13.頭堅いのぅ
12話で誤字脱字がとても多かったです。以後気をつけます!
「儂にも立場ってもんがあるし、悪いようにはしないから負けてくれんかの?」
握手する瞬間にゴードンが小声で言った。
俺は驚き顔を上げてゴードンの顔を見ると、「お願い!」と、いう表情をしている。
厳格そうな大柄のおっちゃんな見た目と、表情のギャップに笑そうになった。
悪い奴じゃなさそうだし、負けてあげる事にした。
俺は黙って頷く。
ゴードンは心の中でガッツポーズをしていた。
『親分』と呼ばれているこの男、得体の知れない危険人物なのは間違いない。が、どうにも話は通じそうだし、悪人には見えない。であれば、お願いすれば勝たせてくれるんじゃないかなーと思っていたのだ。
「儂、ナイスな読みじゃ」と自分で自分を褒めるゴードンであった。
握手を交わした後、2人は距離をとり向かい合う。
さて、俺はどういう段取りでいけば良いのかな?と、思っていたらゴードンは
「いくぞぃ。儂の全力受けてみぃ!」
などと言い出した。
俺は「長引くのも面倒いしこの技で負けよう」と考えて様子を見ている。
ゴードンは半身に構え両手を天に掲げた。そして、左手は伸ばしたまま前方へ、右手は折りたたみながら後方へと下ろしていく。
まるで、巨大な弓を構えるように。
俺を不思議な感覚が襲う。
森で感じたあの違和感。違和感の感じる方に進み、中心に入った時のあの感覚だ。
と、いうことは!!俺は身体の周りを氷のドームで覆った、念の為に森の時よりも、もっともっと分厚い氷で。
「よいさぁ、降り注ぐ無数の矢!」
ゴードンが叫ぶと同時に俺の頭上へ無数の矢が降り注ぐ。
あーあ、勢いでまた氷のドームにしてしまった。ドームの中は音が反響してとてもうるさい。
しょうがない。我慢だ。
んで、最後の矢がドームで弾かれた瞬間にドーム解除!と同時に、自分の身体に刺さっている(かの様に見える)矢を創造。ついでに、血糊を吐いて倒れた。
完璧!な、はずだ。観客からは、ゴードンの放った矢が俺の氷のドームを破壊し、俺の身体を貫いたように見えた、、はずである。
会場はシーンと静まり返っている「あれ?失敗かな?」そんな不安が頭をよぎる。
しかし、そんな俺の心配は杞憂に終わった。
しばらくの静寂の後、観客席から割れんばかりの歓声が沸き起こり、鳴り止みそうもない、ゴードンコールがおこっている。
「ゴードン。ゴードン。ゴードン。」
こんなオッサンの名前を連呼して盛り上がれるなんて、意味がわからない。などと思い、寝たフリを続けていると、
「黙れぃ!!」
ゴードンの一喝で観客席は静まり返った。
「彼は儂の全力の一撃を逃げずに受け止めたのじゃ!儂の攻撃を待たずして先制していれば、彼こそが勝者となっていただろう!」
俺のそばに寄り俺の肩を抱えながら言葉を続ける。
「よって、真の勝者は『親分』である!!!」
ゴードンのその一言で会場は沸きに沸いた!
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
俺は医務室でゴードンを待っている。医務室にはヤンスと、何故だか知らないが淫魔族3人組も一緒だ。
「親分さん大丈夫?」
「格好良かったー!!」
「惚れちゃいそー」
などとキャピキャピしている。名前はそれぞれリナ、ルナ、レナと言うらしいが、どれが誰だか全く分からない。
恐らく、リナが金髪ショート。ルナが黒髪ロング。レナが金髪ロングだろう。
、、、きっとそれであってるはずだ。
多少騒がしいが、ヤンスと2人きりよりもマシである。
そのヤンスと言えば医務室に行く途中に駆け寄ってきて。
「大丈夫でヤンスか?オイラの唾液には治癒効果があるでヤンス!」と、言って舐めようとしてきたのだ。
思わず起き上がって本気でブン殴ってしまった。寒気のするあの臭いを思い出してしまい若干気分が悪くなったのは言うまでもないだろう。
ま、そんな事があった為に、俺を医務室まで運んでくれていた4弟子、ヤンスについて来たリナ、ルナ、レナ、ともちろんヤンスの8人には、俺が元気だとバレてしまっていた。
4弟子は「師匠に話を聞いてきます」と言って医務室の直前で引き返して行ってしまった。
仕方がないので、俺とヤンスと、リナ、ルナ、レナで医務室に勝手に入り、待機しているというわけだ。
この3人組となら俺も緊張せずに話せるようになってきた。話せるようになったと言っても、基本的には3人組はヤンスと話している。
たまに話題を振られて言葉を返すだけなんだけどね。
今も、ヤンスはどんな子がタイプなのかとか、この3人の中なら誰が良いかとか話をして盛り上がっている。
すると、部屋の外から「だからって大会の場で、、、」とか、「うるさいのぅ、頭堅いんじゃお前らは、、、、」
などなど、ゴードンと弟子たちが言い争っている声が聞こえてくる。
弟子たちの問いに面倒臭そうに答えているゴードンの顔が浮かぶ。俺は、この短い時間でゴードンというおっちゃんの事を好きになっていた。
ガチャ
部屋のドアが開き開口一番
「こいつら、頭が固くてしょうがないわい」
ウンザリした顔のゴードンと、ゴードンを囲む4弟子。
そして、何故だか知らないが白猫のサーシャが医務室に入ってきた。
「さてさて何から話すかのう」弟子達がまだ小言を続けているが、全て華麗に無視をして、俺に話しかけてきた。




