神國』って国を所有してるって感じ……? 政治は全部執政の命さんに任せてるっていうと、『天津神國』では官僚制とか議会制が敷かれてるって事? 『天津神國』っていう国の実態がよくわかんないんだけど……」
「いいえー? 『天津神國』は完全な絶対君主制ですよー? なのに政務を全て私がやってるのは、聖成ちゃんが統括権限で王の役割を政務・軍務・法務の三柱に分けて私達に押し付けたからですねー。まぁ、国策の最終決定は聖成ちゃんですし、聖成ちゃん自身も『高天原』全体の運営で忙しいのはわかりますけどー」
そうして、口を尖らせた命とその命を半笑いで宥める聖成伽が教えてくれた所によると、『高天原』と『天津神國』の統制形態は以下の様になっているらしい。
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天上界『高天原』
→数多の神界・天界・精霊界などで構成されているが、その統治は全て、聖成伽の『天津神國』によって行われており、『高天原』には、一部の特別行政区画を除き、『天津神國』以外の国は存在しない。
『天津神國』
統神聖成伽を帝に据えた超重農主義国家。
※ここでいう重農主義とは、単に農業を始めとした純生産業に重きを置いた思想であり、自由経済などにも結び付く常世界の重農主義とは少し趣が異なる。
絶対王政ではあるものの、帝としての仕事のほとんどは三柱管領と呼ばれる政務・軍務・法務を担当する管領が行っており、聖成伽はそれらの三柱管領では処理しきれなかった案件と国の最終決定のみを下す「分権集約統治」と呼ばれる統治方式によって統治されている。
そうした三柱管領の内、政務管領は国の外務と内務を担当し、軍務管領は国軍の管理と共に各地の諸侯や大名の統制を、法務管領は司法裁判と警吏の管理を行っているが、それとは別に『天津神國』には、各地を行き巡り、その場所で起きた問題を独自の権限で解決する「勅令衆」と呼ばれる聖成伽直属の部隊も存在する。
国としては、農業を始めとした一次産業主体の政治環境もあり、天界の食糧庫とも呼ばれる程に豊かな国だが、その性質上、土地の力が勢力にも直結し、土地持ちの領主や貴族、豪族、大名、地主、土地神、豪商、企業までが幅広く力を蓄えて、私兵を持ち、水面下で勢力争いを繰り広げながら富国強兵を図るという、国内戦国冷戦紛争状態にあるという面も持つ。
これにより、『天津神國』は技術面や商業面でも発展しており、外部から物資を輸入して加工販売する、加工業などの工業面も発展しているが、それは同時に、国全体が冷ややかに熱を帯びる火薬庫である事をも意味し、それに伴い、国民全員が様々な有事に備えて自主的に武装した偶発的武装国家でもある。
主食はお米と戦闘糧食。天津神國人は見かけたら全員武者と思え。
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そうした説明を聞いた瑠璃と紅葉は、その説明を真ん中に敷かれた、携帯端末の画像を映し出す事の出来る、ディスカッションテーブルと同じ機能を持つらしき、深紅の絨毯を操作しながら説明する命と聖成伽の二人を見つつ、同時に同じ感想を言い放つ。
「「『天津神國』物騒過ぎ(ません)ない!?」」




