八話目
ふむふむ、なるほど。
――――――
72:スレ主
教本には、ものすごくわかりやすく魔法の説明が書いてある
俺が生まれたこの世界の魔法は、大きくわけて二つの方法で使うことができるらしい
・呪文を唱える魔法
・術式を描いて、魔法陣にして使う魔法
で、魔力がたくさんあればあるほど、基本的な魔法でも物凄い威力を出すことができるらしい
73:考察厨
なるほど
74:名無しの転生者
教本には、すぐに使える
お試し的な魔法とか載って無いの??
75:スレ主
ちょっとまってくれ
あ、あった
周囲を軽く照らす魔法【星灯】
光の玉が現れて明るくその場を照らしてくれるらしい
これは、この魔法の名前?
を唱えるだけでいいらしい
ちょっとやってみる
76:名無しの転生者
いや、ちょっと待て
スレ主、たしか生まれつき皇族より魔力量があるとかなんとか言ってなかったか??
77:名無しの転生者
と、いうことは……
78:スレ主
目が!目がァァァ!!
79:名無しの転生者
あー、やっちまったなぁ一
80:名無しの転生者
どゆこと??
81:考察厨
一部の人にわかりやすく説明するとだな
おそらくだが
メ〇ゾー〇ではないメ〇だ、を素でやって目が灼かれたんだろ
――――――
魔法は発動した。
しかし、予想していたよりも【星灯】の光が強かったのだ。
稲光だけが目の前で炸裂したかのような、そんな激しい光にさらされ、しばらく目が使い物にならなかった。
同時に部屋の前で待機していた、俺付きのメイドたちが何事かとなだれ込んできた。
一人で読むから、外にいて、とお願いしていたのだ。
「お嬢様、どうされました?!」
「今の光は、いったい」
「え、なにこれ??
魔法??」
「これ、お嬢様が持ってきた本??」
騒がしくなった。
誤魔化さなければ。
幸い、神様によって体も調整されていたからか、すぐに視力が戻ってきた。
と、目の前に光り輝く球が浮かんでいた。
「え、これ??」
おかしい。
教本を見直す、【星灯】で出現する光の玉は、せいぜい飴玉くらいの大きさのはずだ。
俺の目の前でふよふよと浮いている光の玉は、それこそ俺の顔くらいの大きさがあった。
驚いていると、今世の母上である侯爵夫人と、乳母のエミリーがやってきた。
この騒ぎを聞きつけてきたのだ。
「何事ですか!!」
「アイリスお嬢様!ご無事ですか!?」
母上は、俺とメイドたち、それから光の玉を順に見て、目を丸くする。
それはエミリーもだった。
しかし、母上の方が動くのが早かった。
一瞬で俺の目の前までくると、俺を抱えあげ、さっとまた廊下へと戻る。
「何があったのですか!」
ぎゅうっと俺を抱きしめながら、母上はメイド達へ言葉を飛ばした。
メイド達も、俺が魔法を使う決定的瞬間を見た訳では無いので、しどろもどろになってしまう。
母上の目がどんどん釣り上がる。
「お、お母様!!
違うんです!メイド達は悪くないんです!!
怒らないでください!!
わ、わたし、わたしが!!」
俺はすぐになにをしたか白状した。
経緯もなにもかも全て、白状した。
その間も、光の玉は消えることなくふよふよ浮いていた。
「全く、お父様がなぜダメと言ったのか、これでわかったでしょう。
あなたに、魔法はまだ早すぎるのです」
母上は呆れたと言わんばかりだ。
たしかに、早すぎたのはそうだろう。
もう少し慎重に使ってみるべきだった。
それはそうと、母上は光の玉を見ながら怖々と口を開いた。
「ところで、これ、爆発したりしないでしょうね」
どうなんだろう。
しかし、意外なところから援護する声が飛んできた。
乳母のエミリーである。
「まぁまぁ、奥様。
大丈夫ですよ、これはただの【星灯】です。
ただちょっとだけ光の玉が大きいだけです。
殺傷能力はありません。
それにしてもお嬢様は大したものですよ、まだ三歳なのに。
【星灯】でこんな大きな光の玉を出現させるなんて、中々できません!
ノア殿下への嫁入りはやめさせて、相応の場所で学ばせた方がいいです」
俺は思わずメアリーへ声をかけた。
「わかるの??」
「えぇ」
エミリーが頷く。
その横で、母上が苦笑を浮かべていた。
「魔法学のテストだけは、あなたに勝てた試しがなかったわね」
なんて言っている。
実はこの二人、元同級生らしい。
エミリーも可笑しそうに笑っていた。
その後、俺は二人から軽くお説教されたのだった。
光の玉はいつの間にか消えていた。
教本は没収されるかとおもいきや、母上、もしくはエミリーがいる時だけ読んでいい、ということになった。
「いいの??」
エミリーがニコニコして頷いてくれる。
「殿下のためなら仕方がないですからね。
でも、お約束は守ってくださいね?
その本を読むのは、お母様や私がいる時だけ、ですからね」
「はい!!
お母様、エミリー、ありがとう!!」
こうして、とりあえず制限こそついているものの、俺は魔法を学ぶことを許可されたのだった。
その日の夜。
俺は、ベッドに潜り込んで寝たフリをするとすぐに、掲示板でこのことを報告しようとした。
その時に気づいた。
「なんだ、この書き込み??」
書き込んだ記憶のない書き込みがあったのだ。
――――――
78:スレ主
目が!目がァァァ!!
――――――
【星灯】で目をやかれた時、発した言葉がそのまま書き込まれていたのである。
疑問に思っていると、その理由が脳に閃いた。
どうやら、音声入力されていたらしい。
文字入力、思考入力、そして音声入力全て出来るように設定されている。
どの入力が優先されるかは、その時の俺の意思によるらしい。
目をやいたときは、とにかくビックリして感情が高ぶったことで、音声入力が優先され入力されたようである。
しかし、【星灯】は使える。
これなら不意打ちさえ出来れば、相手を怯ませることも行動不能にすることもできる。
よし、この魔法を練習するか。
殺傷能力があればいいけど、そこまで贅沢は言えない。
こっそり覚えてもいいが、今日みたいなことになったら今度こそ魔法を禁止されるだろう。
とりあえず、今ある手札を最大限使うしかない。
掲示板に簡単に今日のことを書き込んで報告する。
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318:考察厨
まぁ、とりあえず魔法の勉強はできるのか
よかったな
でも、どうするんだ?
319:スレ主
どうするってなにが??
320:考察厨
いや、次の闇堕ち案件、観劇なんだろ?
どうやって、劇場まで行くんだ??
スレ主の今住んでる家の近くに劇場あったりするのか??
もしや三歳の子供が歩いて行ける範囲だったりするのか??
――――――
「……あっ…」
すっぽりと大事なことが抜けていた。
さすがに三歳の子供が家を抜け出して、襲撃対策のために待ち伏せなどできない。
しかし、俺には手元に情報がある。
殿下達が、いつ、どんな演劇を見るのか?
それを事前に知っている。
もちろん、劇場の場所も知っている。
ならば、打てる手はある。




