12.反則レベル
ゆっくりとですが読んでくれている方が増えています。
ありがとうございます!!
なるほど。4人の弟子で盛り上げて俺で落とす。で、主役で盛り上げる。良い演出だ。
「あのー、ちょっと良いですかね?」
「あ、はい!なんでしょう?棄権ですか?」
俺の問いかけに失礼極まりない返事を返す実況者。
「いや、棄権ではなく。ゴードンさんはこちらの4人と同時に戦い勝利したんですよね?」
「そうなのです!今回も4対1の戦いをしていただきます。。あ、親分さんはその、、、」
俺は邪魔か。ま、無理して参加しなくても良いだろ。
「いや、棄権で良いっすわ」
「それは許さんぞい!」
師弟対決に水を差してはいけないと、空気を読んで棄権するつもりだったのに。ゴードンさんから待ったが入った。
「お言葉ですが師匠。彼からは大した魔力も感じられません参加しても命を落とすだけでしょう」
「まさか師匠ともあろうお方がそんな事も分からない程、耄碌してしまいましたか?」
赤髪のテノス、青髪のニタースがゴードンに詰め寄る。
「喝!!」
ゴードンが目を見開き一喝すると、テノスとニタースは観客席最前列の壁まで吹っ飛ばされた。
「ともかく、彼を倒してからだ。4人でかかれ、決して油断の無いように!」
修行時代を思い出させる様なゴードンの厳しい表情。
直接吹き飛ばされたわけではない、茶髪のシュハイトと緑髪のディエーフスも気を引き締める。吹っ飛んだテノスとニタースも、闘技場中央に戻ってきている。
「悪いな、あんたに恨みは無いけど4対1でやらせてもらうよ」
シュハイトが爽やかな笑みを見せながら剣を構えた。他の3人もすでに剣を抜いており、臨戦態勢に入っている。
「始め!」
流れについて行けてなかった実況者だが、もう戦いが始まっている事を察し、気を取り直して試合開始の合図を出した。
と、同時に4人一斉に飛び掛ってくる!!
しかし、次の瞬間試合は終わっていた。4人全員凍り漬けとなり俺の足下に転がっているのだ。
殺してはいない。国民的ヒーローの様な人気を持つ彼等を殺しては、俺はこの村で落ち着いては暮らせないだろう。それだけは避けたい。
と、ゴードンと弟子達が何やら揉めている隙に思案していると。頭の中に、敵を眠らせる・麻痺させる・凍り漬けにするといった身体の動きを奪う魔法が幾つか思い浮かんできた。もちろん「知識の泉」の力だ。
そして、俺の「創造主」は物を創り出すだけではない。事象の再現すら行えるらしい。それならどれか好きな魔法の効果を再現するだけである。
視覚的に1番派手なのが良いな。と思った。
なので凍って頂いた。それだけだ。
「あれ?これって熊を凍らせた時と一緒かな??」
凍り漬けで転がっている4人を見てアルスはそんな事を考えている、、確かに結果は同じであるが過程は大いに違う
魔法で絶対零度を創り出す為には、まぁ乱暴に簡単に言えばだが、魔力を使い分子運動を停止させる事により可能となる。しかし、創造主では先に強制的に絶対零度という環境を創り出す、結果分子運動が停止する事となる
まぁ、、この規格外の男からしたら確かにどちらでも一緒であろう
会場が静寂に包まれる中、実況者に俺の勝名乗りをするように求めた。
「勝者、親分」
さすがプロである。戸惑いながらも、きちんと仕事はしてくれた。
その直後、4人の凍り漬けが解除される。
「貴様!何をした!」
本人達は何も理解していない。
飛び掛った。俺が瞬間移動した。自分達は急に地面にいた。くらいの認識だろう。まさか、凍っていたとは思う筈もない。まだ戦闘は続いていると言わんばかりに4人でフォーメーションを組み始めた。
「やめーい!!」
ゴードンの声が響き渡る。
「お前達は負けたのだ!彼の優しさに感謝しろ!彼がその気ならば皆殺しだぞ!!」
ゴードンは4人の弟子に説教を始めた。
そして内心焦っていた。なにせ飛び掛った4人全員一瞬で凍り漬けである。
ゴードンといえど対応できずに同じ目にあうだろう。
魔法詠唱もしていないし、魔力の感知もできなかった。しかし、恐らくは昔噂で聞いた氷系最強魔法なのであろう。
氷系魔法は炎系魔法より高度な為使い手が少ない。
運動エネルギーを加速させる炎系よりも、減速させる氷系の方が高度な技術を要するからだ。
ゴードンは、昔の噂を信じなかった自分を後悔した、名前すら覚えていない氷系の最強の魔法。
対策云々と話ししていた連中に「ありもしない魔法の対策を練るなんて愚か者共だな」とすら言った。
愚か者は自分なのに。
さて、説教で時間稼ぎながら対策を練ろうと思ったが何も思い浮かばない。
ゴードンは腹を決めて『親分』と呼ばれている男の前に立つ。
そして一言
「よし!儂の戦いをよく見るのだ!」
その一言で、それまで通夜のように静まっていた会場に活気が戻った。
が、ゴードンは「魔力感知もさせないであんな事できるなんて反則だろ」と思い焦っていた。
しかし、先程『親分』は師弟対決の空気を読んで棄権しようとしていた。と、いう事は強さを見せびらかしたり、優勝賞品が目当てなわけではない筈だ。ひょっとしたら!
ゴードンは自分の秘策に一縷の望みをかけた。
ゴードンが俺に向かって手を差し伸べてきた。握手を求めているのだろう。
俺は内心焦っている。4人の弟子が一瞬で凍り漬けにされたにも関わらず、ゴードンには焦りなど微塵も感じられない。と、いう事は、俺が事象を再現した魔法。氷結の監獄について対策があるのかもしれない。
魔法の事象を再現しているが、魔法ではない。ので、対策がそのまま当てはまるとは限らない。対策されたとしても、攻撃手段は残っている。が、そもそも何もさせて貰えずに殺される可能性もあるのだ。
「さて、どーすっかなぁ」そんな事を考えながら握手に応じる。
1回死んでるからだろうか。自分の能力が高性能すぎだからだろうか?不思議と死ぬのは怖くないし、戦いが楽しくてたまらないのであった。
今回も最後までお読みいただきありがとうございます!
また、次回もよろしくお願いします。




