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18話 守りたい女の子二人に守られている

朝の空気が心地よいが、風がいつもより少し冷たいように感じる。


というのも、俺が不安を感じているからだろう。


「さてと。飯は食ったが、どうする?」


三人で食事をして、楽しい時間だった。だが、その時間は、無限に続くわけではない。


「どうするって、今日も修行・・・あ!!」


アリスも気づいたようだ。


「俺は王様を倒せた。アリスは城下町に入れる。ラウラも自分の家がある。つまりだな・・・」


できれば言いたくない。しかし、言うしかなかった。


「お前らが俺と一緒にいなきゃいけない理由は、……ない。」


目標を達成してしまった今、二人が俺のもとにとどまる理由はない。

もっと一緒にいたいと一言いえば、二人は一緒にいてくれるだろう。だが、だからこそ、二人を俺が縛り付けてはならない。一人暮らしに戻る覚悟を、俺は決めなくてはならな───



「──先輩、王様倒したんですもんね!!で、今日はどこ行くっスか?」



「・・・聞いてた?俺の話。」

「聞いてたっス」

「城下町で暮らしていいんだよ?」

「あ、ララさんのおうちにも泊まってみたいっス!!三人で!」

「お泊りの時以外は?」


「・・・当分は先輩と野宿したいっス。先輩が城下町におうち建てるなら、そっちに住みたい・・・って、もしかして迷惑っスか!?」


「質問で返して悪いんだが・・・もしかして、俺のこと嫌じゃない?」


アリスは不思議そうな顔をしてから、言い放った。


「全っ然嫌じゃないっス!!」


「あ、そうなの。」

「そうっス。理由がないと一緒にいちゃいけないんスか?」

「アリス。・・・そんなわけないだろ!大歓迎だ!!」


嬉しくて笑いがこみ上げる。俺は自分が思っているよりこの生活を気に入っていたらしい。

どうやら、俺の心配は杞憂に過ぎなかったようだ。気が抜けたように肩をおろすと、ラウラが口火を切った。


「洞窟探検、しない?」


洞窟探検。都会育ちの俺には、あまりにも魅力的すぎるワードだ。


「いいっスね!行きましょう!!」

「満場一致だな!すぐ出発しよう!」


準備を整えた俺たちは、町にも寄らずに山の方に歩き出した。───




──「抽象的で悪いんだが、洞窟って、どんな感じなんだ?」


「うーん。暗くて長い穴で、うねうねしてて・・・あ!魔物も宝もいっぱいな地下迷路だよ。」


後半はまとまっていて分かりやすかったが、俺は前半の身振り手振りをもうちょっと見たい。


「宝!?」

「希少な鉱石とか、強い魔物の戦利品のことっス。」

「宝箱、ある?」

「知能が高い魔物とかが宝を貯めた箱なら、たまにあるけど、勝手に生えてくることはないと思うよ。鉱石じゃないんだし」


「鉱石は生えてくるんだな・・・。」


高低差が激しいこの山は、草木は生育しているものの、岩盤がむき出しになっていて、動物が暮らしやすいとは思えない。ここにいる生物は、険しい環境に適応できる強い魔物がほとんどだ。

それでも気楽におしゃべりなんかしているのは、俺の横の二人がぶっ飛んだ強さをしているからだ。俺が応用を利かせてぎりぎり倒せる敵を、何食わぬ顔で瞬殺してしまう。

守りたい女の子二人に守られている。複雑な気分だ。


「あ、ちょっと目閉じてね。」


言われた通り目を閉じると、瞼を閉じていても眩しいほどの光が発生する。

ゆっくり目を開けると、全身がゴツゴツとした鱗で覆われた大きな鳥が三羽、目を回してひっくり返っていた。群れで強襲し一気に目標を殺す岩鳥(ロックバード)を、一瞬で無力化してしまった。

ラウラの閃光、やはり強烈だな。


「あとは私がやるっスよ!空破風刃(ウィンドカッター)!!」


アリスが差し出した両手から、風が凝縮された平たい刃が飛んでいき、三羽とも真っ二つにした。

彼女の魔法は、桁違いの威力だ。行動不能の敵の処理に魔法を使うのは、マナがもったいないと思うのだが、彼女の場合、膨大な量のマナを有しているため、問題にならないのだろう。

正直少し羨ましい。


「着いたよ。ここが『丘引きの魔窟』。」


「わああぁ。綺麗な洞窟っスね。キラキラしてるっス!!」


ほら穴を伸ばしたようなものかと思っていたが、天井は非常に高く、青みがかった鉱石が美しく光を反射している。光沢をもった鉱石の結晶が成長しており、洞窟というより鍾乳洞だ。


「すげえ・・・綺麗だ」


「シオトがこんなに感動してるとこ、初めて見た。」

「先輩って意外にロマンチスト?」


「綺麗だが、魔物は強いんだろ?気を付けて行かないとな。」

「そうっスね。死ぬのは嫌っス。」

「気張っていくよ!」

「おう!」


こっちに来てから、目に見える景色が輝いて見えるのは、生の美しさを感じるからだろうか。


もしそうなら、この洞窟は多分生きているんだろう。

俺はいっそう気を引き締めた。

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