三話目
なぜ、という疑問も、もちろんあった。
でも、即座に俺の頭に浮かんだのは、掲示板に書き込まねば、という考えであった。
――――――
123:スレ主
(´;ω;`)
死んだんだけど
そして、また顔合わせ会場に向かう馬車のとこで目が覚めたんだけど
124:考察厨
……はい??
125:名無しの転生者
死んだ?
126:名無しの転生者
ナンデェwww
127:スレ主
最初はさ、わけがわからなくて
もう一回、馬車に揺られつつ、皇子との顔合わせへ向かうところからはじまった
そんな同じ流れを繰り返した
で、また死んだんだ
そして、また同じ
馬車に乗ってるところから、同じことを繰り返してる
――――――
俺は説明した。
それに対する、スレ民の反応は様々だ。
しかし、なによりも驚いたのは掲示板自体は時間が戻っていないことだった。
何故、死んだかを説明する前に、俺は掲示板の時間が何故元に戻っていないのか、その疑問を書き込んだ。
すると、【考察厨】が答えをくれた。
曰く、掲示板とこちらの世界には隔たりがあるから、とのこと。
理が違うのだ、ということだった。
つまり、どういうわけか俺は時間が巻き戻ったが、掲示板はその影響を受けないということだった。
これは、アレだ。
難しいことだ。
難しいことはなるべく考えないようにしよう。
少なくとも掲示板については、そういうもの、と認識しておこう。
しかし、だ。
なぜ、時間がいきなり巻き戻ったのだろうか?
今度は強く、疑問に思った。
すると、その疑問の答えは解消された。
――もう一つは、僕にはもう不要な能力だから、君にあげる――
神様からもらったもうひとつの能力だ。
能力名が脳裏に浮かぶ。
【それでも君を救い続ける旅路】
死に戻り、何度もループを繰り返す能力だった。
――君に待つのは茨の道だから―
神様はそう言っていた。
つまり、俺はこれから何度も死ぬことになるのだろう。
神様はそのことを知っていたに違いない。
これは、死ぬ度に時間が巻き戻り、やり直せる能力というわけだ。
戻る時間は、多少前後するが流れを変えられる分岐点より少しまえらしい。
これも、神様による調整が入っているようだ。
……神様は言っていた。
これから俺の歩む道が茨の道である、と。
もしかしたら、このあとのことを全て把握した上で戻る場所も調整しているのかもしれない。
こうして、考え、相談できる時間を持てるように。
そして、神様は神様ではない、とも言っていた。
それが全知全能ではない、ということだとしたら。
おそらく、神様にできる範囲で俺にかなりの配慮をしてくれたのかもしれない。
とりあえず、能力のことを掲示板へ書き込む。
すぐに、反応が書き込まれる。
――――――
132:名無しの転生者
チートやん
133:考察厨
転生特典ってやつか
134:名無しの転生者
スレ主がチート持ちってのは理解した
それで、なんで死んだの?
135:スレ主
魔法を付与された弓矢で狙撃された
皇子含め、皇室の面々はなにせ龍神の血を引いてるから
身体が頑丈で無事だっただろうけど
俺は一溜りもなかったな
136:名無しの転生者
なるほど
137:考察厨
φ(゜Д゜ )フムフム…
ちなみにその出来事って、一周目の世界でもあったことなんかな?
138:スレ主
え、どうなんだろう?
ちょっと待って、確認してみる
……あったことみたいだ
神様からの特典で、知りたい情報があればその都度わかる仕組みになっててさ
それによると、元々は公爵家の娘が妃候補として、ここにいたみたいだ
でも、この事件で亡くなったらしい
139:考察厨
なるほど
それで、そのあと皇子はどうなっていくか、とか
そういうのはわかったりするか??
140:スレ主
わかる
どうも、皇子はこの件を皮切りに、周囲の人が傷つき、死んでいって
やがて絶望に呑まれ、暴君への道を歩むことになるらしい
道理で、子供とはいえ全然別人、というか
本当に無垢な子供に見えたのはそういうことか
第十五皇子だと、現時点で末っ子
皇位継承権もよほどのことがない限りまわってこない
141:名無しの転生者
闇堕ち案件やん
142:考察厨
じゃあ、まずは皇子もだけど
スレ主も生き残れるよう、動いた方が良さげだな
143:名無しの転生者
あとは、一緒に来てた両親の安全確保しないとだろ
144:スレ主
>>143
あ、それなら大丈夫
両親は皇室が用意してくれた護衛が守ってくれたから
龍皇と、その母君はそもそも龍神族だから体が頑丈だし
ただ位置的に、俺を守るには護衛が間に合わなかったっぽい
145:考察厨
なるほど
で、どうする??
146:スレ主
まぁ、魔法が付与された弓矢
その付与された魔法が展開するタイミングは、だいたいわかってるから
なんとかなるかも
147:名無しの転生者
何とかって( ̄▽ ̄;)
148:名無しの転生者
そんな簡単になんとか出来るものなの??
――――――
あ、そうか。
まだ誰にも言ってなかったな、そういえば。
これでも、前世では恋人を取り戻すために、それはそれは血のにじむ努力をしてきたのだ。
龍皇には遠く及ばなかったけれど、それでも知人友人からは【人間を辞めてる】と言われる程度の強さは手に入れていたのだ。
その経験が神様の調整によって、引き継がれていた。
一度目は油断していた。
二度目は、確認も兼ねていた。
そして、今回の三度目。
今度は、同じことにならない自信があった。
そのことを書き込む。
――――――
156:スレ主
まぁ、そんなわけだから
今度は大丈夫だと思う
うまく回避する自信はある
魔法がつかえればいいんだけどなぁ
魔力はあるけど、まだ使えないんだ
157:考察厨
スレ主自身が脳筋だったか
――――――
呆れられつつも、応援された。
そんなこんなで、三度目の顔合わせに挑む。




