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地の文「なんか私が見える小娘が主役みたいですよ?」  作者: 咏柩
第二章『咎人と断罪者』
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第二章第五十八話「白き衝撃と謎のお姉さん」


 高さ3m、幅3m。


 人型用通路としては少し広いが、先程までの大通路に比べればとても狭い廊下の中、轟音と共に大音量を響かせていた声の主は、そのドップラー効果を伴う速度の神速と瞬歩を用い、丁度その廊下側からは死角となる位置の脇道から、一行の先頭を歩いていたレルゥシャに飛び掛かる。


「おや、この声は……、……おっと」


―サッ―


―スカッ―


「!?」「えっ?」「ちょっ!?」「むっ」


―ズザァアアアアア―ガッ―ガリガリガリガリガリガリッ―ズドンッ―


「きゅぅー…………」



 ……それは一瞬の攻防。


 そのソニックブームによる突風を巻き起こしながらに突撃して来た白い物体は、その台詞通りにレルゥシャに抱き着こうとするも、それを瞬間的に予測したらしきレルゥシャは、その一撃を咄嗟に躱し、代わりにセラフィリアに降ろされた後は、レルゥシャの後に付いて2番目を歩いていた紅葉が直撃を喰らう。


 そして、紅葉は紅葉で、白い物体が死角から出て来た上に直撃を受ける筈だった

レルゥシャが避けたので、一瞬反応が遅れるものの、一歩下がって斜め後ろにいた瑠璃を片手で更に横に押し退けつつ、もう片方の腕でガードし、防御態勢を取る。


 しかし、その直後、追突して来たのが真っ白なお姉さんである事を認識した為、防御を緩めてキャッチの体制に入り、最後尾のセラフィリアは自身がそれを避けるのと同時に、紅葉が逃がした瑠璃の方を後ろから捕まえてもう少し脇へと移動させ、完全に安全圏へと離脱させる。


 それから、紅葉はその白いお姉さんを受け止めようとするが、残念ながら速度があまりにも速く、体格も相手の方が多少大きい為に受け止めきれず、そのまま押し倒される形で廊下を背中で滑り、そのまま行くと廊下を出た先の曲がり角で先程の大通路に放り出され、速度そのままに20m近く落下してしまう為、なんとか手摺を蹴って身体を捻り、踊り場の曲がり角をカーブするものの、その先はすぐに階段になっている為、落ちる事自体は免れられず、お姉さんを抱き抱えて守りながらも、階段の段差で背中をガリガリと削って下まで落下し、そのまま押し潰される。


 無論、紅葉は丈夫なので、ちょっと超音速の突撃を喰らったぐらいではなんともないのだが、流石にダメージは喰らった為、痴漢冤罪被害の回避も兼ねて、自分で「きゅぅー」と言いつつ、白いお姉さんから手を放してぱたりと倒れる。



 その間、僅か数秒。


 だが、ここにいる者達は数秒もあればだいたいの事は理解出来る為、まずは突撃して来た白いお姉さんが紅葉の上から上体を起こしつつ、紅葉に話しかける。


「あれ? 君は?」


 そうして、紅葉の瞳を覗き込むその白いお姉さんの愛らしい表情には一つも悪気が感じられず、むしろ、何故かその相手は、初対面であるにも関わらず、紅葉の目には酷く好意的な存在に映り込む。


(…………?)


 そこに、紅葉は何か違和感を感じるが、それでもその好意的な感情を払い除ける事は出来ず、現に彼女は紅葉の上に乗ったままだが、感情が薄く、警戒心の強い筈の紅葉が、彼女の下から抜け出すでもなく、身動きも取れずに固まり、彼女の質問には、何時の間にか転移で隣に移動してきていた、レルゥシャが答える。


「彼女は風祭紅葉。異次元の超獣。世界の鍵。そして今回の僕のお客さんだよ」


「なるほどこの子が!」


 そして、その相変わらず意味不明な説明に何故か納得する白いお姉さんに対し、レルゥシャは更に、セラフィリアと共に彼女と紅葉の様子を見に来た瑠璃を差して、「そしてそっちの子が同じく世界の鍵、幸運の蒼猫。御砥鉈瑠璃」と簡潔に説明した後、瑠璃と紅葉に視線をやってから、紅葉の上に座ったままの白いお姉さんの方に掌を向け、微妙に独白する様に、彼女の説明も行う。


「そして彼女は統神すべかみ聖成伽みなか。天上界高天原の主神にして……、黄泉の兄だよ」



 ……


 …………


 ………………兄?


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