二十二話目
俺とリリの視線が交差し、なんならバチバチと音が鳴ったような錯覚に陥る。
「ア、アイリス、喉が乾いたろう?
お腹も空いてきたんじゃないか?!」
横から父上がそう声を掛けてきた。
見れば、顔色がとても悪い。
父上もリリのやべぇ顔を見たのだろう。
笑顔をむりやり貼り付けつつも、引きつっていた。
「そうですね!
あ、フィアナお姉様!
フィアナお姉様も一緒にお茶のみませんか??
私、もっと、お姉様とお話がしたいのです」
そういいつつ、口に手を当ててコソコソ話をしたいと動作で見せる。
フィアナ様は察してくれて、こちらに目線を合わせてくれた。
「とっても美味しいクッキーが、あっちにあったんです!
一緒にたべましょう?
それとそれと、ノア殿下へ贈り物をしたいのでご相談にのって頂きたいのです」
最後のはとってつけた理由だった。
でも、フィアナ様のことが心配だったのだ。
この場から離さないといけない、と考えてしまうほどに彼女が心配になってしまった。
フィアナ様は、弱々しい笑みを浮かべる。
「ありがとう、えぇ、いいですわ」
そう耳打ちを返してくれた。
それから皇太子に社交辞令的な挨拶をして、その場を離れた。
皇太子だけは、俺とリリのやりとりにもあまり反応を示さなかった。
もしや、天然だったのは皇太子、お前か。
少し離れた席で、俺、父上、そしてフィアナ様は給仕達が運んでくれたお茶と菓子、そしてサンドイッチを口にした。
「先程はお見苦しいところをお見せしました。
それにしても、アイリス様は賢いお子様、いいえ賢い方ですね。
勇気がある。
うらやましいです」
いやぁ、照れますなぁ。
別に普段なら身分どうのこうのは気にしないのだが、いわば時と場合を考えていない上、挑発してきたリリにイラッとしたのだ。
ちなみに、毒を含んだ言葉は元恋人のものを真似してみた。
女性ってこういうやりとり得意だから、凄いなっていつも思う。
しかし、フィアナ様はまだこういったやり取りが苦手なようだ。
「世間知らずのお転婆なだけですよ」
父上が恐縮しきって、そんなことを言う。
否定はしない。
世界のことなんてなんにも知らなかった。
こうして生まれ変わっていなければ、ノア殿下のことを知ろうとすることすら出来ず、恨みと憎しみを抱いて死んで行っただけの存在だ。
「フィアナ様のほうがもっと賢いですよ!
私はフィアナ様のほうが羨ましいです!」
「ふふ、ありがとう」
良かった、笑ってくれた。
作った笑みじゃない。
とても自然な笑みだ。
それから他愛ないことで、俺とフィアナ様は談笑した。
ノア殿下への贈り物の相談、という取ってつけた理由にも彼女は勘づいているようだったが、それでも相談に乗ってくれた。
やがて、茶会がお開きとなる。
(今度は死ななかったな)
帰りの馬車の中で、そんなことを考える。
疲れていたのか、うつらうつらと船を漕ぎ始めた。
そして、
「ようこそ、サーヴェ侯爵様、アイリス様」
そんな兵の言葉にハッとする。
また、時間が戻っていた。
慌てて、掲示板を確認する。
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808:スネーク
オロロロロロロ_| ̄|○、;'.・ オェェェェェ
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スネークが盛大に吐いていた。
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810:スレ主
なんか、ごめん
811:スネーク
>>811
おま、死んだら死んだって言えよ!!
(´;ω;`)
――――――
無茶を言わないでほしい。




