21話 アトラクションみたいで面白かっただろ
「感覚を・・・共鳴させる!精神支配・微弱!!!」
「精神支配って、こんなやばい魔物・・・あ!」
「こいつは分類上イートワームって雑魚魔物なんだろ?なら、やってやれねえ事はないってわけだ!」
「でも、このサイズの魔物を掌握するのに、どれだけ神経使うと思ってるんスか!!闇魔法は負荷が大きいんスよ!」
「神経使うのは、俺の十八番だ。絶対離すなよ!」
蚯蚓の精神を支配し、その巨体を動かす。
「何するつもり───って、傾いて、うわぁあ!!」
蚯蚓は俺の指令で向きを変え、上向きに進み始める。口の中にどんどん異物が入ってくる感覚で、吐き気もする。しかし、俺は無我夢中で地中を掘り進んだ。
俺の本体の視界には、不安定に回転するルーンの矢印と、祈るように目を瞑る二人が映っている。
「(あともう少しのはずだ!!ッ───頭が痛い!!早く!速く!早く!!)」
「「シオト!!!」」
「(うおぉぉぉらあああぁぁぁああっ!!)」───
──────!!
地表を突き抜けた!
全身を地中から出し、蚯蚓の口を開いて支配を解く。
「戻った!!爆発弾!!」
蚯蚓の頬は弾け飛び、再生は・・・おそい!!
「出るよ、二人とも!!」
ラウラが蚯蚓の牙を断ち切り、そこから脱出する。真っ暗な地中から一転、夜の平原の深緑、上には星空が広がっている。
「ここ・・・緊急脱出の設定位置じゃないスか!!」
俺は平原で戦うため、緊急脱出のルーンの矢印を手掛かりにして上向きに掘り進めた。
「ここで戦うメリットは二つ。奴の全体が見えて死角がないこと。それと・・・
奴の再生速度が遅くなることだ!!」
マナを吸い出せなくなった蚯蚓はあの異常な再生速度を失った。今なら倒せる!!
「でも。地中に逃げられたら・・・」
「多分それは無いっスよ。ワーム系は皮膚全体で呼吸するっス。巨大化したあいつは洞窟の空気だけでは生きていけないので、戻ることは無いっス!!」
この世界の蚯蚓も皮膚呼吸だったようで、ひとまず安心だ。
「まあどのみち、そんな隙も与えず倒すけどな!!風歩!」
蚯蚓の頭上に飛び乗り、声を上げる。
「二人とも、叩き込めえええええ!!!」
「光っても意味ないけど、閃光連撃!!」
「暴れないでくださいっス!!極大火炎砲・拡張!!」
ラウラが斬り刻んだ蚯蚓の体を、アリスが燃やし尽くしていく。
それはもう凄い勢いで。圧倒的だな、ほんと。
「あいつらを守るんだもんな。いい目標だよ、全く。」
剣に火を纏わせる。
「大人しく干からびてるんだな。疾風剣・烈火!!」
───────────!!
───
「倒した、みたいだな。」
さっきまで地面を打ち鳴らして暴れていた巨体は、嘘のように消えてしまった。
「雑魚魔物を一匹倒すのに、こんなに時間がかかるなんてね。」
「体中ベタベタっスよ。口に入って操るとか、滅茶苦茶すぎっス。」
「アトラクションみたいで面白かっただろ?俺の方は頭が割れるかと思ったがな。ははは。」
「笑えないよ!!でも、安心したら気が抜けちゃった。」
三人で寝転ぶ。
「星、すごい綺麗ね。」
「本当っスね。」
また、星空。
あっちでは明るさで一等星やら六等星やら決めていたが、参考にならないな。
気まぐれに輝く星たちを眺めて、そう思った。
「どいつもこいつも一等星だよ。全く。・・・
・・・何言ってんだ、俺。」
──────
「お風呂楽しかったね。昨日からありがとう。」
「もう、帰っちゃうんスか?」
「別にお別れってわけじゃないんだから。またすぐ会えるよ。・・・・・・でも、本当はずっと一緒にいたいかも。もし私が王女じゃなかったら、二人とパーティーを組んで、世界を旅したかった。」
「ララさん・・・。」
「いつか、できると良いな。」
「な、なんてね。じゃあ、バイバイ!!」
門まで送っていくと言う暇もなく、彼女は走り去っていった。
───
それから二日は、アリスと野宿をした。ラウラも忙しいだろうと思ったので、彼女とは会っていなかったが、今日はアデルさんが宴に招いてくれたため、ラウラと会うことができる。
「お、いたいた。アデルさーん!」
「やあ少年。それにラウラのお友達も。今日は来てくれてありがとう。もうすぐ、始まるぞ。
『バラク王の戴冠式』がな。」




