31話 転生してしまおう
俺のズボンの裾を掴んで泣いている彼女を前に俺は、
拒絶されなくてよかったああああああ!!!
と思っていた。
実際俺がやったことと言えば、陰湿に付きまとってナンパして、嫌がられたのに持論を並べて我儘を押し通したことぐらいだ。後悔こそしていないが、正直不安で押しつぶされそうだった。
いやー良かった良かった。
カッコつけて「今を変えるのは結構怖いことだと思うんだ。だから、頑張ったな」などと口走ったが、
「キモい!!」とか言われて顔面にビンタでも喰らってみろ、俺があの世界に閉じこもってやるところだったぞ。
・・・っと、泣き止んだ彼女がこちらを見ている。
「どう、したの?」
潤んだ瞳の上目遣いを直視できず、目を逸らす。
「いやあの、いろんなこと言っちゃったけど、キモくなかったかなあ、って思って。」
「・・・・・・か、・・・キモかったよ。」
彼女の声が俺の心に反響し、何度も脳を駆け回っている。
俺、もう死ぬのかな。
「・・・よし。もうだめだ。転生してしまおう。」
そう言って倒れた俺だが、目の前に出てきた圧倒的な存在感を持つソレらを視界に納め、最後の力を振り絞り踏みとどまる。
「まさか、獣人が実在していたなんてな・・・!!」
彼女の頭上には耳、腰からはふさふさの尻尾が生えている。ウサミミとかネコミミとかはよく聞くが、これは多分狐だな。
「・・・もう隠す必要ないかなって思って。変じゃ・・・ない?」
「ああ。今まで見た耳と尻尾の中で、間違いなく一番綺麗だ。」
「ほんとに?」
「本当だとも。今だって、触りたい衝動を押し潰しているところだ。だが安心してくれ。立場はわきまえているつもりだ。衝動があと十倍ほど大きかったとしても、無神経に撫でてみるような真似はしない。それをやってドキッとされるのは、ガチの主人公だけだ。他の人がそれをやってもただのセクハラだということは重々承知だ。まあ俺猫飼ってたし、凄くふわふわしてそうで撫でてみたいし、ぴょこぴょこ動いているのはすごく可愛いと思うけどな。」
「っ──!!」
───!!
キモいとも言われたし、ビンタも喰らいました。心が折れた音が明確に聞こえた俺は、乙女心は難しいなという、ラブコメの主人公のようなセリフで区切らせて頂きたいと思います。
「やっぱり乙女心はむず───あ、ラウラにアリスじゃないか!!見てたなら言ってくれよ・・・って、なんで黙って近づいてくるんだ?二人ともー、ちょっとお顔がこわ───」
───!!───!!
どういう理由で三発もビンタを喰らったのか分からないが、俺が彼女の名前を聞くのは、明日のことになる。
「一区切りついたので、こっちの構想を練りつつも、『スキル弱化』の方に本腰を入れたいと思います。まあ本腰を入れると言っても、どちらも未熟なのには変わりないんですが。
『スキル弱化オーバードライブ』の方、ぜひよろしくお願いたします。
とお塩さんが話しているのを聞いたっス!!『いい感じ』の方は次回から男キャラをだして行きたい、とも言ってましたね。ちなみにお塩さんは、クジラの尻尾が好きみたいっス。生命力を感じるとかぬかしてましたが、まあ私もイルカが好きなんで何とも言えないっスね!!」




