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地の文「なんか私が見える小娘が主役みたいですよ?」  作者: 咏柩
第二章『咎人と断罪者』
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第二章第六十四話「世界強国と創誓の始祖種族」


「さて、それじゃ、大会議を始める訳だけど、今回は会議に瑠璃と紅葉が加わったから、まずは全員簡単に自己紹介しましょうか」



 そうして、黄泉がそう言いつつ、軽く指を掲げると、その場にいる全員の目の前の空間が歪み、その歪みの中からは、果汁炭酸水ライムスカッシュらしき液体の入ったガラス瓶と、同じく涼し気なガラスの盃、そして茶菓子の満載された大きな茶請け皿が入った、朱塗りの箱膳が姿を現す。


 そして、周囲は、その合図を元に、「わー」「ぱちぱちぱちー」と、まったりとした声と拍手を贈る事で、会議はまるで、身内の懇談会の様なノリで始められる。



 そうした雰囲気の中、黄泉は「じゃあ、私から自己紹介するし、その後は反時計回りに順番ね」と、自己紹介の順番を決定した後、自らの自己紹介を始める。 


「こほん。知ってると思うけど、私の名前は黄泉穢大御神よもつけがれのおおみかみ。この地での名称は神楯かんだて黄泉よみ。呼び方は普通に黄泉で良いわ。一応、冥府全域、及び黄泉國という国のすめらぎをしてるんだけど、この緋練の土地は全部私の私有地だから、この緋練でも立場上は王の立場にあるわ。尤も、まつりごとのほとんどは将軍の祟ちゃんに任せてるし、書類と実権上だけなんだけどね」


 そうして、既に瑠璃も紅葉もある程度知っている情報を簡単に自己紹介し終えた黄泉は、「はい、じゃあ次、怨嗟」と、自身の右隣に座って何時の間にか黄泉の腕に纏わりついている、怨嗟と呼ばれた、袢纏はんてんスーツの見るからにヤンデレ臭の漂うヤバそうな女に発言を移す。


終夜よすがら怨嗟えんさと申します。私は皇尊すめらみことたる黄泉様の腹心にして右腕。それだけ覚えておいてくだされば結構ですわ?」


 そうして、隣に座る黄泉と片手を恋人繋ぎに絡めながら、もう片方の手で彼女の着る袢纏と同じ、真っ赤な染め地に血飛沫の様な黒い玉模様が描かれた柄の扇子を口に当て、黄泉に寄りかかる怨嗟は、見た目も言動もどう見てもやべー奴なので、瑠璃と紅葉は若干引くが、彼女をよく知るらしき周りは特段に気にもせず、唯一、セラフィリアだけがその割とまともじゃない自己紹介に半眼で突っ込みを入れる。


「いや、役職とかぐらい言いなさいよあんた」


「あら? 私の役職はころころ変わるので言い表しても意味はありませんわよ? セラフィリア様。とりあえずここの所は冥府裁判所の最高執行官を表向きの役職とさせて頂いております。これでよろしいですか?」


「お、おう……。あんた達わかった?」


「なんとなく……」

「黄泉さん激ラブ勢の方だって事はわかりました」


「そこがわかって頂ければ完璧ですわ♪」


「いや、そんなとこわかってどうすんのよ!? あー、でもまぁ役職とかで言っても意味わかんないか……、簡単に言うとこいつは冥府の内政担当で一番偉い奴よ。それでわかる?」


「おkおk」

「むむむ……、冥府の政治の仕組みが少し気になりますが、とりあえず怨嗟さんの立場はなんとなく理解しました。私もおkおkです」


 そうして、怨嗟のヤバめの自己紹介が終わった所で、次は順番通りにレルゥシャが自己紹介を始める。



「ふむ、じゃあ次は僕だね。僕の雅名がめいはレルゥシャ、真名まなもレルゥシャだ。始めに名乗った通り、この世界の四大始祖種族の一つ『始龍しりゅう』種族の長だよ。後ついでに龍国アルージェって所の王様もやってる。そんなところ?」


 だが、その割とまともでわかりやすい自己紹介に対し、瑠璃と紅葉は、それぞれ気になった所があったので、それを尋ねてみる。


「龍国アルージェ、ですか?」


「そういえば始祖種族の話もまだ聞いてなかったかも……」


 そうして、その二つについて問われたレルゥシャは、「ふむ、暴龍満つる山嶺の機雲城について知りたいのかい? それなら……」と、厨二言語を交えてやたらと長くなりそうな話をしようとしたので、セラフィリアがサッとワープしてその口を塞ぎ、代わりに説明し始める。


