16話 俺にとっての一番の成果だ
「そういえば王様。おねがい聞いてくれるんでしたっけ?」
「言ってみろ。」
「俺ともう一人の知り合いの入国許可、それと、ラウラと話す機会が欲しいです。」
「良いだろう。近いうちに大きな宴をやるから、それにも来るといい。」
即答。やけにすんなり受け入れてくれたな。後者は結構渋ると思っていたが、どういった心境なのだろう。
ともかく、ラウラとアデルさんも仲直りできたみたいだし、俺もアリスも町に入ることができる。日願成就で嬉しい限りだ。
「少年、野宿生活は大変だったろう。一応門番に食料を持たせてはいたが、国外追放したこと、すまなかった。今日はどこに泊まるんだ?宿代くらいは出すぞ。」
「連れが気になるんで、外で寝ます。国外追放の前にいろいろ貰ったんで、それが宿代ってことでお願いします。ちなみに、大変だったけど、楽しかったですよ。連れのことも助けられましたし。」
ラウラが何やらソワソワしている。おそらく俺に言いたいことでもあるんだろう。いきなり出てったしな。
「ラウラ、送って行ってやれ。あ、お前、娘の幸せを奪ったら、殺す。」
八年以上はなれて暮らしていたらしいが、流石親って感じだな。ラウラがソワソワしているのを、見もせずに気づき行動している。問題は後半部分だ。
顔がガチだった。王特有の威圧感を、こんなところで発揮しないでほしい。
「心臓に悪いので、その顔やめてください!分かってますよ。頑張ります。でも、王様だって話したい事いっぱいあるでしょうに、いいんですか?」
「私にとって娘の幸せが第一優先だ。無理に話そうとは思わない。それに、話さなくても大体分かる。」
自分の親に不満があるわけではないが、ラウラが羨ましくなる程良い親だ。
「だって俺天才だし。王様だし。」
この一言で大分台無しだが。
いきなり小学生男子みたいなこと言い出したぞ。王の威厳と親バカナルシストのギャップについていけないし、割と事実なのもたちが悪い。
「ほら行くよ?もう遅いんだし。」
ラウラに急かされ、アデルさんに手を振る。
・・・
夜の草原にラウラと来たのは、これで二度目だ。
「まさか本当に父さまに勝ってたなんてね。」
「修行の成果ってやつだ。君に助けられてから、少しだけ強くなったよ。」
「今度は私が助けてもらっちゃった。強くなって、助けてくれてありがとう。父さまと仲直り出来て、私・・・」
彼女の瞳から光が零れる。大好きな人との仲直りだ。涙腺ももろくなるだろう。かくいう俺にもこみ上げるものがある。
「少しでもラウラの助けになれたなら、俺にとっての一番の成果だ。本当に、本当に良かった。」
成果、か。
俺はまだ王様に勝てるわけでもないし、大きな財産を得たわけでもない。
だが、これは成果だ。泉のように湧き出るこいつが、きっとそうだ。
本質的にはあっちもこっちも変わらず、愛情とか希望とか、そういうものを持ったとき、命は成果を得る。ということなんだろうか。彼女を見ていると、柄にもなく生を意識してしまう。なんというか、なんとも言えないが、ふわふわした感じだ。
彼女は涙を拭い、前を向く。
「もう泣くの終わり!!強くなったシオトに、明日にでもお手合わせ願いたいところね。それと、さっき国外追放って言ってたけど、いきなり出て行ったのは、そういうことだったのね。」
「ああいや!それはその、何と言いますか。」
「心配しなくても大丈夫。父さまのこと、もう許したんでしょ?私から言うことは、[ちょっと寂しかった]くらいよ」
「・・・良かった」
「それより私は、[連れ]が気になるな!どんな人なの?」
「二週間くらい一緒に過ごした感じ、賢くて素直ないい奴だって思うよ。元気で明るいのはもちろん良いところなんだけど、気が利くし教えるの上手いし、多分すごく賢いんだ。で、もっとすごいのは、賢くて強いのに慢心しないし、人を見下さないところだと思う。あ、あのテントがそう。」
「べた褒め!!聞かせてあげたらすごい喜ぶんじゃない?」
「すごいって言っただけですごい照れるからな・・・俺も恥ずかしいし。」
テントに近づくと、アリスが飛び出してきた。
「でも照れ屋で賢くて素直、っていまいちイメージが、って───」
「先輩おかえりなさい!って、横にいる人───」
「「おんなのこおぉぉ!?」」




