↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【やり直し】死んで、女の子に生まれ変わって自分を殺したやつと婚約した件【人生】  作者: 懐古厨


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/28

二十一話目

「ご息女がノア様をお助けした武勇、聞き及んでおりますわ、侯爵」


父上が恐縮する。


「お転婆が幸を奏しただけです。

いずれは、フィアナ様のようになってほしいと願っています。

図々しいのは百も承知ですが」


父上の言葉に、フィアナ様の瞳が揺らいだように見えた。

でも、それは一瞬だった。

フィアナ様は優雅に微笑んで、


「まぁ、嬉しいですわ」


そう返したのだった。


「でも、私は……」


言いつつ、フィアナ様が俺をチラリと見た。

やっぱり、見間違えではなかった。

さっきの周回では見間違えたかと思ったのだ。

フィアナ様のことは、人伝ではあるが聞いたことがあった。

常に優しく気高い方で、そして弱者に寄り添う正しき人だ、と。


貧民街へ自らお忍びでおもむき、その実情を知るやすぐに救済措置を取るよう、父親の公爵までつかって動いたのだという。


とにかく齢15にして、強い女性であると聞いたことがあった。

しかし今は……。

憂い、というのだろうか。

なんとも言えない感情が、フィアナ様の顔に浮かんでいる。


フィアナ様は言葉を続けようとするが、それは叶わなかった。


「フィアナ、ここに居たのか!」


彼女の名を口にしつつ、現れた人物がいたのだ。

なんと、王太子であった。

俺は、父上と共に臣下の礼をとる。


「まぁ、エドワード様」


フィアナ様が心底驚いた声を上げる。


「どうした、そのように驚いて?」


「い、いいえ、てっきり今回は参加しないものかと」


そんなやり取りの横で、ひょっこりと顔を出した少女がいた。

黒髪黒目の女の子だ。

リリ・クルスというのが、彼女の名である。


途端に、フィアナ様の表情が凍りついた。

さっきの周回ではわからなかったが、こんな顔をしていたのか。

まぁ、理解は出来る。

何せ、リリは平民であり王太子の愛人なのだから。


俺の母上や乳母はこういった下世話な話を、聞かせたくなかったのか、俺の前では一切こういった話題は出さなかった。

しかし、メイドたちは別である。

彼女達の私語には、さまざまな情報が含まれているので、注意を払っていたのだ。

あくまでゴシップ程度の内容で、誰も信じてはいないと考えていたが、どうやら火元はしっかり燃えていたらしい。

煙の立たないところになんとやら、は本当だったようだ。

俺はすぐに、現状を掲示板へ書き込んだ。

ちなみに、思考入力である。

スレ民たちがすぐに反応を返してくれた。


――――――


667:名無しの転生者

愛人www


668:名無しの転生者

うわぁ、皇太子、まじかー


669:名無しの転生者

修羅場、待ったなし


670:名無しの転生者

なんか、アレみたい

悪役令嬢モノの婚約破棄シチュの前段階というか

そんな感じ


――――――


……悪役令嬢モノの婚約破棄ってなんだろう??

疑問に思うと同時に、神様からの情報が脳裏に浮かぶ。

なるほど、そういう娯楽作品がある、と。

情報には、どういったストーリーなのかも提示されていた。


なかなか面白そうだな、とは思ったがいまはそれどころでは無い。

前の周回では、このあと皇太子はリリを伴ってほかの貴族へ挨拶に行ってしまうのだ。

フィアナ様もそのまま、何も無かったかのように別の者へ話しかけていたはずだ。

俺と父上も、別の参加者へ挨拶にまわったのだ。


俺は改めてフィアナ様を見た。

彼女は、微笑んでいた。

優しく、すべてを包み込むような慈愛に満ちた微笑み。

でも、それがとても痛々しく見えてしまった。

先程の周回では気づかなかった。

気づけなかった、ことだ。


一方、リリはとても可愛らしい笑顔で皇太子の腕に自身の腕を絡ませている。

皇太子との仲の良さ、をフィアナ様に見せつけているかのようだ。

その様子も一応、掲示板へ書き込む。


――――――


680:考察厨

見せつけてるようだ、じゃない

見せつけてるんだろ

要は、挑発だよ


681:名無しの転生者

フィアナ嬢が皇太子、もしくはリリを注意したりしたら

途端に彼女の評判を落としてやろう、とか考えてそう

泣き真似して皇太子に縋りつけば一発だろ


682:スレ主

いやぁ、それは無いだろ

場所が場所だし

ここでなにかやらかすのは、醜聞を自分で広めるようなもんだ

途端に噂になって、あちこちでおもちゃにされるぞ

賢いやつなら絶対しない

現に、フィアナ様は屈辱にたえてリリに対しては無視を決め込んでる

まぁ、皇太子はそれが気に入らないのか、少し機嫌が悪そうな顔してるけど


――――――


そこまで書き込んで、俺はフィアナ様を見た。

笑顔こそ貼り付けているが、氷のような冷たさを纏っている。

一方、皇太子が俺に気づいた。

互いに挨拶を交わす。


「父上から聞いているよ、弟を助けてくれたのは君か。

感謝する」


「いいえ、臣下としての務めを果たしたまでです殿下」


と、そこに何故かリリが口を挟んできた。


「弟君を助けた、とは?」


なんのことかわからないのか、皇太子に色々訊ねている。

俺は説明した。


「あら、リリ様はご存知ないのですね。

まぁ、仕方ないですね、リリ様ですと当然です。

他の方々にはお恥ずかしながら、私の醜態が知れ渡っていたのですが。

皆様には、好意的に受け取っていただけたんですよ。

フィアナ様にも感謝され、恐悦至極です。


まぁ、このような事を知らない程度の方はこの場にはおりませんし。

仮に居たとしたら、いたたまれなくなり帰宅するかとと思いますよ」


ちょっと嫌味を入れて説明した。

直訳すると、


【テメェ以外の貴族はみんな知ってるぞ。

知らないのはテメェだけだ、情弱が。

こんな程度のことも知らないで、この場にいるな愛人如きが、帰れ帰れ】


といった所だろうか。

これくらい言っても気づかないようなら、ただの天然。

気づいたら、まぁ、それだけの頭があるとわかる。


少なくとも、フィアナ様に対しての敵対行動だと俺は受け取った。

フィアナ様はノア殿下の義姉候補であり、ゆくゆくはこの国の国母となられる方だ。

というか、なっていただかないと困る。

俺としては、このまま皇太子とフィアナ様がこの国を治める未来なら、ノア殿下による大陸統一も、それに至るまでの闇堕ちも防げると考えているからだ。


大陸統一だって、国を率いるリーダーという立場が無ければなし得ないことだ。


そもそも、リリにとってフィアナ様の身分は雲の上のお方だ、そんな方に舐めた態度をするなんて、あってはならない事だ。


さて、どんな反応をするかなと思ったら。

とんでもない顔になってた。

一瞬だけど。

女の子ってこんなやべぇ顔できるんだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。