「はいはい、龍国アルージェと始祖種族について知りたいのね。その二つについては結構話が重なる所もあるかもしれないけど、まずはアルージェの方から話すわねー」


 そうして、セラフィリアが話した所によると、その龍国アルージェとは、簡単に言えば、以下の様な国である。


[

 龍国アルージェ。正式名称、大龍皇国アルージェ。


 この創誓世界に現在六ヶ国だけ存在する『世界強国(※1)』の一つで、始祖種族の一つ『始龍』の祖にして長、「顕現龍けんげんりゅうレルウシャ」と、その配下の『始龍』達によって建国された龍族主体の軍事国家。


※1創誓世界の世界強国とは、本国の領地以外に、創誓世界全域に地域大国以上の国力を持つ飛び地や属国を持っており、一般的な列強の様に、その行動がその地方のみに影響を及ぼすのではなく、創誓世界全体に影響を及ぼす巨大国家の事。


 本国は緋練の存在する夕闇アーベント地方に隣接する、御伽噺パラミシア地方に存在する大山脈「霹靂へきれき天嶺岳てんりょうがく」の頂上にある機械都市シトゥイークであり、その場所が、創誓世界全体の『始龍』種族の本拠地にもなっている。


 国家そのものが軍隊として組織された兵営国家の類である為、産業も軍需産業に特化しており、創誓世界中に兵器供給を行う武器商人としての面も強い。

]


 そうして、龍国アルージェの説明を終えたセラフィリアは、「そんな感じ?」と、レルゥシャの口を塞いでいた手を放しつつ、瑠璃と紅葉に理解の程を尋ねるが、二人としては、その情報に理解は示しつつも、口を開けて呆気に取られる。


「な、なるほど、世界強国……。そんなのあるんだ……」


「まさかの武器商人だったんですね……、レルゥシャさん」



 そんな感想を聞いたレルゥシャは、「僕としてはなんとなく造ったものをみんなが製品化して売り捌いてるだけだし、売るよりも発明して造り上げる事の方が本業なんだけどね?」と、顔の横で両手を広げつつ、やれやれと言った風に、その軍需産業の裏側を語るが、それはそれとして、「それじゃ、始祖種族の説明に移ろうか。こちらは簡単で……」と、今度は厨二言語を交えず、普通に説明し出したので、セラフィリアも後ろに座ったまま、特に口は塞がず、始祖種族の説明はレルゥシャが行ってくれる。


 そして、その内容は以下である。


[

 まず、この創誓世界の始まりの時、その創造者であるヤィヴュミは、この世界の創造物達と共に、その創造物達を統治する為の世界管理者達をも生み出した。


 その世界管理者達の種類は、極めて多岐に及ぶものの、その系統を辿れば、その始祖となる大元は、四つの世界管理者に集約される。


 それは即ち、天と地、光と闇の世界管理者である。


 これらの内、光の世界管理者だけは後に夜の世界管理者へとその地位を移行したが、それらの世界管理者達が管理する生態系統そのものは変化せず、この創誓世界の全ての創造物は、二つの例外種を除き、全てその四体の世界管理者の管理範囲に収まっている。


 そして、それら全ての世界管理者の始祖とも言える四人の世界管理者はそれぞれ『始祖管理者』と呼ばれており、その『始祖管理者』の直属種族が『始祖種族』と呼ばれる種族である。


 それら四つの『始祖種族』はそれぞれ、


 夜の世界管理者の直属である種が『白の血族』と呼ばれる夜鬼の一種。

 闇の世界管理者の直属である種が『冥魔』と呼ばれる魔神の一種。

 地の世界管理者の直属である種が『始龍』と呼ばれる龍の一種。

 天の世界管理者の直属である種が『黒天使』と呼ばれる天使の一種。


 となる。


 また、これらの四つの『始祖種族』は、それ自体が極めて高い能力を持つ最高位種族であるのと同時に、それぞれが、その四体の『始祖管理者』を王として立てる『始祖種族』を中心とした支配構造の『世界強国』を保有しており、創誓世界全体に多大な影響力を持つ。

]


