17話 食事ってそういうもんじゃないか?
ラウラとアリスが出会い───
──お泊り会が始まった!
俺のテントで!!
何故!?
「何故!?」
「深夜なんスよー?静かにしてくださいあともうちょっとそっち寄ってくださいっス」
「シオト大人しく寝てあともうちょっとそっち寄って」
俺を真ん中にした理由は良くわからないが、
狭い。すごく狭い。
俺が返ってくるまで寝ずに待っていたアリスを見て、何故かお泊りすることになったラウラ。風呂で何を話したかは知らないが、俺が風呂を上がるときにはすっかり仲良くなっていた。と思う。
外でいいと言うと、ラウラは「氷点下を下回るんだよ!?」と怒りながら中に入れてくれた。優しい子たちで本当に良かった、と俺は思った。
そして今、お泊り会でウキウキ気分なラウラと、何故かラウラに対抗心を燃やすアリスに挟まれ、俺は押しつぶされようとしていた。圧迫感と洗剤(ラウラもアリスも自分用のを持っているようだ)の匂いで、このままでは危ないと思い、口を開く。
「お前ら、もしかして俺のこと好きなの?笑」
二人は一瞬にして俺から遠ざかり、危機は去った。
「知っててやったんだけどね。そんなに引く?」
テントの床面からはみ出る二人のせいで、テントが横に伸びている。
「アリスちゃん。いっつもこうなの?」
アリスはしばらく黙った後、声を張る。
「そ、そうっスよ!ララさんは知らない一面っス!」
こんなようなこと滅多に言わないんだが。
というか俺よりずっとうるさいじゃあないか。
「俺が悪う御座いましたよ。テント壊れちゃうから、もうちょっとこっちに───」
「──私も、アリスちゃんが知らないシオトいっぱい知ってる・・・!」
ラウラがムッとした顔をする。深夜でテンションがおかしくなっているのか、意味不明なところでアリスに対抗している。
「じゃあ、ララさん知ってますか!?先輩は草原の雑魚魔物相手に作戦練るんスよ!」
「し、知ってる!?シオト、剣持っただけで転んですっごく弱かったんだからね!──」
「今は今だ、俺はもう結構強い。完全復活!パーフェクトシオト様だぜ!」
「先輩、意味わかんないっス。あと、顎がうざいっス。あ、そういえば!──」
──その後も、次々と俺の弱みが暴露されていったが、三人で話すのは、結構楽しかった。
思えば、こんなにわちゃわちゃと話すのはかなり久々だったな。
相手がこの二人だからってのもあって、寝ることも忘れてくっちゃべってしまった。
「そろそろ、寝るか。」
「流石にそろそろ眠いっス」
「おやすみなさい!」
ラウラはまだ元気のようだが、疲れが瞼を重くする。
俺は目を閉じ、すぐに眠ってしまった。───
──「先輩起きるっスよ!」
「起きて、シオト」
「ん、夢だなこれ、おはようございます。今日もとっても可愛いですよ。お二人さん。」
「「・・・」」
「あ、そういや現実だったな。ごめん寝ぼけてた。飯にしよう。町でパンを買ったから、今日の朝食は豪勢にいこうじゃないか」
「「・・・」」
二人そろって黙ったまま顔を洗いに行ったので、その間に牛乳ベースのスープを作る。
王女様のラウラはちゃんと寝れただろうか。まあ、結構野宿したことあるようだし、問題ないか。
火にかけている間に、俺も顔を洗いに行き、ラウラには火の番、アリスに食卓を頼む。
一人で全部やっていた時期は負担に感じていた仕事に、やりがいすら感じる。三人寄れば、三倍以上の恩恵が得られるらしい。
「今日もうまそ」
「いっつもおんなじこと言ってますよね、先輩。まあ、実際美味しいっスけど。」
「いつもシオトが作ってるの?」
「私もたまーに作るんスけど、ぶっちゃけ料理下手で、微妙なのしかできないっス。・・・(それでも、先輩は美味しそうに食べるんスけど。)」
「(シオト、そういうとこあるよね。)」
「な、なんて?」
「何も言ってないっスよ!さ、食べましょ!」
「「「いただきます」」」
三人分の挨拶に、確かな幸せを感じる。
「うん。やっぱりうまい!」
「自分の料理、そんなに褒めます?普通」
「俺の料理自体は普通に美味いくらいなんだけど、周りの景色とか、アリスが頬張るところとか、ラウラのちょっと笑った顔とか、そういうもので何倍も美味く感じるといいますか。食事ってそういうもんじゃないか?」
「な、なるほど。っていうか、そんなに人の顔ジロジロ見ないの!デコピンするよ!?」
こんな会話一つ一つで飯が美味く感じるのは、間違っているだろうか。
「あと先輩、自分の料理も褒めてますよね。」
「まあな。普通にって言ったけど、本当は凄く美味しいんじゃないかと思ってるよ。」
「全く。フフッ!」
そんな理由で、今日の朝食は超ごちそうだった訳だ。




