四話目
皇子に挨拶をしつつ、タイミングをはかる。
怪我をしないように、
不意に皇子を見た。
なにも知らない子供。
まだ、いまならその行く末すら変えられる可能性のある、子供。
今回のことがきっかけで、彼はあの未来へと進むのなら。
……逃げるだけでいいのか?
自分だけ、怪我をしないようにすればそれでいいのか??
一瞬で、脳裏にこのあと彼が絶望するにいたる様々な出来事の情報が流れ込んできた。
端的に言えば、これから彼は誰からも守られることのない人生を送るらしい。
ガラスが割れる音。
咄嗟に、俺の体は動いていた。
皇子を守るために覆い被さる。
弓矢が突立つ音。
そのまま、俺は皇子とともに床に転がった。
ゴンっと、なにかに俺の頭がぶつかる。
瞬間、爆発。
背中に、熱さを感じた。
「……っ、殿下!!
怪我は??」
爆発は一発だけだったようだ。
俺はすぐに皇子へ声を掛ける。
と、俺の頭からぽた、ぽた、と赤いしずくが滴り落ちた。
あー、さっき頭ぶつけたとこ、切れたか。
「……あ、あああっ!」
混乱して、皇子が声を上げる。
俺は彼を抱きしめ、ゆっくりと体をおこし、背中をさすってやる。
「大丈夫、大丈夫です。殿下。
痛いところはありませんか???」
彼は泣きじゃくっている。
子供だった。
本当にただの、まだ守られるべき、子供だった。
「……ない、よ」
なんとか落ち着いてくれたのか、ノア殿下はそれだけ言ってくれた。
「そう、良かった」
本心だった。
怪我が無いのはなによりだ。
やがて、この混乱から大人たちがなんとか動き出す。
「アイリス!!大丈夫か?!」
「お父さま!はい!ノア殿下は無事です!!」
侯爵が、夫人とともにこちらへやってくる。
俺たちをみて、二人は顔を青ざめさせた。
「いやぁぁぁあ!!??
アイリス!!血が!!」
夫人が金切り声をあげる。
一方、ノア殿下の母上はすぐにメイド達へ指示を出した。
「すぐに医師を呼びなさい!!!」
俺は別室に移動させられ、この離宮に常駐している医師の診断と治療を受けることとなった。
当然であるが、この場はお開きとなってしまった。
――――――
202:スレ主
しゃあっ!!!
今度は生き抜いたぜ!!
ちょっと頭と背中に傷が出来たけど
成果としては上々かな
203:名無しの転生者
おかあり、スレ主
そうか、上手くいったか!
良かったな
204:スレ主
つい、皇子のこと庇う形になって守ったのがなぁ
ドン引きされてなきゃいいけど
なにせ、3歳の貴族令嬢に有るまじき行動力だったから
205:名無しの転生者
でも、これで闇堕ち案件の一つはなんとかなったんでないか??
206:スレ主
そう思いたい
顔合わせの会は、一旦お開きだってさ
207:考察厨
まぁ、そりゃそうだ