「そして、この話に出て来る二種の例外種族というのが、ヤィヴュミの直属種族であって、一つはヴィールドを構成している『ルリィーア』と呼ばれる漆黒の流動体種族。そしてもう一つが、次元の狭間に棲み、この世界を外敵から守る機能を持つ『セファレム』と呼ばれる、免疫種族だ。こんなところかな?」


 そうして、実は説明の最中、所々厨二言語が混じって理解が怪しかったものの、ちょくちょくセラフィリアの通訳が入った事により、一応はまともにレルゥシャの自己紹介が終わり、次は順番的に紅葉と瑠璃の自己紹介となる。



 だが、まず紅葉は自己紹介するにしてもそもそも紹介する自己がまず名前以外に特に無い為、


「と、私か。私は昨日以前の記憶が無いから自己紹介と言っても紹介する事が無いんだけど……。とりあえず名前は風祭紅葉。それ以外は特にわかんない」


 と、紹介しようにも紹介出来ずに簡潔に終わり……、


 瑠璃の方もまた、


「御砥鉈瑠璃です。昨日この世界にやって来た<来訪者>です。役立ちそうな権能を持ってるので『観測知性』退治を手伝いに来ました、って感じですかね?」


 と、このメンバーであれば自身の素性はもう割れているだろうと予想して、今回の目的だけを簡潔に紹介する。


 とはいえ、やはりここにいるメンバーは、その大半が既に瑠璃と紅葉の事は粗方知っていた様で、唯一何も知らなかったらしきセラフィリアが「いや、短っ!? それ名前の紹介しかしてなくないっ!?」と突っ込むも、隣の色々と空気が読めるらしき金髪巫女に「まぁ、お二人は一般の方ですしー?」と、ある意味正論な正論で容易く丸め込まれる。


(……もしかしてセラフィリアさんって、チョロ……)


/(ふむ、やはり皆さん私の事も知ってる感じですか……、これは、レティアさん経由……? でもレティアさんとセラフィリアさんは別に不仲にも見えませんから、情報共有が元だとすれば、セラフィリアさんだけ省くとも思えない……。って事は……、単純に皆さんそれぞれの権能やネットワークによる所、ですか……。後、もしかしてセラフィリアさんってチョロ……)/


 そうして、瑠璃と紅葉はそのやり取りを元に少し思考するものの、セラフィリア当人は「うん? まぁそっか。それもそうね」と、割と簡単に納得し、


「それじゃ、次は私ね」と、順番通りに今度は自身が自己紹介を始める。



「私の名前はセラフィリア。フルネームはセラフィリア・ヴァリア・ロードシーク。さっきレルゥシャが言ってた龍国アルージェの筆頭龍将兼その分離国である城塞都市アルデ・グレトバの総督ね。簡単に言えば龍国アルージェの軍の長なんだけど……、何か質問ある?」


「分離国?」


「国家の形態をそのままに、権威だけ分割して独立させた国家体制ね。常世界ではあんまりみられないけど、領土が大きくなりすぎて元の国の主権だけだと遠方には届かせられない場合に、その領土を一部分離国として切り離し、そこに総督や大公、公爵なんかの貴族や現場指揮官を置いて、ある程度独自に管理させるの。いわば州や県みたいな行政区画を単体で自治区化して独立国家として運用出来る様にした特殊な行政区画ね。特に、領域が本国から地続きじゃない飛び地にはこの分離国が建てられる事が多いわね」


 

 どうやら、属国や附庸国の類とは違い、あくまでも本国の一部ではあるが、独自に独立した自治権を持ち、単体で国家としても振舞える特別行政区画としての存在が分離国に当たるらしい。



「ちなみにアルデ・グレトバは正式名称が訛った通称で、正式名称はアルージェ・グラード・ドヴァ。アルージェの二番目の城って意味よ」



 そして、その城塞都市アルデ・グレトバは龍国アルージェの本拠地が存在する御伽噺パラミシア地方と呼ばれる地方の列強の一つでもあるという。


 これは、龍国アルージェに限らず、この世界の『世界強国』と呼ばれる国々は、世界全域にその様な大国や列強を分離国として所有する事で、世界全域にその力を広げている為、創誓世界中で幾つかの地方に一つはそうした『世界強国』の分離国があるのだという。



 そうして、自身の自己紹介を終えたセラフィリアは、紹介をその隣の金髪巫女へと移す。


「私についてもこんな所ね。次、命どうぞ」



(! おっと……、次は知らない人だ……)


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