表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/23

6 サムライと太陽のクツ

【登場人物】

監督

中岡将志(49)


選手

島左近(19)

草薙太陽(くさなぎたいよう)(16)


コーチ

マリオ(68)フィジカルコーチ

「のきおろう!ワシが先じゃ!」


「アホ言え!お前は、スクワット一回ズルしとる‼」


「馬鹿を申せ、お主の方こそ、腕立て伏せが、膝をついた女子(おなご)のやり様であったであろうが!」


「てめー、このチョンマゲやろう!」


とまだあどけない表情の少年がチョンマゲに掴みかかった。


「だまれ小童、武士の魂を!」


そこへ中岡が二人の間に顔を出し、頭をサンドイッチにぶつけた。


「俺が中岡だ!」


チョンマゲの青年は、ドレッドな長髪を後ろで束ね、サイドはスッキリと刈り上げている。きりりとした眉に、負けん気の強さを感じる。


身長は並んだ少年より少し高い、174cm。


「中岡殿、この小僧、ずっとワシに何かと絡みより、遅参申した申し訳ない」


「うるさいわ!チョンマゲ‼お前、だいたいなんで草履はいてんねん!」


「なんだ、お主知らぬのか、これは、足袋ともうしてな、侍が戦のおりはその脚力をいかんなく発揮するものなり」


「だから、なんで平成にサムライやねん!」


「ワシはかの関ケ原の名将、島左近から数えて、19代目の島左近なるぞ」


「いたーい、いたー、イタイタ。こいつ頭湧いてるわ」


と左近は、ならば見おれと、サッカーボールを蹴り出し、グランドに並んだ練習用パイロンを、肩を突っ込むように、切り込んでドリブル突破し、中岡目掛けて、食いつくようなクロスを蹴った。


とっさの事に中岡、トラップで受け止めようとした。すると、横にいた、口の悪い少年が、体を倒して、鋭く落ちてくるボールの起動を、薙ぐようにするどいダイビングボレーを決めた。


「やるやん、サムライ」


「小僧も、よくぞ反応したわ」


呆気に取られた中岡にマリオが耳打ちした。


「サムライは島左近(19)いいます。レフティーのオフェンシブMFね。こっちは・・・」


と、マリオが説明しかけたら、少年は、わっ!と叫んで座りこんだ。


「靴がまたパコパコや~」


中岡が見ると少年の靴はソールが中敷とはずれて、歩くとパコパコ音を立てている。それを腹のあたりを赤いビニールテープでグルグル巻にして補修しているのだ。


「あの少年は?」


中岡はマリオに尋ねた。


「彼は、草薙太陽(15)、高校1年生ね」


日韓ワールドカップの折のイングランド代表のイケメンMFベックに似せた印象的なソフトモヒカンを更に、白く染め目だたせている。眉は通り、目は大きく目力があり、口は握り拳が入るほどでかい。


背丈は、左近とほぼどっこい、少し低い168cmと成長期真っ盛りの年頃としては恵まれている。


マリオが太陽の靴を見て中岡に


「Ele é pobre.、中岡さん彼は貧乏ね」


中岡は、太陽に歩み寄って尋ねた。


「草薙太陽!お前は、サッカー好きか?」


太陽は、赤ちゃんのような笑顔で


「俺は、世界一の選手になる!絶対、誰にもまけへん。だから、ここへ来た‼」


「だから、年頃の近い左近とライバル心むき出しで競争してたのか。ほら」


中岡は、自分の履いていたトレーニングシューズを太陽に脱いで渡した。


「どうだ?」


太陽は、シューズを履いて、駆け出し じたんだを踏んだ。


「これなら、思ったプレーができる」


「そうか」


中岡は、握り拳を作って、太陽にも促して、拳と拳をぶつけて微笑んだ。


「ゴン(・・)ちゃんありがとう。この靴大切にするよ」


中岡は首を振った。


「いいや、あとでスグ返せ。それは、ハニーにもらったものだ」


さぁ、と中岡は立ち上がり、予備のスパイクに履き替え、プロ対アマチュアのフットサル対決に踏み出した。






(つづく)


これは、フィクションです。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